旅行記
カウアイ島: 2日目(12月13日)
アラカイの深い森に入っていきました。ここは、世界で一番降水量が多いところのひとつです。珍しい植物の宝庫です。あ?、私にとっては天国。
雨が降っていました。時々強い風も吹いてきました。トレールは、板道(boardwalk)になっているところ以外は、ぬかるんでいて、泥だらけでした。
鳥たちは、雨が降っていたし、風が強かったからでしょうか、時々しか見られませんでした。でも、アパパネやイイヴィもいました。アマキヒ、アケケエ、アキキキも見ることができました。あ?、幸せ。
モキハナ、オヘ・ナウパカ、ナニ・ワイアレアレなど、ハワイ島の雨林ではみられない種を、じっくりと観察しながら歩きました。
雨に守られた森・・・約500万年に渡って育まれた森・・・
このブログは、ハワイ島でエコツアーを案内するHAWAII NATURE EXPLORERSの環境保護への取り組みのひとつです。緑豊かなヒロよりアロハをこめて発信しています。
カウアイ島: 1日目 (12月12日)
1年半ぶりのカウアイ島。ハワイ島ヒロからオアフ島ホノルル空港を経由して、カウアイ島リーフエ空港に到着。リーフエ空港に到着する前から、カウアイ島の森の中に入りたくて、ソワソワします。
私が住んでいるハワイ島とカウアイ島と、どっちが好きですかと聞かれると、いつも答えるのに迷います。どちらも同じぐらい好きだからです。
空港に到着後、美味しいサンドイッチを食べて、山の尾根へ登りました。
今年は11月ごろから雨が多くて、このトレイルも泥だらけでした。歩いている最中も雨だったので、流れる水もありました。風も強かったです。自然の中を歩くことが大好きなので、雨が降ってても、へっちゃらです。
最初はテンニンカという外来植物で生い茂っているところを通り抜けて行きました。「通り抜けて」というのがぴったりとしたところでした。この辺り全体に繁殖しているようで、トレイル自体もこの植物で覆われていました。
雨の中、ドロドロのトレイルを歩いていくと、傾斜がきつくなり始めました。すると、ところどころにハワイ固有の植物が見え始め、その数が次第に増えてきて、心が弾んできました。振り返ってみると、美しい緑の山々が見えてきました。息を呑むような景色です。1年半前に歩いた、海の景色がとても綺麗な場所が遠くに見えました。ハワイ島では絶対に見られない景色です。
急な坂を登って行きました。靴は泥んこ、そしてよく滑ります。両手も使って登っていったので、手も泥んこになりましたが、雨が降っていたので、泥はすぐにとれました。
ああっ、この木はコア、これはオーヒア、これはコーピコ、これはイエイエ、これはマイレ、これはナウパカ・・・と次々にハワイ島でも見かける見慣れた固有植物が沢山生えていました。そして、カウアイ島固有の植物も目に入ってきました。興奮状態でした。
とても感動したのは、カウアイ島固有の赤いハイビスカスの花を見つけたからです。大満足!ひとつだけ、けなげに咲いていました。トレイルの両脇は崖です。そういうところですから、人による害が少なく、草食動物に食べられることもなく、生き延びているんですね。何本か生えていましたが、花を咲かせていた木が一番大きいようでした。樹齢はどのぐらいなのか判りませんが、古い木のようでした。幹をなでて、優しく声をかけてあげました。尊敬と、感謝と、励ましの声です。
下りは、何度も尻餅をつきそうになりましたが、無事車に戻り、リーフエで夜の買出しをして、森の中のキャビンへと向かいました。
キャビンに到着したころには、綺麗な星空が見えていました。暖炉に火をつけて、夕食を楽しみました。外から聞こえてくるのは雨の音だけ。壁に飾ってある絵は、私が大好きなウィリウィリの花。夜遅くまで話が盛り上がりました。
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再びマウイ島へ(4)
