自然保護
アースデイ(地球の日)
アースデイの創立者はウィスコンシン州出身の元上院議員ゲイロード・ネルソン氏(1916-2005)で、上院議員となった翌年である1963年の3月25日に上院議会で、 "We need a comprehensive and nationwide program to save the national resources of America," 「アメリカの資源を保護するために、徹底した国土全土に渡るプログラムが必要である。」"We cannot be blind to the growing crisis of our environment. Our soil, our water, and our air are becoming more polluted every day. Our most priceless natural resources–trees, lakes, rivers, wildlife habitats, scenic landscapes–are being destroyed." 「拡大する環境の危機に目を瞑っていてはいけない。土壌や水や空気は日に日に汚染されている。我々の最も貴重な国の資源である木や湖や川や野生生物の生息地や景色は破壊されつつある。」と訴えました。そしてジョン・F・ケネディー大統領が「全米資源保護ツアー」を行い、ペンシルベニア州、ミシガン州、ミネソタ州、ウィスコンシン州、ワイオミング州、ユタ州、ワシントン州、カリフォルニア州でスピーチを行いました。しかし、期待していたほどメディアによる報道もなく、満足できるものではありませんでした。
ネルソン氏は 環境問題に対する関心を高めるためには別の手段が必要であるということに気づきました。"How are we going to get the nation to wake up and pay attention to the most important challenge the human specifies faces on the planet?" 「人類が直面している最大の難問について気づくようになり、注意を払うようにするには、どうすればよいのか」と考えていたところ、ちょうどそのころ、ベトナム戦争に反対するティーチ・イン(大学内での討論集会)が全米の大学キャンパス内で行われていました。ネルソン氏は、そのことに関する記事を読み、そこで、環境に関するティーチ・インを全米で行うというアイデアが浮かびました。アースデイを発起するための募金を調達し、全米の州知事と主要都市の市長に手紙を出して、アースデイ宣言を公表するように呼びかけました。また、アースデイに関する記事を全米の大学内新聞に送り、Scholastic Magazine(小学校、中学校、高校で教材としてよく用いられる)にも送りました。
この呼びかけが成功して、初のアースデイ(1970年4月22日)では、環境に対する関心を表す教育活動や地方自治体によるイベントに約2千万人もの人々が参加しました。この日、国会は閉会し、上下院議員全員が環境に関するスピーチを行ったり、地方自治体によるイベントに参加したりしました。ニューヨーク州では、ジョン・V・リンジー市長により5番街の車道が閉鎖され、セントラルパークでエコロジー・フェアが催され、10万人もの人々が参加しました。
ウィスコンシン大学でのアースデイ・セレモニーでは、ネルソン氏がスピーチを行い、人類にとって、そして全ての生き物にとって、良い環境というものがいかに大切か、そして今後、より一層の努力が必要であることについて発言しました。
小・中・高校合わせて1万校、大学2千校、1千の自治団体が、全米に渡るアースデイ活動に参加しました。大規模な草の根運動となりました。
ネルソン氏は、アースデイを創立しただけでなく、環境に関する本を出版したり、上院議会でで環境保護に関する指針を提案しました。 リチャード・M・ニクソン大統領により、環境保護局が設立されました。
ネルソン氏は、1968年に制定されたアメリカ東部のジョージア州からメイン州まで2160マイル(3456キロ)続くアパラチア山道の保護する法律と国有遊歩道網法、車の燃料効率基準の設定、露天採鉱による損害の規制、殺虫剤(DDT)の使用禁止などにつながる法律の最も重要な支援者でした。また、1970年の大気汚染防止法、1972年の水質汚染防止法の修正、絶滅危惧種保護法の実現へと導いた先導者でもあります。
現在、毎年4月22日に日本も含め世界中でアースデイのイベントが再開されています。 1970年の初のアースデイのコーディネーターとして活躍したデニス・ヘイズ氏が、現在もアースデイ・ネットワークの会長として活動しています。
このブログは、ハワイ島でエコツアーを案内するHAWAII NATURE EXPLORERSの環境保護への取り組みのひとつです。緑豊かなヒロよりアロハをこめて発信しています。