ハワイアン・フード
ウル(パンノキの実)
パンノキはハワイ語でウルといいます。ポリネシア人がハワイに持ち込んだクワ科の植物です。でんぷん質な実は、蒸したり、茹でたり、揚げたり、焼いたりすることができますが、電子レンジで簡単に調理することもできます。
硬く若いものから、熟して皮の色が黄色くなったものまで、どの段階でも調理することができますが、私は上のようにまだ緑色なのだけど、少し茶色くなった部分があって、指で押してみるとやわらかくなっているものを調理します。
お皿か器の上に置いて、電子レンジに入れます。この写真の実は幅が15センチほどのもので、15分の調理時間でちょうどでした。5分おきに実を回しました。
15分間(実の大きさによって時間を調整して)電子レンジで調理して、串を刺して中心部までやわらかくなっているかどうか調べます。OKであれば、実の一部を切り取って、中の芯を取り除いて、芯がなくなった実の中心部にバターを入れます。私はまるごと1本入れました。
切り取った実の部分を元に戻して、アルミフォイルで包み込みます。この段階ではまだ実が熱いですから、その熱で充分にバターが溶けます。バターがアルミフォイルから流れ出すことがあるので、電子レンジに入れたときに使ったお皿か器をまた使います。
約5分後にアルミフォイルを開いて実を切って出来上がり。サツマイモのようにホクホクとしていておいしいです。私はバターの味で充分ですが、塩分が足りない場合にはお塩を使うといいです。
クロロ (Kulolo)
クロロはおろしたカロ(タロイモ)とココナッツ・ミルクで作ったプリンのようなものです。黒砂糖や蜂蜜が入っているので甘いです。食感と甘さはは少し羊羹とにています。
Puaʻa Kālua 蒸し焼きしたブタ
ハワイには、西洋人が移入したイノシシがあちこちに棲んでいます。feral pigまたはwild pigと呼びます。意味は野ブタです。ハワイ語ではプアア(pua’a)です。この写真のは、知り合いの家で飼っているものです。(飼っていたと過去形で言ったほうがよいかもしれません。なぜなら、2006年に撮った写真なので、もうすでに調理されてしまっただろうからです。)
地面に穴を掘り、イム(imu)というかまどを作って土の中で蒸し焼きする方法は、ハワイの伝統的な調理法です。このように蒸し焼きする調理法をカルア(kālua)と呼びます。
このように調理したブタのことをカルア・ピッグといいいます。またはカルア・ポークです。ハワイ語ではプアア・カルア(pua’a kālua)。
地面に掘った穴の中に、直径20-25センチの石を沢山(穴の底部を敷き約2重に詰められるだけの数)入れ、その上に木を沢山置いて燃やします。
木が燃え終わったら、墨を取り除きます。
石をイムの底部に均等に並べます。
焼いた石は、とても熱くて、気泡の中が赤く見えます。
バナナの幹を細長く切ったものを石の上に置いて、その上にブタを置きます。この日のは豚肉をティーの葉で巻いて、それをアルミフォイルで包んだものを調理しました。お鍋の中に入っているのは、タロイモと黒砂糖とココナッツミルクを混ぜたものが入っています。kulolo(クロロ)というデザートができます。
その上に熱い石をいくつか置いて、
ティーの葉とバナナの葉を沢山置きます。
水で濡らしたキャンバス地を置いて、
蒸気を逃がさないようにタープで覆い、
もう一重覆って、
土で覆って、完了です。これまでの過程は約2時間。これは朝の作業です。8時間後にイムを開けます。
夕方、ティーの葉とアルミフォイルで包んだ肉をとりだして、肉だけを大きな入れ物に入れて、肉をフォークで裂きます。塩で味を調節して(醤油を加えるのもいい)出来上がり。
ハワイアン・フード
左から時計回りで、豚肉を蒸し焼きにしたカルア・ピッグ、豚肉をタロイモの葉で巻いてからキー(ティー)の葉で更に巻いたラウラウ、ご飯(カリフォルニア米)、トマトとタマネギと鮭のロミ・サーモン、緑豆はるさめと鶏肉のチキン・ロング・ライス、ココナッツ・ミルクで作ったハウピア、そしてお醤油(ハワイ産のアロハ醤油)です。
