ハワイの鳥について

交差したくちばしで虫を食べるアケパ Photo by Jack Jeffreyハワイ諸島は太平洋のほぼ中心にあり、主な大陸から4000~6000 km も離れているので、古くから独自の生態系が営まれてきました。 植物だけでな鳥も特殊な進化をしました。

現在37種(分類法によっては32種)の固有種が生息しています。中でも代表的なのはハワイアン・ハニークリーパー(ハワイミツスイ)と呼ばれる種です。世界一驚くべき種分化した種といっても過言ではありません。ユーラシアのアトリ科マシコ属の鳥(Carpodacus)を姉妹郡とするある種のフィンチが、アジアからハワイに渡ってきて、カウアイ島とニイハウ島が生まれたころ(約570万年前)からハワイの多様な環境のニッチに適応して、くちばしも外見も大きく異なる約50種へと進化しました。くちばしを交差させて虫を採る種もいます。下くちばしだけでなく、上くちばしも動かせる種もいます。

ハワイ固有の鳥はハニークリーパーの仲間達だけはなく、ツグミやヒタキ、ノスリやコミミズク、ガンやカモ、シギなどもいます。 カラスは野生の個体はもういませんが、飼育センターに何十羽かいます。力強く木をつついて虫を食べるアキアポラアウ Photo by Jack Jeffrey

ポリネシア人が移住してきてから、川が流れているところや、海辺の土地などが開拓され、西暦1778年にキャプテン・クックがハワイを発見して以来、ビャクダンの乱伐採に始まり、サトウキビ畑や牧場のために森林がどんどん伐採されてしまいました。50種以上もいたハニークリーパーのうち、現在はその約3分の1しか残っていません。現在残っている種の約半分は絶滅危機に直面しています。絶滅してしまったものや絶滅危機におかされているのはハニークリーパーの仲間だけでなく、他の鳥たちも同様です。

西洋人たちの船に便乗してやってきた蚊は大きな問題です。外来種の鳥たちが持ってきた病気を媒介し、ハワイ固有の鳥達に感染させるからです。ハワイ固有の鳥達は免疫がないので死んでしまいます。ノスリや水鳥は大丈夫なようです。アマキヒは免疫をつけたようで、場所によっては低地にも住んでいます。でも、その他の鳥達は、蚊がいない標高が高めのところにしか住めません。標高が高めのところに森林があればいいのですが、牧場となってしまっている場合が多いです。

器用にママネの実を食べるパリラ Photo by Jack Jeffrey西洋人が持ち込んだ野ブタが住んでいる森林は、水溜りが多く、蚊が増える原因となります。また野ブタや他の草食哺乳動物が住んでいると、下層植生が減少しているので、生態系が崩壊状態です。下生えの植物の花の蜜や実を好んでいた鳥達にとっては最悪の状態です。外来種の植物の繁殖によってハワイの森林がダメージを受けているところもあります。

ハワイを訪れても、ハワイ固有の鳥たちについての話を耳にしないまま帰ってしまう人がたくさんいます。住民でさえ知らない人がたくさんいます。リゾートホテルや住宅がある標高の低いところでは、海鳥と水鳥と渡り鳥とイオ以外は、ほとんど全て外来種の鳥達しか見かけることがありません。

アマキヒ Photo by Jack Jeffreyハワイ固有の鳥達を保護するために、森林をフェンスで取り囲み、草食哺乳動物の侵入を防いだり、外来種の植物や虫の駆除行ったり、個体数増加を促すために飼育したり、森林再生をしたりして保護活動が行われています。

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ハワイの自然をこよなく愛すジャック・ジェフリー氏
ジャック・ジェフリー氏は、元ハカラウ・フォーレスト国立 野生生物保護区の生物学者であり、すばらしいハワイ野鳥写真家でもあります。このウェブサイトで使われている鳥の写真は彼が撮影したものです。

>> Jack Jeffrey Photography


カウアイ島のナチュラリスト・ガイドであるデイビッド・キューン氏は、ハワイの鳥の鳴き声などのレコーディストでもある。是非、下記のリンクをクックして、ハワイの自然のサウンドを楽しんでください。

>> SoundsHawaiian