マウイ島4日目、この日の主な目的はハレアカラー国立公園のレンジャーに案内してもらうこと。今回の旅で1番楽しみにしていたことです。
マウイ島では、「Native」の雨林や雲林が非常に少なく・・・少なくというのは、もともと少ないのではなく、無くなってしまったという意味です。「Native」の森林を観ることができなければ、「Native」の植物や鳥を観ることができなければ、私の今回のマウイ島への旅はパーフェクトでないのです。これまで、海辺の植物や高山・亜高山植物は見ることはできても、ハナ・ハイウェイの途中で、ポツリポツリと残っているオヒアの木以外には、雲林や雨林の植物は、全く見ることができなかったので、わずかにでも残された森を少しでも見たいという気持ちでいっぱいでした。
レンジャーと待ち合わせをしていた駐車場に到着してしばらくすると、ネーネーが2羽、駐車場のすぐ側の草むらに飛んできました。なんてパーフェクトなタイミングなんでしょう。まるで私たちを出迎えに来てくれたようでした。
アメリカ大陸やアジアやオーストラリアなどから持ち込まれた杉や松やユーカリの林を歩き、その中で、ぽつりと残されたオーヒアの木を見て、悲しくなりました。本来、オーヒアやコアの下に生えるような植物も、ぽつぽつとあるだけ・・・「ほんとうなら、このあたりは雲林や雨林だったんだなあ、色んな植物が共存し、色んな鳥たちが住んでいたんだ・・・きっとこんな風だったんだろうな・・・」とハワイ島にある森を目に浮かべて想像力を働かせながら歩きました。
場所によっては、ハワイ島の1部に大繁殖しているハリエニシダやメラノキシロンアカシアなど外来侵入種もあちこち生えていました。ハワイ固有のコアの木に似たメラノキシロンアカシアは、カウアイ島、オアフ島、モロカイ島、マウイ島に侵入・繁殖しています。ハワイ島ではまだ繁殖していないはずですが・・
やっとたどりついた「Native」の森は谷の中でした。谷間には、ウシやシカやイノシシ(野ブタ)などが浸入しなかったために残されたというわけです。そこでは、ハワイ島にはないマウイ固有の植物もありました。やっと観れた「Native」の森・・・とてもうれしかったです。でも同時に悲しみも感じました。ほんのわずかにしか残されていない森・・・あらためて、ハワイ島のありがたみを感じました。ハワイ島も残った森は島全体からみるとほんのわずかの範囲ではありますが、島が大きいので、残された範囲は、マウイ島に比べるとはるかに広いのです。
案内してくれたレンジャーは、「Native」の植物や鳥たちに対する強い気持ちを持っていて、詳しく説得力のある解説をしてくれました。「Native」の森は外来の植生に取り囲まれ、ほんのわずかにしか残っていませんが、彼は彼の語りの中で、私たちを西洋人が渡来する前の、ポリネシア人たちが渡来する前の、手付かずの原生のハワイへと導いてくれました。心の奥深くに通じる体験でした。
この日の夜からは、キーヘイにあるホテルに宿泊。ホテルの前からは白い砂浜が遠くまで続き、海の向こうには、モロキニ島とニイハウ島が見え、とてもきれいな景色でした。夕日もきれいでしたし、夜は三日月の光が海に反射して、神秘的な景色でした。「太陽もビーチも月も千数百年前とは変わっていないけれども、島の大半は大きく変わってしまったんだなあ・・・」と考えながら、今夜も森の中で寝ている鳥たちを目に浮かべずにはいられませんでした。
今回、数本しか残っていないという植物を観たのですが、つぼみがついていました。後1ヶ月すれば開花するそうなので、この植物の青い花を見るためにマウイ島を再訪問したいなと思っています。
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再びマウイ島へ(3)
マウイ島3日目の朝、ネーネー(Branta sandvicensis) の声が聞こえてきました。あわててテントから顔を出してみると、キャンプ場の上を飛んでいくネーネーの姿が見えました。
