火山

真っ赤な太陽

Vog 2008

2008年11月21日の夕方、ハワイ火山国立公園から東に向かってドライブし始めると、車のサイドミラーに真っ赤な太陽が見えました。車を道の脇に停めて写真を撮りました。
この日は風が弱く、キーラウエア火山山頂部のハレマウマウ火口から出ている二酸化硫黄を多く含んだ噴煙が山頂の西側半分に充満していました。 この日、太陽がこんなに真っ赤に見えたのは火山性スモッグ「ヴォッグ」が漂っていたからです。
噴煙中の大量の火山ガス(volcanic gases) に含まれている二酸化硫黄(sulfur dioxide、亜硫酸ガスとも呼ぶ)や硫化水素(hydrogen sulfide)など硫黄を含むガスが上空を漂ううちに、太陽光(sunlight)と大気中の水分や酸素や塵(atmospheric moisture, oxygen, dust)と化学反応をおこして(interact chemically)、エアロゾル粒子(aerosol particles)ができます。この化学反応は数分間のうちに、または数日間のうちに起きるのだそうで、火山ガスと硫酸エアロゾルで霞がかかったような靄(haze)が見えますが、それを火山性スモッグ(volcanic smog)のことをヴォッグ(vog) と呼びます。酸性雨も降らせます。ヴォッグに含まれているエアロゾル(aerosol)は主に硫酸sulfuric acidとその他の硫黄化合物(other sulfate compounds)でできているそうですが、キーラウエア火山のヴォッグにはセレン(selenium)、水銀(mercury)、ヒ素(arsenic)、イリジウム(iridium)など有害な金属も少量ですが含まれているそうです。
硫酸エアロゾルはとても小さく、火山灰とは異なり、なかなか地上へと落ちてこないそうです。日射によって対流が生じる対流圏は上空十数キロメートルで、対流圏内であれば、硫酸エアロゾルは雨に溶け込んで大気中から取り除かれやすいそうです。でも大噴火の場合は噴煙が対流圏(troposphere)を超えて成層圏(stratosphere)まで達し、塩酸エアロゾルが数年間も地球を覆うこともあり、硫酸エアロゾルが太陽光を反射することにより、地表に降り注ぐ太陽エネルギーが減少し、地球が寒冷化するそうです。また硫酸エアロゾルが、大気を保温する働きをもっているオゾンを破壊することにより、寒冷化がひどくなるそうです。このような現象を「火山の冬」と呼ぶそうです。

2008-12-02 | Posted in 火山No Comments » 
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