植物

ツタギクについて

german ivy

ツタギク(Senecio mikanioides, Delairea odorata, German Ivy) は南アフリカ産のキク科の植物です。葉は、浅めに3?10裂していて肉質です。先端付近に黄色い花が咲きます。

広く観葉植物として栽培される種ですが、ハワイでは浸入種として扱われます。ハワイでは1910年ごろから帰化し始めたようです。特にハワイ島の比較的乾燥した地帯(マウナ・ケア山の西側など)に繁殖しています。マウイ島でも少し繁殖しているそうです。
ツタギクが木を覆ってしまうと、木が弱ってしまい、枯れてしまったり倒れてしまうので、よくないです。

 


このブログは、ハワイ島でエコツアーを案内するHAWAII NATURE EXPLORERSの環境保護への取り組みのひとつです。緑豊かなヒロよりアロハをこめて発信しています。 

 

2007-12-03 | Posted in 植物No Comments » 

 

ハウ・クアヒヴィについて

hau kuahiwi

ハウ・クアヒヴィ(Hibiscadelphus giffardianus)はアオイ科でハイビスカスの仲間です。ハワイ固有種です。
高さは7m、幹の直径は30cmまで成長します。樹皮は白っぽい色で、葉の形は直径10?30cmで円形もしくは、やや腎臓形。5?7cmの花で花びらは外側が灰色っぽい緑で、内側は濃紅色。全開はしなせん。花が終わると実がなります。鳥媒花です。
この種は、1911年にハワイ島マウナ・ロア山の南東側、標高1310m、ハワイ火山国立公園のキプカ・プアウルで発見されました。1本だけしかありませんでした。この固体は1930年に枯れてしまい、この固体の種から栽培したものから挿木増殖を行いました。現在でも、わずかな個体数しかない絶滅危惧種です。


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2007-05-16 | Posted in 植物No Comments » 

 

ハリエニシダについて

Gorse on Mauna Kea

ゴースGorse(Ulex europaeus)は、西ヨーロッパ原産のマメ科の常緑低木で、60cm?2mぐらいの高さに成長します。苗木は3小葉からなる葉を持ちますが、成長するとともに、葉の本体である葉身が退化して、4?14mmの刺のような偽葉(葉柄が発達して葉の代わりになったもの)をつけます。
和名ではハリエニシダです。エニシダ(江戸時代に中国を経由して日本に渡来した地中海沿岸地方原産の低木)に似た黄色い花を咲かせ、針のように尖った偽葉を持つので、それが和名の由来です。
日当たりがよく、ある程度湿度のある場所を好みます。窒素を固定するタイプの植物なので痩せた土地にも繁殖し、群生します。また、カルシウムやマグネシウムやナトリウムなどの養分を土壌から吸収し蓄える性質を持っているので、土壌が悪化します。固体と固体の間には、大抵何も生えない状態になるので、土地が侵食されやすくなります。種はさやから3mも上に弾けとびます。除草するために燃やすと、とても燃えやすい木ですが、土中の部分が残り、そこから伸びてきます。また燃やした後は、種が発芽しやすくなり増える一方です。

Gorse seeds

ハワイでは、園芸種(垣根用)として持ち込まれたものですが、マウイ島とハワイ島の標高200?2100mの牧草地や道端に繁殖しています。1910年ごろに帰化し始めたようです。ハワイ島では、マウナ・ケア山の南東に面する中腹に大繁殖しています。
国際自然保護連合(IUCN)の「世界の外来侵入種ワースト100」のひとつに指定されています。


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2007-05-11 | Posted in 植物No Comments » 

 

オーストラリア原産の木性シダ

australian fern

カウアイ島では、オーストラリア原産のヘゴ科の木性シダ(Sphaeropteris cooperi、旧名はCyathea cooperi、又はAlsophila Cooperi)の繁殖が進んでいるそうで、2003年から2006年に行われた調査では、山奥の深い森の中にも侵入しているのことが分かりました。10年前と比較すると100倍(個体数が5だったものが500に)増えてたそうです。

園芸種として販売されたオーストラリア原産の木性シダは、ハワイ固有の木性シダよりも成長が速く、ハワイ固有のものよりも巨大になります。ハワイ固有の木生シダは、他のハワイ固有植物と共存していますが、オーストラリア原産のものは、群生をつくって暗い影を作り、他の植物が生えなくなってしまいます。

