植物

ハワイ島マウナ・ケア山のコオコオラウ

Biden menziesii 1

マウナ・ケアの標高1890メートルぐらいのところで見つけキク科(Asteraceae)センダングサ属(Bidens)のコオコオラウ(ko’oko’olau)です。学名はBidens mensiesiiで、モロカイ島とマウイ島のウェスト・マウイの標高200-750メートルの西側に面した乾燥低木帯などと、ハワイ島のマウナ・ロアとマウナ・ケアの西側に面した標高750-2200メートルの亜高山低木帯などにある固有種です。

Biden menziesii 2

この近辺を見渡してみましたが、この個体しかありませんでした。よく似た色の花を咲かせる外来種のキク科の草はあちこち生えていました。でもこのコオコオラウは背が高く、草ではなく私の身長よりも高い木でした。190センチぐらいの高さで、その辺りに生えている他のの植物より大きかったです。もこの種は80センチから4メートルに成長する種だそうです。コオコオラウの左右に見えるのはアアリイという植物です。

Biden menziesii 3

幹はこのぐらいの太さでした。何年ぐらい生きている木なのでしょうか。長生きして沢山種を作ってねと声をかけてあげました。

Biden menziesii 4

ハワイには19種のコオコオラウがあります。ある1種のセンダングサがハワイに渡ってきて、様々な環境や気候に適応して進化し形態や生態学的特徴が分化したものです。地球上で最も孤立した海洋島であるハワイ諸島にはこのように適応放散(adaptive radiation)した動植物が多いです。
フアラーライ山のコオコオラウを見る
キーラウエアのコオコオラウを見る

2010-01-22 | Posted in 植物No Comments » 

 

溶岩台地に生まれるオアシスのような森林

400-600 years old forest

激しい火山活動の後、火口の中に400?600年の時を経て出来上がった森。
人間の侵入もなく、植物を食いあさる動物の侵入もない特別な環境です。

 

2009-12-25 | Posted in 植物No Comments » 

 

オーヒア・レフアとアアリイのハク・レイ

Hakulei with Ohia-Lehua and Aalii 
ハク・レイ
ハクとは編むこと、色んな植物を編みこんで作った頭に飾るレイ。
真っ赤に色づいたアアリイの実
オーヒア・レフアの葉と、淡いピンク色で花のように見える新芽「リコ・レフア」
やわらかい産毛が生えたオーヒア・レフアのつぼみ

 

2009-11-11 | Posted in 植物4 Comments » 

 

ホーイオ

ho'i'o

標高105(610) ?1850メートルの森に生えるハワイ固有のシダDiplazium sandwichianumです。ハワイ語でホーイオ(ho’i’o)と呼びます。マウイ島ではポホレと呼びます。先住民はこのシダのまだ開いていない巻いた若芽や若葉を生で、ポイ(poi ふかしたタロイモに水を加えて作った食べ物)やオパエ(opae 淡水エビ)といっしょに食べていました。 (現在ではハワイ固有の淡水エビは減少してしまっていて、タヒチ原産のテナガエビが沢山棲んでいます。)下の写真はホーイオの葉の裏です。

hoi'o blades

因みに、ハワイには同じくホーイオと呼んでいる東南アジアなどを原産地とするシダ(1910年にカウアイ島で帰化植物となっているのがわかったそうす)があり、このシダDiplazium esculentumは、標高が低いところの川の側や渓谷内のじめじめしたところに群生します。ハワイ島ではワイピオ渓谷やアカカの滝などを含め北東部の雨の多い環境に群生しています。このシダはホーイオ(ho’i’o)以外にも、フィリピン風にパカ(paka)と呼ばれたり、日本風にワラビ(warabi)と呼ばれたり、マウイ島ではポホレ(pohole)と呼ばれています。現在ではこの外来種のシダをよく食べます。
 

2009-11-09 | Posted in 植物No Comments » 

 

パッションフルーツの仲間 「バナナ・ポカ」

Banana Poka flower

トケイソウ科のバナナ・ポカ(Banana Poka)は南米のアンデス山脈原産の植物です。学名はPassiflora mollissima。1929年には既にハワイに持ち込まれていたそうです。ハワイ島とカウアイ島の標高850-2225メートルの湿潤な森で繁殖しています。ハワイ固有の植物たちを覆い尽くしてしまうので問題です。直径6-9センチの花はピンク色で、実は長さ6-8センチ、幅2.5-4センチで、熟した実は黄色です。野ブタなどがこの実を食べて繁殖範囲を広めています。 

