旅行記
カウアイ島とのランデブー 3日目 (その2)
外来植物が侵入防止のために、ハイキングをするときには、
靴についている植物の種を落としてくださいというものです。
馬のたてがみや尻尾や蹄もチェックしてくださいと書いてあります。
Lihue-Koloa Forest Reserveにあるトレイルにありました。
ハワイの森には、もっともっとこのような注意書きが必要です。
ハワイ島と同じくカウアイ島にもこの植物の実を食べる
オーウーというハワ固有の鳥がいました。
1987年以来、観察されていなません。
この実を食べるだけでなく、この花の蜜を吸って受粉をしてくれていたはず。
今では日本から持ち込まれたメジロが受粉しています。
オーヒア・レフアの木もぽつぽつと残っていました。
この標高では、今はハワイ固有の鳥たちが棲めない環境となってしまっていますが、
いつか蚊が媒介する鳥の病気に対する免疫ができますように。
昔、この実の周りについているネバネバした液は、
鳥の羽で装飾品を作るために鳥を捕まえるときに利用されていました。
花の色が気になったのです。黄色い花が咲いているように見えたからです。
双眼鏡で見てみるとやっぱり黄色でした。
ハワイ島だと、場所によっては黄色い花をさかせるものを頻繁に見かけますが、
私にとってカウアイ島で初めて出会ったレフア・マモでした。
ハワイアン航空「エレパイオ号」に載ってリーフエ空港を絶ちました。
エレパイオはハワイ固有のヒタキです。
今年、これまで1種とされていたエレパイオが3種に分類されました。
Kaua’i Elepaio(Chasiempis sclateri)
Oahu Elepaio (Chasiempis ibidus)
Hawai’i Elepaio (Chasiempis sandwichensis)
コンクリートとアスファルトで覆われた大地。
一瞬にしてカウアイ島とハワイ島が恋しくなりました。
人間って不自然な日常生活を送る変わった生き物だなあ。
カウアイ島とのランデブー 3日目 (その1)
どうしても写真が撮りたくて、朝一番に出かけました。
とても綺麗な色です。
追記: キアヴェ(Kiawe)は、コロンビア、エクアドル、ペルー原産の乾燥地帯を好むマメ科植物です。(Prosopis pallida) 1828年にオアフ島ホノルルのカトリック教会のバシュロ神父がパリからキアヴェの種を持ち帰り、教会の隅に植えました。 1832年には実がなり始め、その一本の木から繁殖が始まり、現在では60700ヘクタール (150,000エーカー)を超える範囲に繁殖しています。
カウアイ島とのランデブー 2日目 (その3)
この辺りは雨が少なめだけれど、渓谷よりもずっと向こう側は雨が多い場所。
平均430インチ(10,922ミリメートル)だそうです!
それって10.922メートル!
私が住んでいるハワイ島ヒロは、
海側で平均130インチ(3,302ミリメートル)、
山側で200インチ(5,080ミリメートル)、
ハワイ島で一番多いところで300インチ(7,620ミリメートル)。
ネーネー(ハワイガン)が2羽すぐ側を飛んでいきました。
前回ここに来たとき(2009年10月)には花を咲かせていた
シソ科のモーヒヒは今回は実をつけていました。
アジサイ科のカナヴァオは実をつけ始めたばかりのようでした。
あっと言う間にもう夕方。
山を下り始めると前方に虹が見えました。
日が暮れればオーペアペア(ハワイシモフリアカコウモリ)が出てくるかな。
オーペアペアもお腹をすかせているだろうけど、
私たちもお腹をすかせているので、これでホテルへ戻ることにしました。
帰り道に見えたニイハウ島。
夕暮れ時のワイルク川、ここでもまた、
ネーネー(ハワイガン)が2羽、私たちのすぐ上を飛んでいきました。
カウアイ島とのランデブー 2日目 (その2)
岬から見える丘は白い斑点だらけのように見えました。アー(アカアシカツオドリ)がいっぱいなのです。素晴らしい。
これはアー(アカアシカツオドリ)が飛んでいるところ。
