植物
芽生えたばかりのククイ
ククイの種が芽生えているところを見つけました。ポリネシア人がハワイに持ち込んだ東南アジア産のトウダイグサ科の植物です。(Aleurites moluccana) ククイ(Kukui)はハワイ語名。英語ではキャンドルナッツ(Candlenut)。種子に脂肪分が多く、その油は灯火として利用されました。
芽の大きさがわかるように、木から落ちてきて間もない実から取り出した種を側に置いて写真を撮りました。
とても力強い芽生え方ですね。2010年3月7日に撮影したものです。
緑のもの
緑がひときわ美しくみえます。
コシダのことをハワイ語ではウルヘと呼びます。
ウルヘの葉についた雨水はキラキラと輝いていました。
葉の先ひとつひとつについている水滴はまるでビーズのよう。
Kukaenene (Coprosma ernodioides)
アカネ科クーカエネーネーの雄花。
とても小さな花だけど、とても可愛い姿。
Ohelo Ai (Vaccinium reticulatum)
ツツジ科のオーへロ・アイの花。
大抵赤い花のものを見かけるのに、これは緑。
それにスズランの花のようにふっくらとした姿。
よく見てみると、同じ辺りには同じタイプのがここにも、そこにも、あそこにも。
Ohelo Kau Laau (Vaccinium calycinum)
同じくツツジ科のオーヘロ・カウ・ラーアウの花。
たくさん咲いていました。
鳥たちはこの花の蜜を上手に吸います。
<<< 葉も花も、緑が美しい。>>>
強い風に耐えて崖の側に生えるオーヒア・レフア
ハワイ島北部のコハラ。ハワイ島で一番古い土地。海に落ちる崖の側にわずかに残っているオーヒア・レフア。人間による開拓から免れ、人間が持ち込んだ動植物に負けないで、強い風に耐えて所々に残っているオーヒア・レフアを見て、思わず「がんばれ!」と声をかけてあげずにいられませんでした。その周りは、過去に開拓された土地で、元々あった森が伐採されたか、移入された草食動物によって食べつくされたかで、その後に生い茂った外来種の植物だらけでしたが、この写真は、なるべくオーヒア・レフアだけが写るように撮ったものです。
マツオウジ属のキノコ
ハワイ島の北東部に面した外来植物が生い茂る湿潤な森に生えるハラタケ目ヒラタケ科マツオウジ属のキノコです。(Lentinus bertieri) この写真は森口さんに写していただきました。 シイタケと同じ科のキノコです。
傘の径は2?6センチで、若いときはまんじゅう型で、縁は内側に巻きます。成長するとじょうご型になります。茶色ですが、白っぽい毛が生えています。ひだは白または黄色っぽい茶色で密です。枝の長さは1.5?3センチで、幅は3?6ミリで、傘に近いところは白、その他はこげ茶色です。食べられないわけではありませんが、硬いそうです。
我が家の庭にも生えていたので、写真を撮りました。少し古くなっている状態のものでした。
「山に住む女」
このシダは、ハワイ固有のシダのひとつ。名前はワヒネ・ノホ・マウナ(Wahine Noho Mauna, Adenophorus tamariscinus)、意味は「山に住む女」。大抵オーヒア・レフア(Ohia-lehua, Metrosideros polymorpha)の木に着生しています。標高300-1300メートルの湿潤な森で見かけるシダです。
パヴァレ
タデ科(Polygonaceae)ギシギシ属のRumex skottsbergii。スカンポの仲間。ハワイ語ではパーヴァレ。ハワイ島の固有種です。日本の火山地帯でもタデ科の植物が生えていると聞きました。このハワイ島固有種は溶岩台地に芽生えてくるパイオニア植物のひとつです。
野生のロバ
ハワイ島の西側でよく見かける道路標識です。”Donkey Crossing” コーヒー農園などで荷を運ぶ仕事をしていたロバたちは、第二次世界大戦の後、農園でジープが使われるようなったため、職を失って野生化し、今でもその子孫が群をなして放浪生活をしています。