ヒロのケアウカハにあるでKa Uhane Hemolele Oka Malamalamaという教会の人たちに作っていただいたものです。ケアウカハの海辺で、波の音を聞きながら食べるハワイアン・フードは一段と美味しいです。
この日は、アオウミガメも、ザトウクジラも見ることができました。
ポイ (Poi)
米が日本人にとって欠かせない主食であるように、タロイモはハワイ先住民にとって欠かせないものでした。現代人もタロイモを食べます。ただ蒸かして食べても美味しいですが、蒸かしたタロイモをつぶして、少しずつ水を加えていき、どろっとさせたポイ(poi)をよく食べます。ポイは直ぐに売り切れてしまいます。
大抵ナイロン袋に入っていて、冷蔵されていないものが市販されています。当日作ったもの、1日経ったもの、2日経ったものなどありますが、日が経つにつれ酸味がでてきます。それが好きだという人もいますが、そうでない人もいます。 水を加える前のものはパイ・アイ(pa’i ‘ai)と呼びます。これはポイよりも日持ちがよいです。
私は酸味のないものが好きです。袋入りで冷蔵されていないものだと、いつ作ったものかを見てから買っています。
上の写真のポイ「Hanalei Poi」は、このような容器に入っていて冷蔵されているものです。冷凍されている場合もあります。これは酸味がないタイプです。カウアイ島のハナレイ渓谷のタロイモで作ったものです。
このハナレイ渓谷の写真は近藤純夫さんが撮影なさったものです。(実は、このポイの記事を書いたときには、私が撮った写真を使ったのですが、ハナレイ渓谷の美しさが十分に表現できていない写真でした。そこで近藤さんが、この写真を提供してくださいました。近藤さん、ありがとうございます!というわけで、2008年12月12日、この近藤さんの写真を加えて、この文章と以下を追加しました。)
タロイモはポリネシア人がハワイに持ち込んだ植物です。ハワイ語ではカロ(kalo)といいます。タロイモ畑のことをロイ(lo’i)といいます。
ロイでは、水がちゃんと流れているかをチェックしたり、雑草を取り除いたり、畦がしっかりとしているかを点検したり、ロイの周りの草刈をしたり、収穫まで色んな作業が必要です。手で植えて、手で収穫します。フリ(huli)と呼ばれる、カロの上部と茎の部分を植えてから10?14ヶ月ぐらい(種類)によって異なります)経つと収穫します。 下の写真は収穫している様子です。
19世紀にロイは減少してしまいました。土地が売買され、伝統的な土地の利用は資本主義社会に適した利用に置き換えられ消えていきました。サトウキビ・プランテーションのために用水路がつくられて、ロイに水が流れてこなくなりました。ワイキキなどは運河が作られ水田だったところは埋め立てられました。タロイモよりも米やパンを食べる人が増えました。カロの栽培も含めてハワイ文化は原始的と思われました。様々な原因でロイは減少してしまいましたが、現在ハワイ文化を重んじる人口が以前よりも増えています。もっともっとロイが見直される時代が来ますように。
ラウラウ (Laulau)
もともとラウラウには、豚肉と塩をまぶした地元の魚を使っていたそうですが、塩漬けしたバターフィッシュが手に入るようになってからは、それが一般的に使われるようになったようです。イム(地面に穴を掘って、熱く熱した石を利用して蒸し焼きにする釜戸)で蒸していました。一般家庭で作る場合は、鍋をレンジにかけて蒸して作ります。オーブンを使って作ることもできます。豚肉の代りに鶏肉を入れたり、バターフィッシュなしでも作れます。
3-5 pounds port butt/shoulder roast
1.5 pounds butterfish
Alaea sea salt /Hawaiian sea salt
15-30 lu’au (young taro leaves)
15-50 la’i (ki/ti leaves)
