植物

コアの木

Koa sappling

コア(Acacia koa)はマメ科アカシア属(刺のないHeterophyllum亜属)のハワイ固有植物で、カウアイ島、オアフ島、モロカイ島、マウイ島、ラーナイ島、ハワイ島(ニイハウ島とカホオラヴェ島にはない)の標高(60)90m‐2060(2100)mに分布します。高さ35mぐらいまで成長します。上の写真はコアの苗木です。芽生えのころの葉は複葉ですが、木が成長するにつれ次第に、葉柄が大きく平らに発達して葉の代りになる偽葉を出すようになります。アカシア属の仲間によくある構造です。大きく成長したコアの木は、ほとんどの葉が偽葉です。

Koa blossoms

大木がたくさんあったころは、ハワイの先住民たちは木をくりぬいて大きなカヌーを作っていました。1800年代の西洋人の木造の立派な家が、今でも残っていますが、木材として使われたコアは真っ白なペンキで塗られています。コアの木はプランテーション開発や牧場開発などのために伐採されてしまい、現在では大木が非常に少なく、材木の不法伐採もあるようです。
コアで作った家具などは、大変高価なものです。特に虎目石のように光の当たり方で木目の縞模様が動いて見える綺麗な、波状に縮んでしわがよったカーりー杢(もく)のあるものは、とても高額です。

Koa on Saddle Road

上の写真は2008年の夏の終わりごろにヒロの山側で撮ったものです。道の両脇に大きめのコアの木がありますが、木が枯れかけているように見えます。ほとんどの木がこのようになっているので、いっせいに枯れかけているのかと不思議に思ったのですが、実は茶色くなっている部分は実なのです。こんなに沢山実をつけているのは初めてみました。普通だと、葉をつけている状態で実をつけているのに、今年その辺りの木は、実だけになってしまっている部分が多かったです。 
 

koa seed pod

 標高が低めのところのコアは冬の終わりごろから7月までの間に花を咲かせる場合が多いといいます。2008年の2月の半ばごろからキーラウエア火山の山頂部から大量の二酸化硫黄(亜硫酸ガスとも言う)が出始め、そのころ南から吹くコナ・ウィンドがヒロのほうにも火山ガスを漂わせたので、その異常な変化にコアは反応して花を沢山咲かせて実をつけたのでしょうか。

Information on Koa by Craig D. Whitesell
 

2008-12-16 | Posted in 植物4 Comments » 

 

クリスマス・ベリーについて

Christmas Berry

これはクリスマス・ベリー(Christmas Berry)というウルシ科(Anacardiaceae)の植物です。ブラジリアン・ペッパー・ツリー(Brazilian Pepper Tree)という名前もあります。日本語ではサンショウモドキと呼ぶそうです。学名はSchinus terebinthifolius
世界の外来侵入種ワースト100」の1つでありますし、ハワイの浸入園芸種としても要注意の植物です。実際ハワイ島でも、この植物が大繁殖している場所が何箇所かにあります。

2008-12-11 | Posted in 植物2 Comments » 

 

カウナオアについて

kaunaoa beach

 
この写真のビーチの名前はカウナオア・ビーチ(別名マウナ・ケア・ビーチ)です。カウナオアとは植物の名前です。ハワイ語の名前です。写真の手前の方に見えている黄色っぽいものがカウナオアです。Kauna’oa (Cuscuta sandwichiana)はヒルガオ科の葉緑素のない寄生植物ネナシカズラ属の1種で、ハワイ固有種です。カウアイ島とカホオラヴェ島以外の島にあります。英語ではネナシカズラのことをdodderと呼びます。
このビーチではカウナオアは、ヒルガオ科サツマイモ属のポフエフエ(これはハワイ語名、学名はIpomoea pes-caprae、英語の俗名はbeach mornig glory、日本語ではグンバイヒルガオ)に絡み付いています。
kaunaoa flowersカウナオアの種子は、発芽し土中に根をはり、つる性の細い茎を伸ばします。茎の色は黄色または黄色っぽいオレンジ色です。寄生する植物を求めて茎を伸ばし、好みの植物に触れると、その植物に絡み付いて吸盤を出し、寄生根でその植物から養分をとって成長します。寄生根ができると土壌中の根は枯れてしまいます。葉はとても小さく鱗片状で、花は3?5ミリの白い花です。
Cuscutaという学名は、「毛が絡みついた」といういう意味のアラビア語kuskutが由来だそうです。ネナシカズラというのは根のない蔓草という意味です。

