植物
ファイアツリーについて
ファイアツリーと一般的には呼ばれているMyrica fayaは、アフリカの北西海岸沖のアゾレス諸島やマデイラ諸島やカナリア諸島に自生するヤマモモ科の植物です。
ハワイでは1920年代から1930年代にかけて、人間によって持ち込まれた外来種です。ハワイのデリケートな生態系崩壊の原因となる侵入種のひとつです。
雌雄同株の風媒花で、成長が速く、繁殖力が非常に高いです。小さな実をたくさんつけます。鳥(主に日本から人為的に持ち込まれたメジロ)が食べます。ハワイ固有のオーヒアの木など枝にとまった鳥が糞を落とし、そこからファイアツリーが芽生える場合が多いです。オーヒアの木の枝は鳥がとまるのに絶好の場所であり、オーヒアの木陰は適度に太陽の光を通すため、ファイアツリーの種が発芽するには絶好の場所です。ファイアツリーはオヒアよりも成長が早いので、オーヒアが弱ってしまいます。<
また、根粒に窒素固定を行う放線菌の一種フランキア(Frankia) を共生させていて、窒素に乏しい火山地帯のような痩せ地でも、どんどん繁殖します。
ファイアツリーが生い茂ると、暗い影ができ、在来種が弱ってしまったり、在来種が生えなくなります。そしてファイアツリーだけが生えた森林となってしまいます。ファイアツリーが生えているところは、外来種の無脊髄動物(ミミズなど)も増え、外来種の生物が好む土壌に永久的に変わってしまい、ますます外来種の植物が繁殖します。
現在、ハワイ火山国立公園やその周辺で、ファイアツリーが広範囲に繁殖しています。ファイヤツリーが林を形成してしまったところで伐採してみたところ、伐採後に芽生えてきたのは、外来種のブラック・ベリーなどだそうです。最近では、そのような場所では、ファイヤツリーに傷を入れて弱らせ、徐々に枯らすようにしているそうです。そうすると、本来生えているべき在来種の植物が徐々に戻ってくる確立が高くなるそうです。
オーヒアの木の枝にとまった鳥が糞を落とし、そこに芽生えて大きくなりだ始めたばかりのファイヤツリーは手で抜き、抜けないぐらい根を張ってしまったものは、根元から切って除草剤を切り口に吹きかけて枯らします。
ファイアツリーは国際自然保護連合(IUCN)の「世界の外来侵入種ワースト100」のひとつに指定されています。
このブログは、ハワイ島でエコツアーを案内するHAWAII NATURE EXPLORERSの環境保護への取り組みのひとつです。緑豊かなヒロよりアロハをこめて発信しています。