自然現象
エルニーニョ現象とラニーニャ現象
エルニーニョ現象は、大気と海洋の大きな相互作用の結果で、気候変動を及ぼします。ペルーの漁師たちが、クリスマスのころに海面水温が高くなる現象をスペイン語で神の子、エルニーニョと呼んでいたのが語源です。
赤道太平洋では、通常の場合、東から西へ吹いている貿易風が、日射によって暖められた海面の水を西へ運び、温まった海水が太平洋の西側に溜まります。水の少なくなった東部太平洋(ガラパゴスやペルー沖では、深いところから冷水が湧昇してきます。西太平洋の暖水は摂氏28度以上あります。その上の空気も暖かく湿っていて、そこでは上昇気流とともに多くの積乱雲が発生します。そこで貿易風が吸い込まれるように強まります。
エルニーニョ現象が起こると、通常吹いている貿易風が弱まり、暖水が西太平洋から東に向かって移動し、対流と降雨のパターンを変化させます。暖水の東へ向かう移動と共に、暖水の上に立つ積乱雲の位置も東に移動し、ますます貿易風が弱まります。反対に貿易風が通常より強まり、東太平洋で強い湧昇により海水温が下がる現象をラニーニャと呼びます。水温はエルニーニョーで摂氏30度ぐらい、ラニーニャで摂氏24度ぐらいです。
ハワイでは1年は2つの季節に分けられます。夏に当たるカウ(日が高く高温で貿易風が安定した5?10月)と、冬に当たるホオイロ(日が低く涼しく、風の不安定な11?4月)です。通常の場合、ホオイロ(11?4月)はカウ(5?10月)に比べて雨が多く、気温も特に朝晩は低くなります。
ホオイロの季節(11?4月)にエルニーニョの影響を受けると、通常より降水量が減り、干ばつが発生します。長期化すると、農業や漁業に問題をもたらし、生活用水が不足し、森林や草地の火災が発生したり、絶滅危機種にも大きな影響をもたらします。
逆にホオイロの季節(11?4月)にラニーニャの影響を受けると、通常より降水量が増えます。強い低気圧の前線がハワイ諸島まで南下することが通常より多くなり、それに伴い、この時期に発達する亜熱帯偏西風(上空で西から東に向かって吹く、ジェットとも呼ばれる風、特に風の強い部分を偏西風ジェット気流と呼ぶ、夏には北緯50度付近に北上し風速も弱まる)に発生する気圧の谷が島の西側の日付変更線近くにできることにより、暴風雨や雷雨などを伴う「コナ・ストーム」または「サブトロピカル・サイクロン」と呼ばれる擾乱が通常よりも発生しやすくなります。竜巻が発生することもまれにあります。
********************
エルニーニョの影響を示す地図
ラニーニャの影響を示す地図
トロピカル・サイクロンについて
********************
このブログは、ハワイ島でエコツアーを案内するHAWAII NATURE EXPLORERSの環境保護への取り組みのひとつです。緑豊かなヒロよりアロハをこめて発信しています。