ハワイの植物について

ハワイのミントハワイの島々が誕生してから、種子植物は10万年に1種、シダ植物は20万年に1種という割合で太平洋を渡ってきたと言われています。

風と共にやってきたものもあれば、海に浮かんで渡ってきたもの、渡り鳥に運ばれてきたものもあります。せっかくたどり着いたのに、芽生えることができなかったもの、芽生えたけれど枯れてしまったもの、子孫を残すことができなかったものもあるでしょう。

生き延びて子孫を残すことに成功したものの多くは、草食飾哺乳動物がいない環境で、多種多様で孤立した生態系の中で、 他に例を見ない植物へと進化を遂げました。 たとえば、草食哺乳動物に捕食される恐れがなかったため、防衛手段であった毒や棘を退化させてしまった植物があります。たとえば、かぶれないウルシ、葉の縁の棘がないヒイラギ、茎に棘がないラズベリー、葉や茎に棘のないイラクサなどです。 ミントは外敵である虫がいない環境であるがために香りを失ってしまいました。

ハワイのヒイラギ花の形が鳥のくちばしの形をしているものもあります。植物と鳥が共進した素晴らしい例です。 ある種の虫にだけ受粉してもらうようなものもあります。に生育個体数が極端に少なくて、遺伝的な多様性に乏しいために、急激な環境変化に弱い種や、競争相手や天敵がいない環境に適応したために、生育競争力の弱い種が多いです。

ポリネシア人が移住してきたとき、25種ほどの植物と、豚、犬、鶏を連れてきました。ネズミやヤモリがポリネシア人のカヌーに便乗してきたようです。そして西洋人の渡来とともに、ウシ、ウマ、ロバ、ヤギ、ヒツジ、シカ、イノシシなど、草食哺乳動物を連れてきました。ネズミや蚊は西洋人たちの船に便乗してきました。

オヘロ・アイ外敵から身を守るための防衛手段を失ってしまった植物たちは、あっという間に食べられてしまったわけです。農地や宅地開発のために、湿地は埋められ、森林は伐採されてしまいました。湿地や森林の減少とともにハワイ植物や鳥の多くが絶滅してしまいました。蚊が外来種の鳥たちが持ち込んだ鳥の病気を媒介し、ハワイの鳥達は免疫がないので、感染すると死んでしまいました。装飾品として美しい羽が大量に使われたために個体数が減少し、その後絶滅してしまった鳥もいます。特殊な花の蜜を好んでいた鳥がいなくなると、その植物も減少し、最終的に絶滅となってしまった種もあります。虫が絶滅したことにより絶滅してしまったものあります。

ナエナエハワイ固有植物の花や実は、とても色鮮やかなものもありますが、小さなものが多いです。地味な植物も多いです。森一面が花や実で彩るということはありません。いかにも熱帯植物というようなものは非常に少なく、亜熱帯植物が多いです。ハワイにはもともと熱帯ジャングルのようなところはありませんでした。マングローブもありませんでした。ハワイに椰子の木のイメージがありますが、ココヤシはタロイモや、州を象徴する植物として選ばれているククイなどと共にポリネシア人が持ち込んだものです。プルメリアやブーゲンビリアなど、リゾートホテルや公園や住宅地で見かける植物の多くは外来種です。

現在、絶滅危惧種と指定されているハワイ固有植物は非常に多く、保護するために、森林をフェンスで囲って草食哺乳動物の侵入を防ぎ、外来植物の繁殖を防ぎ、人工授粉したり、森林再生をして、ハワイの自然を守る努力をしています。

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University of Hawaii Botany Department
>> Hawaiian Native Plant Genera 
>> Alien Plants in Hawaii 

Hawaiian Ecosystems at Risk project (HEAR)
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