ロバは群をなす動物なので、1匹だけだと寂しくなるそうです。農園で1匹だけで飼われていると、遠くにいるロバと話をしようとするのでしょうか、よく夜中に鳴くそうです。ハワイ島コナ地区では、ロバのことをコナ・ナイチンゲール(Kona nightingales)と呼びました。
野生化したロバがよく道を渡ってきて交通事故の原因となっていたので、ロバの道路標識があるのですが、私はあまり見かけたことがありません。そのかわり野生化したヤギを道の脇でよく見かけます。一部のロバは数年前に、事故を防ぐためにフェンスで囲まれたところに移動させられました。上の写真のロバたちは、フェンスの内側で見かけたものです。
長い間、道の脇にいるロバは見たことないなと思っていたら、2009年6月2日の夜11時ごろ、久しぶりに見ました。真っ暗な夜道をドライブしてヒロに帰る途中、お尻を向けたロバの姿を見ました。ロバは普通Donkeyといいますが、Assというのもロバのことです。でもAssというのはケツ(お尻)のような意味でよく使われる言葉です。この夜、どちらの意味でもAssを見てしまいました。
ヤギやロバは、このような乾燥した環境に住んでいますが、乾燥した地帯のハワイの大切な植物を食べてしまうのでよくないです。
追記:コナからワイコロアに移されたロバは、干ばつのために住宅地へと来るようになり、2011年9月に120頭がカリフォルニア北部へと送られました。ですが、まだ何百頭のロバが残っています。その何ヶ月かあと、真夜中にドライブしていると、1頭のロバが私たちの車の前を横切りました。暗い夜道で、すぐ側でないと見えないので、とても危険です。
オーヒア・レフアの木
古いオーヒア・レフアの木。
5?600年ぐらい生きているのでしょうか。
直径が1年に1ミリぐらいしか成長しないというオーヒア・レフア、
この木たちは、いったいどんな変化を見てきたのでしょうか。
大きな気根をぶら下げているものもあります。
コアの木
鳥達の声と、風に揺らぐ木々の音しか聞こえない古い森の中で、この大きなコア(Acacia Koa)の木の幹を触りながら、森の話や木々の話をしていたら、バキバキ・ガサガサ・ドシンという音と共に、傾いていた大きな枝が折れて倒れました。一瞬のできごとでした。
折れて倒れてきた主枝は、随分大きく長いものでした。割れた部分を見てみると、何年も前に割れた部分は腐って脆くなっていました。生きた部分が重い枝を長い間支えていたのでしょう。でも、とうとうこの日限界が来てしまったようです。
新しく割れたところは、しっとりとしていて、白っぽく綺麗な色でした。樹皮のすぐ内側は鮮やかな赤でした。当たって皮が傷つけられたところも赤い部分が見えていました。まるで動物が怪我をして血で赤くなっているような感じでした。
この部分は師部(phloem)と呼ばれる、糖を豊富に含んだ樹液を輸送する生細胞から成る部分なのでしょうか。ハワイ固有の蝶、プレレフア(カメハメハ・バタフライ)は花の蜜だけでなく、コアの樹液も好きです。
先端の枝を見てみると、既に枯れているものもありました。その中には虫が住んでいました。生きた部分も枯れた部分も、しっかりと森の命を育んでいます。
ハワイ島キーラウエアのコオコオラウ
これはハワイ島キーラウエア火山のコオコオラウ(ko’oko’olau)です。キク科(Asteraceae)センダングサ属(Bidens)です。キーラウエア火山南東部にあたるプナ地区のカラパナの溶岩台地で見つけました。学名はBidens hawaiensisです。
上の写真では、内側の筒状花(とうじょうか, disk florets)が開き始めた様子がわかります。ひとつだけ開いています。
上の写真では筒状花が全て開いていて、それぞれのめしべがぐっと出ていて、外側の舌状花(舌状花、ray florets)は少し反り返っています。
キーラウエア火山とコハラ山の標高50-1400メートルの乾燥低木帯、溶岩台地、湿潤森林帯に生える固有種です。70センチから2.5メートルに成長するそうです。