自然保護

Saving The Nene, World’s Rarest Goose

National Geographic Vol 128 No. 5

1965年11月のナショナル・ジオグラフィック(National Geographic Vol. 128 No. 5 November, 1965)に記載された「Saving The Nene,, World’s Rarest Goose」という記事を読みました。1965年というのは昭和40年で私が生まれた年です!
捕鯨船が盛んにハワイの港に入ってきていたころ(ハワイでの捕鯨の最盛期だったのは1843年から1860年)、ネーネー(ハワイガン Branta sandvicensisを捕獲して塩漬けにしたものを樽に入れて、食料として捕鯨船に積み込んでいたそうです。
カリフォルニアのゴールドラッシュで金鉱脈目当ての開拓者たちが急増した1849年には、カリフォルニアからハワイに洗濯物が送られ、洗濯済みの服などと共にジャガイモ、果物、豚肉、鶏肉など、そしてネーネーの肉も送られたという話もあるそうです。
1902年には、ネーネーを捕獲してもよいのは4ヵ月半に渡るハンティング・シーズンで、1人につき1日6羽という制限があったそうです。ナチュラリスト達がネーネーが減少していることを心配してハンティングに反対していましたが、1911年までネネの捕獲は禁じられませんでした。
ハワイ島ヒロのハーバート・C・シップマン(Herbert C. Shipman)氏は1918年にネーネーのつがいを友人(プウヴァアヴァア牧場のロバート・ハインド氏の奥さん)からもらい、ヒロの少し南のケアアウにある彼の私有地で飼育しました。このつがいから個体数を増やしていきました。数羽の若鳥がマングースに食べられてしまったそうですが、1927年には小さな群れをなすだけの個体数に増えていたそうです。
そのころ野生の個体数はほんのわずかにしか残っていなかったそうです。そして当時はまだネーネーの生態について研究されていないという状態でした。
1930年にはハワイ島で野生の個体数が数羽だけ、マウイ島では絶滅とみなされました。(カウアイ島のネーネーは、キャプテンクックが初めてハワイに来たころには、すでに絶滅してしまっていました。もともとカウアイ島の低地には沢山のネーネーが棲んでいたというのが、半化石の骨が見つかったので判明しました。)1946年の津波で、それまで43羽まで増えていたシップマン氏のネーネーうち、11羽以外は波によって溺れ死んでしまいました。シップマン氏は生き残ったネーネーをキーラウエア火山の南側に面した中腹のアイナホウに移動させました。この記事が書かれた1965年には16羽に増えていました。(この記事を読むと当時その辺りにはアマキヒやアパパネやイイヴィというミツスイの仲間達が住んいたようです。現在そこにはアマキヒとアパパネはまだいますがイイヴィはいません。)
1949年にユネスコがスポンサーするInternational Union for the Protection of Natureがネーネーを絶滅危機におかされる13種の鳥の1種として指定しました。1950年にイギリスのWildfowl Trustのディレクターであるジョン・イーランド(John Yealland)氏がハワイ島ポハクロアで、ネーネーの飼育におけるテクニックを研究しました。イーランド氏はシップマン氏から授かった2羽のネーネーをイギリスに連れて帰りました。つがいだと思っていたら両方とも雌だったそうで、後で雄がイギリスに送られ、1952年にはこのプログラムが上手くスタートしました。この雄の名前はカメハメハだったそうです。2羽の雌とカメハメハとの間に9羽の雛が生まれました。
その後このイギリスでのプログラムは継続され、この記事が書かれた1965年までの間に、この3羽は計195羽の子孫を残したそうです。これらの鳥たちは、イギリスだけでなく、デンマーク、フランス、オランダ、スイス、西ドイツの飼育・増殖施設に送られました。
1958年に米国北東部のコネチカット州リッチフィールドにもつがいが送られ、米国内初の飼育・増殖が始まりました。1965年までにそのつがいから25羽増やすことができたそうです。
1958年にはU.S. Bureau of Sport Fisheries and Wildlifeがネーネーを保護するための5年計画に補助金を出してくれました。そしてネーネーはハワイ準州を象徴する鳥(Territorial bird of Hawaii)として指定されました。ハワイ準州からハワイ州になったのは1959年です。ネーネーは現在もハワイ州の鳥(State bird of Hawaii)と指定されています。
ハワイ島ヒロ市内の公園にネーネーがやってきます。シップン家の私有地(ヒロから少し南にあるケアアウ)で飼育しているネーネーが飛んできているようです。

2008-05-31 | Posted in 自然保護7 Comments » 

コメント7件

 Lilikoi | 2008.06.01 22:56

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ハワイ州の鳥、ネネ!絶滅前に沢山の人達に守られることになって良かったです。
(アマキヒとアパパネはまだいますがイイヴィはいません)どんどん棲み家を追いやられて・・・
まだまだ守らなければならない動植物の事考えさせられますね。
ナショナル・ジオグラフィック(National Geographic)本屋で見ましたが、
Vol. 128 No. 5 November, 1965は見なかったように思います。
ありがとうございます。