伐採作業は、陸地からも上空からも行います。人間が入っていけない奥地では、ヘリコプターから、先端部にスプレー・ノズルを付けた100フィートのケーブルをぶら下げ、除草剤をシダの中心部に吹きかけます。色のついた除草剤ですから、吹きかけたところには色がつくので、吹きかけたところを確認することができます。

現在、ハワイの主要な園芸店では販売されていません。2006年には、カウアイ島園芸店が、200以上の在庫を処分したそうです。8000ドル以上の損失になったそうですが、ハワイの森を守るためには必要なことでした。

ハワイ島でも、ホテルや民家の庭や州立公園などでこのシダを見かけます。繁殖しないように切り倒して袋に入れて処分するべきですね。


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2007-05-02 | Posted in 植物No Comments » 

 

ハワイ固有植物

Clermontia hawaiiensis

この花は、キキョウ科(Campanulaceae)のミゾカクシ亜科(Lobelioideae)クレルモンティア属のひとつClermontia hawaiiensisです。ハワイ固有植物のひとつです。
ハワイ諸島は、米国領土のうちの、たった0.2パーセントの面積ですが、米国の絶滅危機にさらされている植物のうち42パーセントがハワイ固有植物です。
ハワイ固有植物の半分近くが、絶滅の危険性の高さは様々ですが、絶滅のおそれがあります。約180種は個体数が50以下しか残っていません。
ハワイ諸島は世界で一番孤立した島々です。海洋島の固有植物は、もともとは遠く離れた陸地から風や海や渡り鳥や迷いこんできた鳥と共に偶然に渡ってきた植物が、新しい環境に適応して、隔離された特有の環境で、固有植物となったものです。生育地が局所的な種も多いです。生育競争力が弱く、急激な環境変化にも弱い種が多く、もともと個体数が少ないという植物もたくさんあります。
地球の誕生以来、多くの植物が生まれ絶滅していきましたが、現在は数十年や数百年という短い期間に、環境や社会の変化によって、かつてない速さと規模で絶滅が進んでいます。ハワイも例外ではありません。それどころか世界一絶滅危機にさらされている植物が多いところです。
施設で繁殖して自生地に植え戻す努力を行っています。自生地の環境を取り戻す努力も行っています。手遅れにならないように「今」やらなければいけないことです。


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2007-04-12 | Posted in 植物No Comments » 

 

長い木・長生き

木は地球上で一番長生きをする生物です。
Trees are the longest living organims on earth.

 


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2007-03-09 | Posted in 植物No Comments » 

 

ビロウドモウズイカについて

mullein

ビロウドモウズイカ(Verbascum thapsus)はヨーロッパ、北アフリカ、アジア原産の帰化植物です。英語の俗名はマレインです。ゴマノハグサ科の二年草の植物で、ロゼット状に配列した葉にはビロードのような毛があり、その中央から茎が伸びて、背が1?2mと高くなり、黄色い花をつけます。茎が複数ある場合もあります。
1932以前にハワイ島フアラーライ山に繁殖し始め、現在では、マウナ・ロア山やマウナ・ケア山の標高1200?3300mの乾燥地帯にも繁殖しています。マウナ・ケア山では、1940年代に繁殖し始めたそうです。
マウイ島では1986年にハレアカラー国立公園にも生え始めまたそうです。除草作業を行い、繁殖しないように努力しています。
マウナ・ケア山やマウナ・ロア山での繁殖を調査してみたところ、特に標高が高いところでは、道路の近くに多くみられることから、車(タイヤに付いた土と共に種が運ばれる)が種を遠くへ運んでいるようです。
ハワイ島では、過去70数年で、広範囲に繁殖してしまいました。繁殖力が高く、特に火山暦や火山灰のようなところを好むので、マウナ・ケア山での繁殖が進む一方で、その範囲が著しく広がっていっています。マウナ・ロア山の溶岩大地にはあまり繁殖しませんが、火山礫が多いところには増えています。
ハワイ固有の高山植物、特にアーヒナヒナ(ギンケンソウ)を守るためにも、なんとかしないといけないのです。1984?1986年にはハワイ大学のボランティア学生たちが、標高3000?3300mの間で、道路の近くに生えていたビロウドモウズイカを5000固体以上抜き取ったそうです。でも、除草活動後10年以上経った今、道路の脇にも、道路から離れたところにも、たくさん増えています。
ちなみに、ホザキモウズイカ(Verbascum virgatum)も繁殖していますが、ビロウドモウズイカに比べると、繁殖範囲が狭いです。この種は西ヨーロッパ原産で、ハワイでは1943年ごろから栽培されるようになり、1981年には帰化種となっています。