マウイ島のネーネーは絶滅してしまっていましたが、1962年にハレアカラー国立公園にネーネーが放鳥され、マウイ島でのネネの野生復帰の努力が始まりました。ウエスト・マウイでは1995年にハナウラに放鳥されました。現在ハレアカラー国立公園に約300羽、ウエスト・マウイに約200羽生息しているそうです。
この日は再びハレアカラー山頂に戻り、火口の中へと向かってハイキングをしました。ギンケンソウや他の高山植物をじっくりと観察することもできました。
ハイキングの後は、キャンプ場に戻り、のんびりと過ごしました。夜の星空は最高の美しさでした。前の夜、深夜から明け方にかけて、とても寒かったので、この日の夜はもう一枚多めに着て寝ることにしました。たまねぎのように沢山重ね着をしたので、だるまのような体でした。
再びマウイ島へ(2)
マウイ島2日目の朝、東の空が明るくなってくるとともに起きて、テントをたたみ、ドライブ開始。水平線から登る朝日はとてもきれいでした。海を隔ててハワイ島の4つの山(マウナ・ケア、マウナ・ロア、フアラーライ、コハラ)がはっきりと見えていました。山側には虹がかかっていました。
何箇所か滝の側で車を止めて、私たち以外誰もいない静けさの中、ただ滝の音だけという、清いひと時を楽しみました。
ラハイナに到着し、まずは海辺のレストランででランチ。捕鯨船時代に栄えた当時の面影を残した町並みを見ながら散歩しました。捕鯨船時代の刑務所など、何箇所か歴史的なスポットを見学してきました。
この日の最終目的地はハレアカラー。標高約2000mのキャンプ場にテントを張ってから、3055mの山頂へ向かいました。今年も花を咲かせているギンケンソウをあちこちに見ることができました。「あ?やっぱり、ハレアカラー国立公園っていいなあ?」とギンケンソウの花を見ながら思いました。自然保護の管理が徹底しているからです。
風が強くて、とても寒かったですが、雲海に沈む夕日は最高にきれいでした。キャンプ場に戻ったときには、もう暗くなっていて、三日月と星がきれいに見えていました。
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再びマウイ島へ(1)
1年ぶりにマウイ島に行くことにしました。 ハワイ島ヒロ空港を発ち、北東部の海岸線沿いに飛びながら、飛行機の車窓からブロッケン現象が見れました。マウイ島に着陸する前にまた見ることができました。この旅で何かいいことがありそうな予感がしました。
レンタカーを借りて、まず1日目の目的地は南東部です。 「緑」を求めて出発。 グネグネと曲がった細い道をドライブして、いくつもいくつも小さな橋を渡り、いくつもの渓谷に入り・・・「あっ滝だ、きれいだな、あっ、また滝だ。うわっきれい。うわっ、また滝だ・・・」という感じで、助手席に座っていた私は、潤った景色を満喫することができました。時々雨が降ってきましたが、おかげで何度も虹を見ることができました。
ハナに到着すると、去年とは違った行動をとりました。まず今回見たかったのは、カメハメハ一世が一番愛していたというカアフマヌ女王の誕生の場です。敬意を払ってその神聖なる場所の前に立ってきました。
ハナにあるホテルを見てみたり、小さな資料館に行ったり、赤い砂の浜辺を歩いたり、海辺の植物を観察したり、のんびりと散策しました。
夕方、海沿いにあるキャンプ場に到着し、テントを張った後、海沿いを散歩して、滝も見てきました。海の上には虹がかかりました。帰り道、私たちの上をゆっくりとグンカンドリが飛んでいきました。
夜は雨が降りましたが、テントにあたる雨の音も、なかなか情緒があってよかったです。
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マウイ島への旅
7月にハワイ島からマウイ島へと旅に出かけました。ヒロ空港を発ち、飛行機の窓から眺めるマウナ・ロアとマウナ・ケアの雄大な景色は、何度見ても飽きることなく、見るたびに感動します。
