自然観察旅行

「幻の森通信」ハワイ旅行

Hualalai 122005
<<斉藤 俊雄さんの紀行文です。彼の「幻の森」というHPの中にある「幻の森通信」 http://homepage2.nifty.com/oo-ruri/ より抜書きさせていただきました。>>
ハワイ旅行で私と妻が訪れたのはハワイ島のみだ。ハワイ島だけにした理由は、オアフ島やマウイ島に較べハワイ固有の自然がほんの少しであるが残っているからだ。
ハワイ固有の自然はどこに行ったら見ることができるのか。それは蚊のいない高所にあるハワイ固有の森ということになる。私たちはどうしてもそんな森に行きたかった。ハワイ島でもっと固有の自然が残っているといわれているのは、ハカラウ森林国立野生動物保護区である。そこはマウナ・ケア山の中腹にあり、許可がないと入ることができない。そのためHawaii Nature Explorersの長谷川久美子さんに案内を依頼した。そしてハワイ固有の自然の存在する森に私たち夫婦二人だけを案内してもらうという、贅沢な旅が始まった。
長谷川さんの運転する四輪駆動車でマウナ・ケアの山頂に向かう2000mの高所の道を走る。途中でプエオと呼ばれているハワイ固有のフクロウの仲間に出会った。ハワイ島4日目にして初めてハワイ固有の鳥と出会うことができた。写真を撮ることにも成功した。
その後、1時間半悪路を走りハカラウ森林国立野生生物保護地区に到着した。ハワイの固有の自然が見える場所であるのに、許可制ということもあり観光客は誰もいない。私たちが訪れた12月29日にここを訪れた観光客は私たち夫婦だけだった。
ハワイ固有の自然が残る森、ハカラウ森林国立野生動物保護区にはオヒアの木と呼ばれる木が多い。この木と花は、女神ペレがその仲を引き裂いたという悲恋の伝説が存在する。
そんなオヒヤの森には、スズメ大のかわいらしい鳥ハニークリーパー(蜜吸い)の仲間などがたくさん生息している。私たちはハカラウ森林国立野生動物保護区で3種類のハニークリーパーを見た。
ハワイのハニークリーパーの種類は他の地域と較べ圧倒的に多く、一種から五十種以上に進化したといわれている(ただその多くはすでに絶滅している)。もしダーウィンがガラパゴスよりも先にハワイに来ていたら、進化論はハワイで生まれただろうという学者もいるそうだ。
ハカラウ森林国立野生動物保護区での探鳥を満喫して車に戻ると、車の下に雛をつれたネネがいた。ネネはハワイ州の鳥である。カナダガンが進化(退化)した鳥で、水かきが小さく、飛ぶための胸の筋肉が落ちている。肉食獣のいないハワイならではの鳥なのだ。ネネはかわいい。特に今回のような子連れであれば、そのかわいさといったら…。
帰り道、ハワイの山々が夕日を浴び美しかった。朝7時に出発してホテルに着いたのが夜7時過ぎ。12時間のハワイ固有の自然に出会う旅はとても充実したものとなった。Hawaii Nature Explorersの長谷川久美子さんの「何としても楽しい時を過ごしてもらう」という姿勢は素晴らしい。次にハワイを訪れることがあれば、またお世話になりたい。
ハワイの旅は贅沢な旅だった。一番の贅沢はハカラウ森林国立野生動物保護区というハワイ固有の生物が生息している場所に、数え切れない観光客の中で妻と二人だけが訪れ、森を独占できたこと。

2005-12-29 | Posted in 自然観察旅行Comments Closed