コアエ・ウラ(アカオネッタイチョウ)もたくさん飛んでいました。求愛の空中ダンスは何度見てもあきません。
イヴァ(オオグンカンドリ)は他の海鳥が口にくわえている餌を横取りする海賊のような鳥なのですが、悠々とかっこよく飛ぶ姿を観ていると憎めない鳥です。
そして最後にネーネー(ハワイガン)。草を食べる姿も、飛ぶ姿も両方見ることができました。
カウアイ島とのランデブー 2日目 (その1)
ワイパーからみるハナレイ湾。ワイパーとはせき止められた水。白い砂浜で川の水がせき止められるところから来た名前だという説があります。
タロイモ畑にはアラエ・ウラ(バン)やアエオ(ハワイセイタカシギ)がいました。用水路の中にはオオプというハワイ固有のボウズハゼがいました。
これはカウアイ島固有のウコギ科の植物 munroidendron racemosum の新芽です。絶滅危惧種です。
川(muliwai)からタロイモ畑への用水路(‘auwai)に向かって一列に並べられた大きな岩。昔の人たちの生活の知恵が偲ばれます。
カウアイ島とのランデブー 1日目 (その2)
カウアイ島リーフエ空港に到着。カウアイ島に来ることの楽しみのひとつは海鳥に会うこと。この季節(7月)にはコアホウドリ(Laysan Albatross)が来ているはず・・・楽しみでなりません。このポスターはリーフエ空港に貼ってあるものですが、コアホウドリが海洋ゴミを食べ物と間違えて飲み込み、お腹の中がゴミでいっぱいになってしまい死んでしまうという事実を訴えているものです。 (ミッドウェイ諸島のビデオ)
カウアイ島は、よくハリウッド映画のロケ地として使われます。今回はちょうど次のパイレーツ・オブ・カリビアンの撮影が行われている最中で、私たちが泊まるホテルの横がトレーラーの駐車場となっていました。まずはホテルの部屋に荷物を置いて、それから冒険開始。
キーラウエア岬は国立野生生物保護区です。独立記念日だったために閉まっていましたが、少し離れたところから海鳥の観察をしました。アー(アカアシカツオドリ)、イヴァ(オオグンカンドリ)、コアエ・ウラ(アカオネッタイチョウ)、ネーネー(ハワイガン)を観ることができました。コアエ・ウラ(アカオネッタイチョウ)は求愛の空中ダンスを繰り返していました。
ハーエナにあるワイカナロア・ウェット・ケイブ。ワイカナロアとは海の神様カナロアの水。
カウアイ島とのランデブー 1日目 (その1)
2010年7月4日、独立記念日に2泊3日でカウアイ島へと出かけてきました。我が家を出発するときの東の空はとても美しかったです。
ヒロ空港へ向かう途中の道・・・雨上がりのしっとりと濡れた道、黄色い朝日がキラキラと輝いていました。
ハワイアン航空の「プエオ」号に乗って、まずはオアフ島ホノルル空港へ。プエオはハワイのコミミズクです。今回カウアイ島に棲んでいるプエオに会えるかな?っと心を弾ませていよいよハワイ島から離陸開始。
ホノルル空港で朝食を食べながら読んだ言葉。「MAY EACH ADVENTURE BE AS DELIGHTFULLY DIFFERENT AS THE NEXT.」(どの冒険も次の冒険と同じぐらい喜びと楽しみに満ちた独特なものでありますように。)
ホノルル空港からカウアイ島リーフエ空港まではハワイアン航空の「ポオウリ」号でした。2004年にライブカメラで観た可愛いポオウリの姿が忘れられません。
いとしいカウアイ島への旅 4日目
雨上がりのポイプーを出て、リーフエ空港へ向かいました。近藤さんと広永さんの下見はまだ続きますが、私はハワイ島へ戻らなければなりませんでした。とても名残惜しかったです。
オアフ島ホノルル空港からハワイ島ヒロ空港までの便の、ハワイアン航空80周年を祝うレトロなポスターはハワイ島のポロル渓谷の景色のようでした。ハワイ島に戻るのにはぴったりな絵だなと思いました。
