その他
ハワイメンハナバチ
アメリカ本土では、ヨーロッパ原産のミツバチではなく、自然界に生息する在来の送粉者(花粉媒介者・授粉者)の存在の大切さ、種の多様性の大切さについての考えが強くなっているようです。農場とそのの周囲の環境が、在来種にとって良い環境となるように工夫されるようになってきたそうです。
世界一孤立した海洋島であるハワイ諸島では、たったの1種しかハチは定着していませんでした。ハワイメンハナバチはたったひとつの祖先種から、63種もの固有種に分化したハワイ固有種。世界中のメンハナバチの10パーセント占めています。海岸線から海抜3000メートルの環境まで、雨が多い環境から少ない環境まで、様々は環境に分布していました。それぞれの環境の植物の送粉・受粉してしてくれる大事な存在です。日本のメンハナバチに近い種だそうです。2016年10月にハワイメンハナバチ(a yellow-faced bee, Hylaeus)63種のうちの7種が絶滅危惧種に指定されましたが、これはアメリカ合衆国でハチが絶滅危惧種として指定されるのは初めてのことです。ハワイ固有植物とハワイメンハナバチは依存しあっているので、どちらも保護しなくてはなりません。この写真は、今月の新聞記事の一部。ナウパカにとまっているハワイメンハナバチ。
外来種であるミツバチは、同じ植物の蜜を取りますが、長い舌で蜜を取るので、受粉はしてくれません。また花に穴をあけて蜜を取るので、蜜だけを取って受粉してくれません。盗蜜者です。ミツバチがハワイ(オアフ島)に持ち込まれたのは1850年代。1890年代には、牧場の牛に食べさせるための飼料として南米原産のキアヴェという木が用いられえるようになりました。キアヴェが実をたくさんつけるように、受粉者としてミツバチが利用され、キアヴェの森がどんどん広がっていきました。同時に、キアヴェのハチミツが商業的に生産されるようになりました。なるほど・・・確かに、ハワイ島の西海岸はキアヴェが多い外来植物だらけの環境になっています。マウイ島もかなり広い範囲にキアヴェが繁殖しています。在来の植物にとっても、メンハナバチにとっても迷惑な話です。別の環境では、ストロベリーグアヴァの繁殖が問題になっていますが、ミツバチによる受粉が原因のひとつのようです。
ハワイにおける、外来種であるミツバチは、私たちが食べる野菜や果物の作物種の受粉をしてくれ、おいしいハチミツも作ってくれるけれど、ハワイの自然環境にとっては害にもなるので、バランスよく共存できる程度の繁殖でありますように。
下の写真は、最近私が撮ったもの。ハワイ固有のコットン「マオ」の花にとまっているメンハナバチ。現在は外来種のメンハナバチがハワイに定着しているそうなので、この写真のものは、どうかな。固有種でありますように。