植物
マウイ島ハレアカラーのギンケンソウ(シルバーソード)について
マウイ島ハレアカラー(標高3055m)のギンケンソウ(Argyroxiphium sandwicense ssp. macrocephalum)は、標高2100mから3055mに分布しています。ハワイ語ではアーヒナヒナと呼びます。人間が足でけって転がしたり、持ち帰ったり、またヤギやウシに食べられてしまったために、1920年代には非常に減少してしまいました。
しかし、1935年には個体数は約4000、1971年には43262、1979?80年には35000、1982年には47640、1991年には64800、現在では1935年の約16倍増えています。保護されるようになってからは、素晴らしい回復率です。
開花は5月ごろから10月ごろですが、年によって花を咲かせる個体数の数が大幅に異なります。1970年には全く咲かなかったそうだし、フィリピンのピナツボ火山が噴火した1991年には6632の固体が花を咲かせたそうです。
ギンケンソウや他の固有植物を守るために、ハレアカラーの山頂部の周りにフェンスを取り付ける作業が1976年に始まり、1986年に完了したそうです。現在ではフェンスで取り囲んだ山頂部にはヤギは一匹もいません。
このブログ記事を書いた時点では、山頂部以外も含めるとフェンスを張り巡らす作業は約85%完了していて、これまでに500万ドル以上費やしたそうで、その努力の甲斐があって、50年間ぐらい見かけなかったカヤツリグサの仲間や他の1年草も再び山頂部に生えるようになったそうです。
ヤギによる被害はなくなりましが、まだ別の問題が残っています。帰化植物のムレイン、または別名ビロウドモウズイカ(Verbascum thapsus)やファウンテングラス(Pennisetum setaceum)が繁殖しないように努力しているそうです。
現在、一番大きな問題は、ギンケンソウを受粉してくれる昆虫の幼虫を食べてしまうアルゼンチンアリ(Iridomyrmex humilis)だそうで、他家受粉をする(同じ個体の花の間で、雄しべの花粉が雌しべの柱頭に付着することが自家受粉。違った個体の雌しべの柱頭に付着することが他家受粉。)ギンケンソウにとっては強敵なのです。
ハレアカラー国立公園では、このような努力の結果、ギンケンソウの固体数が増えただけではなく、以前よりも広範囲に生育するようになりました。
ギンケンソウ属(Argyoxiphiumアルギロクシフィウム)はハワイにしかない属で、マウイ島とハワイ島のみに存在します。この属には計5種ありますが、そのうち1種は絶滅してしまいました。
- Argyroxiphium caliginis – ʻEke Silversword
- Argyroxiphium grayanum – Greensword
- Argyroxiphium kauense – Mauna Loa or Kaʻū Silversword
- Argyroxiphium sandwicense – Silversword
- Argyroxiphium sandwicense ssp. sandwicense – Mauna Kea Silversword
- Argyroxiphium sandwicense ssp. macrocephalum – Haleakalā Silversword
- Argyroxiphium virescens – East Maui Greensword (絶滅、ハレアカラーのギンケンソウとの勾配種が残っているそうです。)
マウイ島ハレアカラーのギンケンソウは、ハワイ島マウナ・ケアのギンケンソウ(Argyroxiphium sandwicense ssp. sandwicense)と亜種レベルで異なります。残念ながらハワイ島マウナ・ケアのギンケンソウはとても減少してしまっています。