黒い溶岩でできた海岸線が見えてきました。もう直ぐヒロです。この飛行機の名前はオーウーでした。この鳥は元々カウアイ島、オアフ島、モロカイ島、ラーナイ島、マウイ島、ハワイ島にいたのですが、1800年代に減少が進み、オアフ島、モロカイ島、ラーナイ島、マウイ島では1900年代初期に絶滅してしまいました。カウアイ島とハワイ島だけに残ったのですが、カウアイ島では1989年、ハワイ島では1987年以来姿を見せていません。
現在残っている鳥達の身を案じながら、ヒロ空港に到着しました。ハワイの自然を体全体で深く感じ、ハワイの自然に関して深く考えることができた旅でした。
いとしいカウアイ島への旅 3日目 その2
夕方コーケエ・ロッジに立ち寄りました。そこにはカウアイ島固有のハイビスカス、コキオ・ケオケオが植えてあります。この種はワイメア・キャニオンと、そこから西と南西の海に面した谷にある種(Hibiscus waimeae waimeae)で、6-10メートルにも成長するそうです。
カウアイ島の北西や北側の谷には、別の亜種(Hibiscus waimeae hannerae)があります。 どちらの花もとても良い香りがします。
コーケエとお別れの時間が近づいてきました。「あ?帰りたくない」っと叫んでしまいました。
小さな虹がでていました。そのときには写真を撮ることに夢中だったので気づかなかったですが、このブログを書きながら、あれっ変だなって思いました。夕方なのに虹が見えていた方角は西側です。これはrainbowではなくsundog(幻日)っていうものだったのですね。
ワイメアの街へ下っていく途中、ニイハウ島が見え、太陽の光が雲から差し込む景色がとても幻想的でした。
車を停めた道の脇には、雑草にまぎれてビャクダン科のイリアヒが1本だけ生えていました。その小さな花はとても良い香りを放っていました。
ワイメアの街に下りてくると夕暮れ時で、空の色がピンク色になりました。急いで海辺へと車を走らせました。素晴らしいタイミングでした。夕焼けにココヤシに桟橋・・・・
そして気づいたのは・・・砂の色。白くなかったのです。カウアイ島にも黒い砂があるとは知りませんでした。真っ赤な溶岩が海に流れ込んでできる真っ黒な黒砂ではなくて、山側にある渓谷の古い溶岩が侵食を受けて砂粒となり、川の水に流され海に注ぎ出たものです。ハワイ島のワイピオ渓谷やポロル渓谷の海辺にあるような黒砂と同じようなタイプみたいでした。
車の側にクマツヅラ科のポーヒナヒナが咲いていました。この葉の香りを楽しんでから車に乗りました。
いとしいカウアイ島への旅 3日目 その1
3日目は再びコーケエに。2日目にはコーケエの雨の多い環境にある森に行きました。今度は適度に雨が降る環境から乾燥した環境へと向かいました。
カウアイ島は古い島なので、深く侵食した谷間が沢山あります。風上と風下での環境の差、標高差による環境の差、それに加えて尾根と谷とでの環境の差もあります。局所的な微気候帯が多いようです。
これはトベラ科のホーアヴァ。カウアイ島の固有種です。ハワイ島にも微気候帯に適応したホーアヴァが何種かあります。
アカネ科のマノノが実をつけていました。同じくアカネ科のコーピコもこの辺りに生えていました。下の写真はマノノです。
トウダイグサ科のポオラーという木もありました。ハワイ島にもある木だそうです。私はハワイ島のはまだみたことがないので、いつか出会えたらいいなと思います。
キョウチクトウ科のマイレが沢山生えていました。イラクサ科のマーマキもこの森に生えていましたが、トレイル沿いでは気づいたのは1本だけでした。
北西に向かって下っていくと、だんだん雨量が少ない乾燥した環境に入って行きました。ムクロジ科のアアリイやエパクリス科のプーキアヴェなど乾燥した環境に多く見られる植物が目だってきました。
ビャクダン科のイリアヒが花を咲かせていました。
クサトベラ科のナウパカ・クアヒヴィの花が咲いていました。ハワイ島のナウパカ・クアヒヴィの花より細りとしています。
コアの花も咲いていました。ハワイ島にあるコアと少し形状が違います。この辺りにはオーヒアも生えていました。
これはキク科のイリアウ。カウアイ島にしかありません。ハワイ島やマウイ島にあるギンケンソウに近い植物です。