約1.36-2.27キロ、グラム豚肉肩ロース
約680グラム、塩漬けバターフィッシュ
アラエアまたはハワイアン・ソルト
15-30 ルアウ(タロイモの若い葉)
15-50 ライ(ティーの葉)
葉っぱを洗って、ティーの葉は芯を取り除きます。豚肉は角切りにします。魚も適当に切ります。
ルアウ(タロイモの若い葉) は、大きければ1枚、小さければ何枚か重ねます。その上に(葉の中心部のあたり)肉を置いて、塩をまぶします。葉を折りたたむように肉を包みこみます。次にライ(ティーの葉) で包みます。それをさらにアルミフォイルで包むとしっかりと固定できます。
蒸し器または鍋で約3-4時間蒸します。肉がほつけるようにやわらかくなっていると蒸しあがっています。ルアウ(タロイモの若い葉) は食べますが、ライ(ティーの葉) は食べません。
ルアウ(タロイモの若い葉) をほうれん草で、ライ(ティーの葉) をとうもろこしの皮で代用することができるそうです。バターフィッシュの代りにサーモンでもいいそうです。チキンで作ったラウラウも美味しいです。上の写真のラウラウは豚肉だけで作ったものです。
多めに作って、残ったものをライ(ティーの葉)をつけたまま冷凍しておくと便利です。
チキン・ロング・ライス (Chicken Long Rice)
18世紀に中国人の移民があってから、広東風の影響を受けた食べ物だそうです。
3.5 ounces long rice (bean threads)
3 pieces chicken thighs, boneless and skinless, cut into small cubes or chunks
1 inch thumb of fresh ginger, peeled, julienne
4 cups chiken stock or chicken broth
Salt and pepper to taste
6 green onions, cut into 1-inch long stips, the bias, or thinly sliced
緑豆はるさめ(中国語では緑豆粉絲。じゃがいも澱粉やさつまいも澱粉を原料にした日本のはるさめよりも煮崩れしません):100グラム
チキン腿肉:骨と皮のないもの3つ、小さめに切る
しょうが:2?3cm、皮を剥き、千切りにする
鶏がらスープ:4カップ
塩・コショウ:お好みに合わせて
ねぎ:6本、2-3cmに、斜めに、または小口切りに切る
作り方:
緑豆はるさめを1時間ほど水に浸して、水を切り、3インチ(7?8cm)に切ります。鍋に鶏がらスープとしょうがを入れて熱します。チキンを加えて10?15分間ほどとろ火で煮た後、緑豆はるさめとねぎを加えて5?10分間とろ火で煮ます。
すぐに食べない場合は、緑豆はるさめが、どんどんスープを吸収してしまうので、鶏がらスープ1杯分は残しておいて、食べる直前に暖めて加えます。
*椎茸、にんじん、たまねぎ、セロリなどを入れて調理しても美味しいです。
ロミ・サーモン (Lomi Salmon)
ロミロミとはハワイ語で「揉む」という意味です。ハワイでは昔から生魚に塩を加えて食べる習慣があったようです。1830年代に北アメリカ大陸の太平洋沿岸地域北西部からの鮭が手に入るようになって以来、このロミ・サーモン(ロミロミ・サーモンとも言う)は伝統的ハワイ料理の一品となりました。
6 ounces (170 grams) salted salmon, diced
(If it’s too salty, soak it overnight in water,
then rise it before using)
4 cups tomatoes, diced
1 onion, diced
3 stalks green onion, thinly sliced
塩鮭:あられ切り(5mm角)にしたもの6オンス(約170 グラム)塩鮭はあらかじめ味見をしてみて、塩分が高すぎる場合は、他の材料と混ぜ合わせる前に、一晩水に浸して塩抜きをして、ゆすぎます。