2008-11-29 | Posted in 植物2 Comments » 

 

パイニウ

Painiu

パイニウ(Pa’iniu, Astelia menziesiana)はユリ科のハワイ固有植物で、標高610?2230mのしっとりとした森や湿地に生えます。地面に生育したり、他の木に着生したりします。この種はニイハウ島とカホオラヴェ島の以外の島々にあります。パイニウはハワイ語名ですが、カルアハ(Kaluaha)やプア・アクヒニア(Pua Akuhinia)というハワイ語名もあります。
Asteliaには、他にカウアイ島固有のものAstelia argyrocomaAstelia waialealaeがあります。)
長さ30-160cm、幅1-5cmの葉で、花は小さく、雄花も雌花も、色は緑、緑色がかった茶色、緑色がかった黄色、エンジ色、茶色がかったエンジ色、または白です。実はオレンジ色です。

painiu 2

ハワイ固有のイトトンボ(damselflies)は何種類もいますが、中にはヤゴがパイニウやイエイエのような植物の葉と葉の間を棲み処とするイトトンボ(Koele Mountain Damselfly,  Megalagrion koelense)がいます。これらの植物はハワイの生態系にとって大切な一部分です。
上の写真(実った写真)の背景の葉は、ショウガ科のカヒリ・ジンジャーの葉です。この植物はハワイでは大変有害な侵入種です。
余談: Koele Mountain Damselfly(  Megalagrion koelense)というイトトンボは、オアフ島、ラナイ島、モロカイ島、マウイ島、ハワイ島の種ですが、ラナイ島のコエレで採集されたものを元に調べられたので、それが名前の由来です。現在の生息地はMegalagrion koelense Island Distributionに示されています。写真はここで見ることができます。

2008-11-15 | Posted in 植物2 Comments » 

 

ココヤシについて (その5)

coconut 2

ニウ(ココヤシ)の花が咲いてから、実が完熟するまで、約1年かかります。この写真を見ると鞘状のシースの中から取り出した花と、咲いている状態の花と、小さな実から大きくなっている実、最後には古くなった実まで見ることができます。実の色は、緑、橙、灰褐色に変わっていきます。
沢山花を咲かせますが、雄花がほとんどで雌花は少しだけ。雌雄同株ですが、雄花と雌花の開花期が異なるので、複数の木が花を咲かせていないと受粉の確率が非常に低いです。現在ハワイでは日中、外来種のハチたちが受粉を促してくれているようですが、もともとハワイになかった植物ですから、ポリネシア人が持ち込んだころ、外来のハチたちがいなかったころ、どのような生き物が受粉を促してくれていたのでしょう。風でしょうか、昆虫でしょうか。ハワイ固有のヤシ、ロウルの花の受粉を手伝っていたものと同じでしょうか。東南アジアなどではコウモリも受粉を手伝ってくれるそうです。ハワイのコウモリは虫を食べる種しかいません。
ココヤシについて 
その1(寿命、利用価値、実や葉を落とす作業など)
その2(実の割り方、成分、カプ制度など)
その3(名前の由来、発芽孔についてなど)
その4(食用の実について)

2008-11-08 | Posted in 植物4 Comments » 

 

ココヤシについて (その3)

coco

Cocos nuciferaは、ハワイ語ではニウ、英語の俗名はcoco palm、その実はcoconut。日本語ではココヤシ、その実はココナッツ。そのココというのは、ポルトガル語のcocoで、猿を意味しているそうです。
種子に相当する厚い殻の端に3つの比較的柔らかい少し窪んだ丸い発芽孔があり、それが猿の顔に似ているからです。クリッと丸い2つの目と、拡げた小さな口です。目にあたる2つの孔は機能しません。発芽するのは口にあたる孔です。ここに穴を空けて、ストローを差し込んでジュースを飲むことができます。
ココヤシについて 
その1(寿命、利用価値、実や葉を落とす作業など)
その2(実の割り方、成分、カプ制度など)
その4(食用の実について)
その5(花と実について)

2008-10-23 | Posted in 植物4 Comments » 

 