ハワイにあるキク科センダングサ属19種全種を見たいと思っている私にとって、この下の植物をトレイル脇で見つけたときの喜びはとても大きかったです。花が咲いていなかったのが残念ですが、そこに生えていることに気づいただけでも嬉しく思います。これはBidens sandvicesisだと思います。
尾根沿いに生えている木は小さいけれど、谷間に生えている木は大きかったです。下を覗いている人は広永さん。
この尾根の反対側でランチを食べました。この辺りにはピナオ(トンボ)が沢山飛んでいました。あっちにも、そっちにも、こっちにも、あっちにも・・・あれっ、あれはデカイ、なんだ?と思ったら、山側のほうにプエオ(ハワイのコミミズク)が一羽飛んでいました。
ハワイ島なら、草原や低木地帯や牧場ではプエオを見かけて、このような山側ではイオ(ハワイのノスリ)を見かけるのですが、カウアイ島にはイオはいないので、そのニッチの一部をプエオがうめているのでしょうか。
上から谷の中を見ると、木の上部が見えるので、葉の色や形でどんな植物が森の林冠を形成しているかがわかります。1種だけ見たことのない植物がありました。双眼鏡で見てもはっきりとは見えなかったのですが、花が沢山咲いていて、実もなっている様子が見えました。下の写真は双眼鏡を通して写したものです。葉も実も見たことがないものなのですが、花の形はクロウメモドキ科のカウイラの花に似ているなと思いました。カウイラの花は写真でだけですが見たことがあったからです。私は6メートルぐらいのカウイラを以前見たことがあります。でもその木の葉とこの木の葉は違っています。
来た道を戻る途中、ずっとこの木のことが気になっていました。湿潤な森に戻ると、そこにもこれと同じ木があることに気づきました。巨木でした。大きなコアやオーヒアと同じぐらいの高さでした。ナゾの植物・・・
トレールの脇には色んな植物が生えていますが、中に1種、私が以前見たカウイラの葉に似た葉をつけた植物がありました。光沢のある葉です。
ハワイ島ヒロに帰ってきてから調べてみると、あの巨木はやっぱりカウイラでした。4メートルから25メートルに成長するそうで、若いときの葉と大きく成長した木の葉は異なるようです。ハワイ島ではカウイラは少ないのですが、カウアイ島には沢山あるそうです。
私が抱きかかえているのはコアです。
こんなキノコが生えていました。とても色鮮やかなキノコで、コアの木に生えていました。調べてみると、英語ではSulfur ShelvesとかChicken of the Woodsと呼ぶそうです。学名はLaetiporus sulphureus。沢ってみるとプリンプリンしていました。
下の写真はウコギ科のオヘ・キロオラーです。カウアイ島の固有種です。下から見上げたらこんな風に見えます。私はこの木の下を歩くときに、こうやって見上げるのが大好きです。
ハワイ島にもこの仲間はありますが、私の行動範囲では、道の脇にある1本しかなく、こんなに大きな木ではありません。なのでカウアイ島に来るたびに必ず、その素敵な姿を眺めたいのです。
この下の写真はリュウゼツラン科のハラ・ペペ。とても立派に育っています。カウアイ島の固有種です。ハワイ島にもこの仲間があるのですが、大変減少してしまって絶滅危惧種となってしまいました。
カウアイ島には、このような乾燥した環境の森や低木林が他の島よりも多く残っています。ハワイ島にはほんのわずかにしか残っていません。
ハワイ島では雨の多い山地と火山活動の多い山地を中心に自然が残っていますが、カウアイ島では雨の多い山地と侵食を受けて谷と尾根が続くような山地に自然が残っているようです。
この森を歩きながら、1700年代や1800年代初期にハワイ諸島の植生調査を行った人たちの感動と驚きを感じることができたように思いました。
最後にオマケの写真です。これは倒れたコアの木から出た樹液。とても綺麗でした。以前ハワイ島キーラウエアの森で見かけたものはプリンプリンしていて柔らかかったのですが、これは硬く固まっていました。