旅行記

いとしいカウアイ島への旅 3日目 その1

3日目は再びコーケエに。2日目にはコーケエの雨の多い環境にある森に行きました。今度は適度に雨が降る環境から乾燥した環境へと向かいました。
カウアイ島は古い島なので、深く侵食した谷間が沢山あります。風上と風下での環境の差、標高差による環境の差、それに加えて尾根と谷とでの環境の差もあります。局所的な微気候帯が多いようです。
これはトベラ科のホーアヴァ。カウアイ島の固有種です。ハワイ島にも微気候帯に適応したホーアヴァが何種かあります。

hoawa in Koke'e

アカネ科のマノノが実をつけていました。同じくアカネ科のコーピコもこの辺りに生えていました。下の写真はマノノです。

manono in Koke'e 

トウダイグサ科のポオラーという木もありました。ハワイ島にもある木だそうです。私はハワイ島のはまだみたことがないので、いつか出会えたらいいなと思います。

poola in Koke'e 

キョウチクトウ科のマイレが沢山生えていました。イラクサ科のマーマキもこの森に生えていましたが、トレイル沿いでは気づいたのは1本だけでした。
北西に向かって下っていくと、だんだん雨量が少ない乾燥した環境に入って行きました。ムクロジ科のアアリイやエパクリス科のプーキアヴェなど乾燥した環境に多く見られる植物が目だってきました。
ビャクダン科のイリアヒが花を咲かせていました。

iliahi in Koke'e

クサトベラ科のナウパカ・クアヒヴィの花が咲いていました。ハワイ島のナウパカ・クアヒヴィの花より細りとしています。

naupaka in Koke'e

コアの花も咲いていました。ハワイ島にあるコアと少し形状が違います。この辺りにはオーヒアも生えていました。

koa in Koke'e

これはキク科のイリアウ。カウアイ島にしかありません。ハワイ島やマウイ島にあるギンケンソウに近い植物です。

iliau in Koke'e

ハワイにあるキク科センダングサ属19種全種を見たいと思っている私にとって、この下の植物をトレイル脇で見つけたときの喜びはとても大きかったです。花が咲いていなかったのが残念ですが、そこに生えていることに気づいただけでも嬉しく思います。これはBidens sandvicesisだと思います。

Bidens sandvicensis ?  

尾根沿いに生えている木は小さいけれど、谷間に生えている木は大きかったです。下を覗いている人は広永さん。
この尾根の反対側でランチを食べました。この辺りにはピナオ(トンボ)が沢山飛んでいました。あっちにも、そっちにも、こっちにも、あっちにも・・・あれっ、あれはデカイ、なんだ?と思ったら、山側のほうにプエオ(ハワイのコミミズク)が一羽飛んでいました。
ハワイ島なら、草原や低木地帯や牧場ではプエオを見かけて、このような山側ではイオ(ハワイのノスリ)を見かけるのですが、カウアイ島にはイオはいないので、そのニッチの一部をプエオがうめているのでしょうか。

Walking on the ridge

上から谷の中を見ると、木の上部が見えるので、葉の色や形でどんな植物が森の林冠を形成しているかがわかります。1種だけ見たことのない植物がありました。双眼鏡で見てもはっきりとは見えなかったのですが、花が沢山咲いていて、実もなっている様子が見えました。下の写真は双眼鏡を通して写したものです。葉も実も見たことがないものなのですが、花の形はクロウメモドキ科のカウイラの花に似ているなと思いました。カウイラの花は写真でだけですが見たことがあったからです。私は6メートルぐらいのカウイラを以前見たことがあります。でもその木の葉とこの木の葉は違っています。

kauila in Koke'e

来た道を戻る途中、ずっとこの木のことが気になっていました。湿潤な森に戻ると、そこにもこれと同じ木があることに気づきました。巨木でした。大きなコアやオーヒアと同じぐらいの高さでした。ナゾの植物・・・
トレールの脇には色んな植物が生えていますが、中に1種、私が以前見たカウイラの葉に似た葉をつけた植物がありました。光沢のある葉です。
ハワイ島ヒロに帰ってきてから調べてみると、あの巨木はやっぱりカウイラでした。4メートルから25メートルに成長するそうで、若いときの葉と大きく成長した木の葉は異なるようです。ハワイ島ではカウイラは少ないのですが、カウアイ島には沢山あるそうです。
私が抱きかかえているのはコアです。

a tree hugger

こんなキノコが生えていました。とても色鮮やかなキノコで、コアの木に生えていました。調べてみると、英語ではSulfur ShelvesとかChicken of the Woodsと呼ぶそうです。学名はLaetiporus sulphureus。沢ってみるとプリンプリンしていました。

Sulfur Shelves in Koke'e

下の写真はウコギ科のオヘ・キロオラーです。カウアイ島の固有種です。下から見上げたらこんな風に見えます。私はこの木の下を歩くときに、こうやって見上げるのが大好きです。
ハワイ島にもこの仲間はありますが、私の行動範囲では、道の脇にある1本しかなく、こんなに大きな木ではありません。なのでカウアイ島に来るたびに必ず、その素敵な姿を眺めたいのです。

ohe kilo'ola in Koke'e

この下の写真はリュウゼツラン科のハラ・ペペ。とても立派に育っています。カウアイ島の固有種です。ハワイ島にもこの仲間があるのですが、大変減少してしまって絶滅危惧種となってしまいました。

hala pepe in Koke'e

カウアイ島には、このような乾燥した環境の森や低木林が他の島よりも多く残っています。ハワイ島にはほんのわずかにしか残っていません。
ハワイ島では雨の多い山地と火山活動の多い山地を中心に自然が残っていますが、カウアイ島では雨の多い山地と侵食を受けて谷と尾根が続くような山地に自然が残っているようです。
この森を歩きながら、1700年代や1800年代初期にハワイ諸島の植生調査を行った人たちの感動と驚きを感じることができたように思いました。
最後にオマケの写真です。これは倒れたコアの木から出た樹液。とても綺麗でした。以前ハワイ島キーラウエアの森で見かけたものはプリンプリンしていて柔らかかったのですが、これは硬く固まっていました。

sap on koa

 

2009-10-13 | Posted in 旅行記No Comments » 
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