 Mami | 2008.06.01 23:21

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久美子さ~ん、お久しぶりです!!
毎日PCをほとんど開くことなく、がむしゃらに頑張っていま~す(笑)そんな時期も必要ですよね!!
ところでネネの記事、すごく興味深く読ませていただきました。
ハワイ州の花は知っていてもハワイ州の鳥となると??だったのですが、
昨年カウアイに行った時に教えてもらい、歩く姿がとっても気に入ってミニチュアの人形を
買ってかえりました。今も私のお部屋のカウアイコーナーに飾っています!!
人口繁殖で復活したなんて、今まで知らなかったです。またまた新たな発見です。
ありがとうございま~す[絵文字:e-278]

 Kumiko | 2008.06.02 2:12

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昭和40年に記載された記事なんですよ。古本専門に扱っているところで購入しました。
カウアイ島のネネはキャプテンクックが来た時代までに絶滅してしまってたんですが、半化石の骨が沢山発見されたので、もともとは沢山いたんだってことがわかったんです。なのでカウアイ島にもネネを放鳥してあげました。
幸いカウアイ島にはマングースが移入されなかったので、他の島よりも多くネネの個体数が増えました。
イイヴィに関しては、カウアイ島のはどんどん減少して、絶滅寸前に近づいてしまっていますね。悲しいです。ハワイ島は高い山があるので、場所によってはイイヴィが沢山いる森もあるんですよ。でも、島全体のサイズから見ると、そのような森はほんの一部です。

 Midori | 2008.06.03 0:11

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ほんの数回ですが、ニュージーランド、モンゴル、ケニア、タンザニア、カナダなどを旅してきました。そして素晴らしい自然とすぐ隣あったところで、その生態系が危機的状況にあるということを、現地のエコガイドさんからいろいろ教えていただきました。
その背景は、外来種による侵食、貧困ゆえに周囲の自然に手をつけなくては明日の糧が得られない状況、温暖化現象などなど様々ですが、いずれも私も含めた人間がかかわっていることに変わりは無いのですね・・・
今日、NHKでガラパゴスの惨状を伝える番組がありました。ユネスコの世界自然遺産への登録を機に人口の流入が進み、環境保護対策を置き去りにしたまま観光開発が進んでしまったためです。ゴミをあさるフィンチや、産卵場所を探して、街中の駐車場の中を右往左往するイグアナの姿に心が痛みました。駆除しなければならない外来種もヤギを含め100種類もいるそうです。数年で壊すことができる生態系をもとに戻すには、気の遠くなるほどの時間がかかるのですね。
エコツアーでたくさんの感動をいただきながらも、その先、自分は何をしたらいいのか、自問する今日この頃です。結局、できることから少しづつ・・ということになるのですが・・・
PS.
Bobbyさんはネネの説明する時、「『ねね』といってもトヨトミのオクサンじゃなくて」とオヤジギャグを飛ばしてました。2度も聞いたぞ!

 Kumiko | 2008.06.03 2:51

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ニュージーランド、モンゴル、ケニア、タンザニア、カナダなどにも行ったのですか。私も行ってみたいです。で、エコツアーに参加したい。 カナダには28年も前に行ったことがあるのですが、観光ツアーでした。
外来種による侵食は、世界中で起きているのですね。
貧困ゆえに周囲の自然に手をつけなくては明日の糧が得られない状況というのも悲しいですね。経済的に余裕があり、それプラス自然保護の意識があるという条件が必要なのですね。
ガラパゴスは、ぜひ行ってみたいところのひとつなのですが、今、その惨状についてを聞いて、びっくりしました。
ハワイ島の西側にもヤギが沢山います。外来の植物だけを食べてくれるなら大歓迎なんだけどな~。
P.S. Bobbyのオヤジギャグ、面白いですね。

 Lilikoi | 2008.06.03 7:30

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興味あるお話いっぱい!
人間も動植物も生きる為に・・・。
唯一人間は考え知恵を出して改善できる生き物!
とは言え多分一人ひとり(私も含め)出来ることから・・・位なんですよね。
でも小さな力も集まれば。期待したいものです。
破壊するのは容易いですが、それを元に戻すには想像を絶するほどの時間が!
次の世代の為!子ども達、またその子ども達の為に、大事なことを伝えて行きたいです。
私も、各国のエコツアー、参加してみたいです。
ハワイしか行った事ありませんが、それまで、そう!
日本でエコを身の回りからですね。
考えさせられますね。

 Kumiko | 2008.06.03 7:45

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ほんとそのとおりですね。 身近なことから、できることからやっていきましょう。私たち人類と、同じ惑星を住処にしている他の生物たちと、人類も含め全ての生き物の次の世代のために。

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