海洋生物

ハワイモンクアザラシについて

Hawaiian Monk Seal

ハワイモンクアザラシ(Monachus schauinslandi)のハワイ語名はイーリオ・ホロ・イ・カ・ウアウア(ʻĪlio-holo-i-ka-uaua) で、意味は荒海を走る犬(dog that runs in rough water)です。 英名Hawaiian Monk SealのMonk(モンク)とは、修道士という意味で、頭がフードをかぶった修道士に似ていることと、群れでなく単体で行動していることが多いことから、モンクアザラシという名前が付いたようです。
現在の個体数は1200以下で(今後これまでの傾向をたどれば、5年後には個体数が1000に以下になってしまうかもしれないそうです。)、その殆ど(80?90%)は北西ハワイ諸島に生息していて、南東ハワイ諸島に生息している個体数はわずかです。 約90%は出生地で一生を過ごします。
ハワイモンクアザラシは、サンゴ礁に住む魚、タコ、ロブスターなどを食べます。浅瀬の生物も食べますが、深いところに潜って大きな石をひっくり返して、その下に潜んでいるものを食べます。1600フィート(487.68メートル)の深さまで潜ることもあるようです。そこは太陽の光がまったくとどかないところですが、ところどころにある深海サンゴ礁に住む生物を食べます。そこでは大きな魚やサメとの競争がないところです。ハワイモンクアザラシは最高20分間潜っていることができます。通常の心拍数は1分間に55?120回ですが、潜っている間は1分間に4?15回になって、体内の酸素を節約します。生命維持に重要でない腕や足などの血管を収縮させて血液を流さないようにして、心臓や肺や脳などの生命維持に重要な器官に送る酸素節約反応です。
雌は5?10歳で性的成熟を向かえます。交尾は水中で行われます。2月から7月の間に出産する場合が多いようですが、4月から5月にかけてが一番多いようです。 毎年約60%の雌が、それぞれ1頭だけ生みます。育児期の母アザラシは絶食状態で過ごします。
生まれたばかりのハワイモンクアザラシの体長は30?40インチ(76?101センチ)で、体重は30?40ポンド(13.60?18.14キロ)です。短く真っ黒でふわっとした羊毛のような毛皮で覆われています。生後30?40日で離乳します。離乳するとともに黒い毛は抜け落ち、背中から横側にかけては銀色がかった灰色に、喉元、胸、腹にかけてはクリーム色になります。 成長したハワイモンクアザラシは濃い灰色か茶色っぽい色をしています。雌の体長は7?8フィート(2.13?2.43メートル)で、体重は400?600ポンド(181.44?272.16キロ)です。雄は雌よりも小さく、体長が約7フィート(2.13メートル)で、体重は300?400ポンド(136.08?181.44キロ)です。寿命は25?30年だといわれています。
1800年代には、ハワイモンクアザラシは肉や皮や脂肪を採るために商業捕獲されていました。砂浜に横になって休む習性があるので、捕獲しやすかったため乱獲され、あっという間に固体数が減ってしまいました。わずか数年間での出来事です。個体数が少なくなり、商業的な利益が得られなくなったため、ハワイモンクアザラシ猟は行われなくなりました。
1900年代初期にハワイモンクアザラシの個体数が増え始めましたが、第二次世界大戦中には、アメリカ軍による海軍基地が建設されるなど軍事活動により、ハワイモンクアザラシの繁殖場所が大きな影響を受け、再び個体数が減少してしまいました。
人間が近くにくるようになると、これまで繁殖場所であったところをで繁殖しなくなったり、子アザラシが完全に離乳していないのに、母アザラシがいなくなってしまうということも起きるようです。
近代に入ってからは、北西ハワイ諸島での漁業が盛んになり、ハワイモンクアザラシ魚網や釣り糸に絡まってしまったり、漁業によりハワイモンクアザラシの食べ物が減少しています。
人間による妨害や生息地の破壊に大きな影響を受けるだけでなく、サメに食べられたり、シガテラ(熱帯の海洋に生息する微生物中に存在する毒素シガトキシンに汚染された海洋生物を摂取することにより発生する食中毒)による死亡例もあります。また、発情期は雄が攻撃的になり、性的成熟を向えていない雌を傷つけてしまうこともあります。複数の攻撃的な雄に襲われて雌が死んでしまうこともあります。このような行為は、特に雄と雌の総個体数の比率が3対1という地域で問題になっています。
モンクアザラシの仲間は、ハワイモンクアザラシ、チチュウカイモンクアザラシ、カリブモンクアザラシの3種が知られていますが、カリブモンクアザラシは1952年以来目撃例がなく、絶滅したものとされています。
ハワイモンクアザラシは、1976年に絶滅危機種として指定され、現在では米国海洋哺乳動物保護法(US Marine Mammal Protection Act)の「枯渇種」に、米国絶滅危機種保護法(US Endangered Species Act)の「絶滅危惧種」に、国際自然保護連合(International Union for Conservation of Nature and Natural Resources略してIUCN)のレッドリストでは「絶滅危惧種種」に指定されています。ワシントン条約・絶滅の恐れのある野生動植物の国際取り引きに関する条約Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora 略してCITES)の付属書IIで、ハワイモンクアザラシの無秩序な捕獲や乱獲、国際的な取引が規制されています。
ハワイモンクアザラシを観察する時のマナー:
人間が近づくと、驚いたり、ストレスを感じたりします。最低150フィート(45.72メートル)離れたところから、育児期の場合はもっと離れたところから観察します。大きな声を出すとアザラシを驚かしてしまいまいますから、静かに観察します。アザラシに気付かれたようで、こちらをじっと見つめているようであれば、アザラシに危険を感じさせないようにします。犬を近づけないこと。犬が噛むとアザラシが病気になる場合があります。アザラシのほうから近づいてくることもありますが、離れていってください。餌は与えないでください。
アザラシを見かけたら、(808)220-7802 または、24時間フリーダイアルの 1-888-256-9840(The National Marine Fisheries Service)に連絡してください。メールアドレスは PIFSC.monksealsighting@noaa.gov です。

2006-10-13 | Posted in 海洋生物2 Comments » 

コメント2件

 しゅりごん | 2007.07.18 21:43

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今、理科の勉強で動物の事について調べていて、「ハワイモンクアザラシ」について調べています!!でも、この、ブログのおかげで分かんなかった事が分かり助かりました!!
この事を生かして理科の勉強がんばります!!
応援よろしく!!

 Kumiko | 2007.07.23 17:05

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理科の勉強のお役に立たこと、とてもうれしく思っています。勉強がんばってくださいね。「あ~、私も子供のころ、理科の勉強でハワイモンクアザラシの勉強ができたらよかったのにな~」って思います。うらやましい限りです。勉強がんばってくださいね。応援していますよ!

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