ナウパカ・クアヒヴィ

naupaka kuahiwi

これはクサトベラ科クサトベラ属のナウパカ・クアヒヴィ(Naupaka Kuahiwi, Scaevola chamissoniana)で、ハワイ島、マウイ島、ラーナイ島、モロカイ島の雨林の縁などに生えるハワイ固有植物です。花の香りはとてもいいです。
花の形は普通、左側の花のように、花を半分に割ったように見える形をしています。でも5枚の花びらが均等に付いているのを見かけました。右側の花をごらんください。これは珍しいです。
海辺に生えるナウパカ・カハカイ(Naupaka Kahakai, Scaevola sericea)と花の形はよく似ていますが、葉や実は全く違います。
海辺のナウパカ、ナウパカ・カハカイの葉は多肉質で楕円形、実は白いです。この写真の山のナウパカ、ナウパカ・クアヒヴィの葉は薄めで、葉の淵は少しぎざぎざしてます。そして実は黒っぽい紫色をしています。
オアフ島とカウアイ島にも良く似たもの(Scaevola gaudichaudiana)があり、ハワイ語名は同じくナウパカ・クアヒヴィです。ハワイ島キーラウエアやマウナ・ロアの特定の場所だけに生えるナウパカ・クアヒヴィ(Scaevola kilaueae)も同じ名前で呼ばれています。 
ハワイではクサトベラ属に属するものが計9種あります。海のナウパカとも呼ばれるナウパカ・カハカイ(Naupaka Kahakai, Scaevola sericea)以外は、全てハワイ固有種(Endemic)です。
海のナウパカ、ナウパカ・カハカイ(Scaevola sericea)は人為的に持ち込まれた外来種ではなく、海流に乗って渡ってきた植物、つまり在来種(Native)ではありますが、ハワイだけでなくインド洋から太平洋(特に西太平洋)にかけて広域に分布する種です。ハワイだけにしかないという固有種(Endemic)ではなく、ハワイだけでなくハワイ以外にも自生している広域分布種(Indigenous)です。

2008-07-28 | Posted in 植物4 Comments » 

 

ハワイ固有の植物とハワイ固有の陸産巻貝

clermontia and snail

この花はキキョウ科(Campanulaceae)植物で、ハワイで多種多様に進化したクレルモンティア(Clermontia)の一種です。ハワイ固有の植物です。花の隣にいるのは、ハワイ固有の陸産巻貝(Hawaiian succineid land snails)の一種です。
バックグラウンドの青は、真っ青な空です。
どちらの種も個体数が少なくなってしまっています・・・守ってあげたいです。

 

2008-07-04 | Posted in 植物2 Comments » 

 

オリエンタル・ブーケ

flowers from backyard三女が裏庭に咲いている花を摘んでブーケを作ってくれました。
日本では縁起物とされる真っ赤な実を付けたマンリョウ、ピンク色を帯びた赤と白のツツジ、とてもいい香りがするギンモクセイ、八重咲きのツバキ。
どの植物も日本や東アジア原産の植物なのでオリエンタル・ブーケです。
我が家にはマルバシャリンバイやナンテンやクロトンも植えてあるし、ヘクソカズラとう雑草もあります。ジャスミンやクチナシもです。日本や中国などアジア原産の植物が圧倒的に多いです。
鳥はといえば、日本から持ち込まれたメジロ、中国南部や東南アジアから持ち込まれたガビチョウ、カノコバト、シマキンバラ、チョウショウバト、ブンチョウなどがやってきます。インドハッカもですね。
唯一、我が家の庭にあるものでハワイ原産の植物は、ハープウという木生シダと赤と黄色の花を咲かせるオーヒア・レフアです。家の近くにある大きな木にはイオ(ハワイノスリ)が住んでいて、オーペアペア(ハワイシモフリアカコウモリ)も近くに住んでいます。

2008-01-28 | Posted in 植物4 Comments » 

 

テンニンカについて

rose myrtle東南アジア原産のテンニンカ(Rhodomyrtus tomentosa,  rose myrtle/downy myrtle) は、標高200?640mの、程よく雨が降るところを好むため、ハワイ島ヒロの山手にちょこちょとと生えているだけですが、カウアイ島のキロハナ・クレーターの辺りでは大繁殖しています。

フトモモ科テンニンカ属の常緑低木(2?3メートルぐらいまで伸びます)で、繁殖すると、この植物だけが生える茂みとなってしまいます。木の実を食べる外来種の鳥(メジロなど)が種を運びます。

5弁の花はピンク色で、花径は3~5cm。1cmぐらいの黒紫色の小さな実がなります。

1920年以前に、観賞用の植物としてカウアイ島に持ち込まれたそうです。


このブログは、ハワイ島でエコツアーを案内するHAWAII NATURE EXPLORERSの環境保護への取り組みのひとつです。緑豊かなヒロよりアロハをこめて発信しています。 

2008-01-10 | Posted in 植物No Comments »