植物
カヒリ・ジンジャーことキバナシュクシャ: しょうがないショウガ!
ハワイ火山国立公園とその周辺で大繁殖しているカヒリ・ジンジャー(Kahili ginger)。日本語ではキバナシュクシャと呼ぶそうです。ヒマラヤ地方原産のショウガ科の植物で、学名はHedychium gardnerianum。 「世界の外来浸入種ワースト100」に選ばれています。
大きな穂状花序は、カヒリと呼ばれるハワイ王朝時代に使われていた、王族を象徴する鳥の羽で装飾されたポールに似ているので、それがカヒリ・ジンジャーの名前の由来です。夏に黄色い花が沢山が咲き、冬には実をつけます。実が熟して開くと、中は鮮やかなオレンジ色で、そこに真っ赤な種が沢山入っています。鳥が種を運ぶので、繁殖が広範囲に広がります。地下茎からも増えます。
ハワイ火山国立公園には1943年以前に持ち込まれたそうです。外来植物が及ぼす問題などについて知られていなかった時代でした。国立公園内にあるスタッフ用の宿舎の庭に植えたのが問題の始まりだそうです。今では森のあちこちで見かけます。ひどいところでは本来の下生えがカヒリ・ジンジャーの繁殖によりなくなってしまっています。はびこるように群生するからです。
アパパネなど固有種の鳥はカヒリ・ジンジャーの蜜も吸います。アパパネのためになっているといえば、そうかもしれませんが、オーヒア・レフアを林冠とする森の下層にもともとあるべき、種の多様性に富んだ豊かな植生が、カヒリ・ジンジャーによって失われ、カヒリ・ジンジャーばかりになってしまうと、それに勝てる種はありません。オーヒア・レフアの世代交代も不可能です。このような過程で減少していく昆虫や植物たちのなかには絶滅してしまうものもあるでしょう。
ハワイ火山国立公園では、カヒリ・ジンジャーの地下茎を引き抜いたり、除草剤を根に注入して枯らしたりしています。地下茎が少しでも残ると、またそこから増えていきます。