Banana Poka fruit

2009-10-23 | Posted in 植物2 Comments » 

 

ストロベリー・グアヴァ

Strawberry Guava

甘くて美味しいストロベリー・グアヴァ(Strawberry Guava)。ストロベリーグアバやストロベリーグァバとも書かかれますが、このブログでは英語の発音に近い書き方を選びました。イチゴのように赤く、そして味もイチゴのように甘酸っぱいです。学名はPsidium littorale var. longipes (古い学名はPsidum cattleianum var. cattleianum)。ハワイ語ではワイアヴィー・ウラウラ。
黄色いのもあり、それはイエロー・ストロベリー・グアヴァ(Yellow Strawberry Guava)と呼びます。レモン・グアヴァLemon Guava)と呼ばれることもあります。赤い実よりもやや大きめです。学名はPsidium littorale var. lucidum (古い学名はPsidium cattleianum var. lucidum)。 ハワイ語ではワイアヴィー。この実も大変美味しいです。
これらはブラジル南東部原産のフトモモ科(Myrtaceae)の植物で、その風味のよい実を食用(そのまま食べても、ジュースやジャムにしても美味しい)として、木はサルスベリのような滑らかな樹皮と光沢のある葉なので観賞用としてみなされ、1820年代にハワイに持ち込まれました。

Strawberry Guava Thicket

現在では海抜0mから1200mまで広範囲(特に雨が多いところ)に繁殖しています。白い花を咲かせ、種が多い実を沢山実らせ、繁殖力は大変強く、ハワイでは天敵もなく、病気にもかからず、それに加え外来種の鳥や野ブタが実を食べて繁殖を促しているために、群生がどんどん広がり、ハワイの生態系にとって大きな問題を引き起こしています。
原産地では1?5mぐらに成長するそうですが、ハワイではもっと大きくなります。原生林にも侵入し、密生し、本来生えているべき植物が生える余地がない状態になります。世界の外来侵入種ワースト100のひとつです。
ハワイの植物が残っている森と、ストロベリー・グアヴァの繁殖する(または繁殖しうる)地帯を示すハワイ島のマップを見る (Conservation Council for Hawaii)

 

2009-10-21 | Posted in 植物No Comments » 

 

ランタナ

Lantana flowers

クマツヅラ科のランタナ属は熱帯アメリカや亜熱帯アメリカに多いそうですが、熱帯アジアやアフリカにもあるそうです。ハワイでは2種が帰化植物となっています。ひとつはブラジル南部、ウルグァイ、パラグアイ、アルゼンチン原産のTrailing lantana(Lantana montevidensis)、もうひとつはこの写真のランタナです。
このランタナは西インド諸国原産の低木です。学名はLantana camara。ハワイには1858年に持ち込まれ、1871年には既に帰化植物となっていたそうです。
ハワイで見かけるものはaculeataという亜種の場合が多いです。とげがあります。葉には強い匂いがあります。花の色は黄色からピンク色や薄紅色に変色します。実の色は紫か黒で、鳥が実を食べて繁殖を促しています。
標高2-1070メートルの湿潤な森にも乾燥地帯にも繁殖しています。場所によっては2-3mの高さに成長して、やぶを作って茂っています。

Lantana thicket

2009-10-19 | Posted in 植物No Comments » 

 

Karakanut

karakanut tree

ニュージーランド原産のコリノカルプス科(Corynocarpaceae)ラエヴィガタス属(laevigatus)の植物です。カラカナット(Karakanut)またはニュージーランド・ローレル(New Zealand Laurel)という俗名です。学名はCorynocarpus laevigatusです。
カウアイ島には1891年より前に持ち込まれたそうで、コーケエの辺りでは1912年には既に帰化植物となっていたそうです。1929年にはカウアイ島中央部に、この植物の種を飛行機から巻き散らかしたそうです。そのことに関して知ったとき、ビックリしました。いったいなぜ? 
オアフ島、モロカイ島、ハワイ島でも帰化しているそうですが、カウアイ島ほど繁殖が進んでいません。野ブタが実を食べて繁殖の範囲を広めているようです。
3-15mに成長する木で、その光沢のある葉はハワイの森では目立ちます。

Karakanut drupe

熟した実はオレンジ色で、ビワのような香りがします。味はビワのような、リンゴっぽい味です。種には毒があるそうです。  

 

Karakanut leave

5-6年前にカウアイ島のコーケエで写したカラカナットの花です。当時、私はこれが何という植物なのか知らなかったのですが、今回やっと分かりました。

Karakanut flowers

 