太平洋プレートは年間約10センチ北西に移動しているので、ハワイの島々はホットスポットから離れていっています。その動きに沿って飛行機がハワイ島からマウイ島に向かい、飛行機の窓の外を見ると、斜め後ろの方にハワイ島が見えます。この日は天候が非常に良かったので、コハラ、マウナ・ケア、フアラーライ、マウナ・ロアがはっきりと見えました。あの景色は一生忘れられません。
かつて存在した巨大な島「マウイ・ヌイ」は、7つの火山(ペンギンバンク、ウエスト・モロカイ、イースト・モロカイ、ラーナイ、ウエスト・マウイ、カホオラヴェ、ハレアカラー)で形成されていました。今日のハワイ島よりも大きかったであろうというマウイヌイがホットスポットから離れ、沈降し、侵食を受け、30万?40万年前に2つの島となり、10万?20万年前に3つの島となり、今日ではモロカイ島、マウイ島、ラーナイ島、カホオラヴェ島の4つの島となっています。今日のマウイ島を形成するハレアカラーとウエスト・マウイは、1万5千年ぐらい経つと2つの島になるだろうと言われています。
マウイ島のハレアカラー国立公園に向かう道から望む景色は素晴らしいです。マウイ・ヌイを形成していた山々の頂が海面に浮かぶかのように見えて、ウエスト・マウイとハレアカラーが引き裂かれていっている過程をも見ることができます。
海に覆われてしまったマウイ・ヌイの低地には、毎年11月から5月にかけて(12月から4月がピーク)にはザトウクジラが多く集まってきます。この比較的浅く暖かく、ザトウクジラにとって安全な子育て場所は、ハワイ諸島ザトウクジラ国立海洋保護区と指定されています。
今回のマウイ島への旅の1番の目的はマウイ・ヌイの一番新しい火山ハレアカラーの山頂付近に自生する開花中のギンケンソウや他の高山植物を見ることでした。外来種の色鮮やかで派手派手しい花々より何千倍も何万倍も美しいです。深く長いストーリーがあるから、なおのこと美しさに深みがあるのです。次回はウィリウィリの花を見に行くためにマウイ島の旅を計画しようと思っています。
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USGS “Volcano Watch” 1995年9月12日のマウイ・ヌイについての記事
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美しきカウアイ島
カウアイ島の総面積は、東京都の約3分の2。とても小さな島。島が誕生してか約500万年を経て、自然の力により彫刻された島。その美しさを一目見るだけで、息を呑むような感動に包まれます。数多くのハリウッド映画の舞台にもなったという事実に納得できます。この小さな島は、絵のような景色が一杯詰まっている「庭園の島」だ。
カウアイ島は、私が住んでいるハワイ島と比べると対照的です。ハワイ島にはダイナミックな美しさが多いですが、カウアイ島には繊細な美しさが多いです。カウアイ島がハワイ島のように地学的に幼年期で、まだ火山活動があったころは、山の頂が雲の上に突き出た大きな島だったのでしょう。島の生い立ちを想像しながら巡ると、益々偉大な自然の力を感じ取ることができます。
カウアイ島の森の固有種の植物たちと固有種の鳥たち、そして海鳥たち、目を瞑ると今でも島の美しい姿とともに鮮明に目に浮かび、もう一度あの自然と一体になりたいという気持ちが溢れ出してきます。
カウアイ島の内部はハワイ島の東側に面した山側の森と同じように、美しい自然が雨により護られ残されています。そこは緑の楽園です。雨にだけではなく、深く切り込まれた渓谷により護られています。
観光地化が過度に進んでいないというところが、カウアイ島の魅力の1つです。ハワイ島の西側は、見る見るうちにリゾート観光開発が進んでいます・・・ハワイ島は土地が広いため、オアフ島のワイキキのようなゴミゴミとした雰囲気がないというのが救いなのかもしれないが、マスツーリズムが波の様に押し寄せてきています。開発が過度にならないように願います。