トマト:あられ切りにしたも4カップ
たまねぎ:1個、あられ切りにしたもの(トマトの3分の1ぐらいの量)
ねぎ:3本、小口切りにしたもの
作り方: 小さく切った材料を、揉むように全て混ぜ合わせて、冷蔵庫で冷やします。冷やす時間があまりないときには、氷を入れるといいです。
あとがき・・・上の写真は、私が作ったロミ・サーモンですが、あられ切りにしたつもりが、雑な切りかたをしてしまったため、さいの目切りサイズのトマトが混ざっていますねえ。
ハウピア (Haupia)
ハウピアは、ココナッツミルクをベースにしたプリンのようなデザートです。もともとピア(pia, Polynesian arrowroot, タシロイモ科タシロイモ属Tacca leontopetaloides)を使っていましたが、今ではコーンスターチで代用します。
1/4 cup sugar
1/2 cup cornstarch
3/4 cup lukewarm water
2 cups or 1 can canned coconut milk
砂糖:1/4 カップ
コーンスターチ:1/2カップ
ぬるま湯:3/4カップ
ココナッツミルク:2カップまたは1缶分
作り方: ボールに砂糖とコーンスターチを入れて、よく混ぜます。水を加えて、砂糖とコーンスターチが水に溶け込むまでかき混ぜます。厚底の鍋にココナッツミルクを入れ、弱火で温めます。温まったら、水で溶いた砂糖とコーンスターチを加えます。どろっとして、つやと透明度がでてくるまで(5?10分程)かき混ぜ続けます。火からおろし、型に入れるか、お好みの容器に入れて一晩(最低4?5時間)冷蔵庫で冷やして固めます。
オーブンで蒸し焼きするカルア・ポーク (Oven Kalua Pork)
カルアとは蒸し焼きにすることです。本来は地面に穴を掘って、熱く熱した石を利用します。そのようなかまどのことをイムと呼びます。伝統的な作り方について
4 lb pork butt
2 tablespoons Hawaiian salt or kosher salt
2 tablespoons liquid smoke
1 banana leaf
4 to 6 large ti leaves
豚肉肩ロース:約1.83キロ
ハワイアン・ソルトか、あら塩:大さじ2杯
リキッド・スモーク(薫製風味の調味料):大さじ2杯
バナナの葉:1枚
ティの葉:4?6枚
作り方: オーブンをあらかじめ華氏350度(摂氏177度)に暖めます。予熱(プリヒート)をしている間に、豚肉に約3cm間隔で切り目を入れてから、塩をふりかけて擦り込みます。ティの葉は軸が太く硬くなり始めているところに切り目を入れて、そこから軸を葉から剥がすように取り除きます。バナナの葉で豚肉を包み込みんだ後、ティの葉で包み込みます。それをさらにアルミホイルで包みます。葉とアルミホイルで包み込んだ豚肉をロースト用の耐熱容器に入れて、容器に2インチ(5センチ)ぐらい水をはり、リキッドスモークを加えます。蒸し焼きをするので、水分が逃げないように容器全体をアルミホイルでしっかりと封じてオーブンに入れます。最初の1時間ぐらいは華氏350度(摂氏177度)で、残りの3?3 ½時間(または肉が柔らかくなるまで)は華氏325度(摂氏163度)で蒸し焼きします。オーブンから出した後、ある程度冷ましてから、フォークで細長く解します。
*日本では、ティの葉やバナナの葉は手に入れることが難しいですが、無い場合はアルミホイルだけを使います。リキッドスモークがない場合も、塩味だけでも十分に美味しいです。 オーブンがない場合は、お鍋で蒸し焼きにすることも可能かと思います。
*たくさん作っておいて、残ったものは冷凍しておくと便利です。
*キャベツを炒めて、カルア・ポーク加えて、お醤油とコショウで味付けすると、おいしいKalua Pork & Cabbage「カルアポーク&キャベツ」が出来上がります。