2009-10-16 | Posted in 植物No Comments » 

 

マーマキ

mamaki

ハワイにはマーマキ(mamaki)というイラクサ科(Urticaceae)ヌノマオ属のハワイ固有植物があります。(Pipturus albidus) 雨林などに生える常緑低木です。イラクサの仲間ですが棘はありません。沖縄本島をはじめ琉球諸島にはオオイワガネと呼ばれるヌノマオがあるそうです。(Pipturus arborescens) ヌノマオというのは樹皮の繊維をとり布を作ったことに由来する名前です。
ハワイでも昔はマーマキの樹皮を叩き伸ばしてカパ(kapa)またはタパ(tapa)を作りました。カパ(タパ)はポリネシアの伝統的な布です。も作りました。

Kamehameha butterfly caterpillar

琉球諸島のヌノマオ(オオイワガネ)はヤエヤマムラサキという蝶(Hypolimnas anomala)の幼虫が葉を食べるそうです。 ハワイのマーマキの葉は、アカタテハ属のカメハメハ・バタフライ(Kamehameha butterfly,  Vanessa tameamea)の幼虫が食べます。カメハメハ・バタフライのことをハワイ語ではプレレフア(Pulelehua)と呼びます。
小さな幼虫は吐糸で葉を巻き綴り簡単な巣を作ります。鳥から身を隠すためでしょうか。巻かれて日光に当たりにくくなった葉は柔らかく、なおかつ防御物質であるタンニンが少なく、食べやすい葉に保たれているという説もあるそうです。大きくなった幼虫はマーマキの枝でじっと潜んでいます。

Pua Mamaki

大きくなった幼虫の頭はマーマキの花に似ています。マーマキの花は地味で枝に直接咲きます。さなぎは枯れたマーマキ葉に似ています。
肉質化した白い実が生ります。イエイエの実を好んで食べていたオウという鳥(絶滅してしまったハワイ固有の鳥)はマーマキの実も好きだったそうです。イエイエやマーマキの実はアララー(自然界では絶滅してしまったハワイ固有のカラス)の好物でもありました。

Mamaki Fruit

マーマキの葉の葉脈は緑のものもあれば赤いものもあります。マーマキの葉はお茶にして、疲れをとるために、または胃の洗浄などに用いられました。現在でもマーマキの葉はmamaki teaとして販売されています。

 

2009-09-21 | Posted in 植物2 Comments » 

 

カヒリ・ジンジャーことキバナシュクシャ: しょうがないショウガ!

Kahili Ginger

ハワイ火山国立公園とその周辺で大繁殖しているカヒリ・ジンジャー(Kahili ginger)。日本語ではキバナシュクシャと呼ぶそうです。ヒマラヤ地方原産のショウガ科の植物で、学名はHedychium gardnerianum。 「世界の外来浸入種ワースト100」に選ばれています。
大きな穂状花序は、カヒリと呼ばれるハワイ王朝時代に使われていた、王族を象徴する鳥の羽で装飾されたポールに似ているので、それがカヒリ・ジンジャーの名前の由来です。夏に黄色い花が沢山が咲き、冬には実をつけます。実が熟して開くと、中は鮮やかなオレンジ色で、そこに真っ赤な種が沢山入っています。鳥が種を運ぶので、繁殖が広範囲に広がります。地下茎からも増えます。
ハワイ火山国立公園には1943年以前に持ち込まれたそうです。外来植物が及ぼす問題などについて知られていなかった時代でした。国立公園内にあるスタッフ用の宿舎の庭に植えたのが問題の始まりだそうです。今では森のあちこちで見かけます。ひどいところでは本来の下生えがカヒリ・ジンジャーの繁殖によりなくなってしまっています。はびこるように群生するからです。
アパパネなど固有種の鳥はカヒリ・ジンジャーの蜜も吸います。アパパネのためになっているといえば、そうかもしれませんが、オーヒア・レフアを林冠とする森の下層にもともとあるべき、種の多様性に富んだ豊かな植生が、カヒリ・ジンジャーによって失われ、カヒリ・ジンジャーばかりになってしまうと、それに勝てる種はありません。オーヒア・レフアの世代交代も不可能です。このような過程で減少していく昆虫や植物たちのなかには絶滅してしまうものもあるでしょう。
ハワイ火山国立公園では、カヒリ・ジンジャーの地下茎を引き抜いたり、除草剤を根に注入して枯らしたりしています。地下茎が少しでも残ると、またそこから増えていきます。

2009-09-18 | Posted in 植物No Comments »