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2007-01-28 | Posted in 植物2 Comments » 

 

ファウンテングラスという外来種の植物について

fountain grassファウンテングラス(Pennisetum setaceum)という北アフリカ産のイネ科の多年草植物は、1900年初期に園芸種としてハワイに持ち込まれたものですが、日本でも、夏から秋にかけて出る穂を鑑賞するために園芸種として手に入れることができます。葉幅が狭く、淡紫色や淡紅色をした花穂は細長く、秋の風に揺れる優しい感じの姿に情緒があるというわけで鑑賞されます。寒さに弱いので凍らせないように保護しないといけないようです。
ところがファウンテングラスは強健な性質を持っていて、なおかつ繁殖力が強いので、ハワイの一年中日当たりがよく乾燥した地帯では、場所によっては広範囲に渡り大繁殖してしまっています。枯れた茎と葉はとても乾燥していて燃えやすく、ファウンテングラスが大繁殖したところでは、いったん燃え出すと大火事になりやすいです。
オアフ島では、ダイアモンドヘッドやパンチボウル周辺などに繁殖していますが、計200エーカー(0.81平方キロメートル)ほどです。
一番ひどく繁殖しているのはハワイ島で、コナ空港近辺からワイコロア地区の海側から山側まで、広範囲に繁殖しています。若い溶岩台地にも生えてきます。計20万エーカー(809.37平方キロメートル)以上に繁殖してしまっています。ワイコロア・ビレッジという住宅地は、ファウンテングラスの大草原に取り囲まれているので、近くでファウンテングラスが燃え始め大火事になると大変です。乾燥地帯であり、風も比較的強いところであり、火はどんどん広がります。住宅地内の道と、近くのハイウェイ以外には道がないところですから、消火するのがとても困難です。
ハワイ島南西部のカウー地区でも繁殖し始めました。ハワイ火山国立公園では、公園内のファウンテングラスを駆除するだけでなく、近くの住宅地に繁殖し始めたファウンテングラスも駆除しています。まず、穂が出ていれば、種が落ちて飛んでいかないように、そっとそのまま抜き取り、袋に入れます。そして株を抜き取ります。根が深くて抜き取れないものは、除草剤を用いて枯らします。このような駆除を年に数回行わなければなりません。広範囲に繁殖してしまっているところでは、除草剤を用いて駆除するしかありません。
種は風で遠くまで運ばれ、また水により運ばれ、車によっても運ばれ、人間や動物によっても運ばれていきます。種の寿命は長く、6年以上です。


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2006-12-11 | Posted in 植物No Comments » 

 

ファイアツリーについて

faya-tree.jpg

ファイアツリーと一般的には呼ばれているMyrica fayaは、アフリカの北西海岸沖のアゾレス諸島やマデイラ諸島やカナリア諸島に自生するヤマモモ科の植物です。
ハワイでは1920年代から1930年代にかけて、人間によって持ち込まれた外来種です。ハワイのデリケートな生態系崩壊の原因となる侵入種のひとつです。
雌雄同株の風媒花で、成長が速く、繁殖力が非常に高いです。小さな実をたくさんつけます。鳥(主に日本から人為的に持ち込まれたメジロ)が食べます。ハワイ固有のオーヒアの木など枝にとまった鳥が糞を落とし、そこからファイアツリーが芽生える場合が多いです。オーヒアの木の枝は鳥がとまるのに絶好の場所であり、オーヒアの木陰は適度に太陽の光を通すため、ファイアツリーの種が発芽するには絶好の場所です。ファイアツリーはオヒアよりも成長が早いので、オーヒアが弱ってしまいます。< また、根粒に窒素固定を行う放線菌の一種フランキア(Frankia) を共生させていて、窒素に乏しい火山地帯のような痩せ地でも、どんどん繁殖します。
ファイアツリーが生い茂ると、暗い影ができ、在来種が弱ってしまったり、在来種が生えなくなります。そしてファイアツリーだけが生えた森林となってしまいます。ファイアツリーが生えているところは、外来種の無脊髄動物(ミミズなど)も増え、外来種の生物が好む土壌に永久的に変わってしまい、ますます外来種の植物が繁殖します。
現在、ハワイ火山国立公園やその周辺で、ファイアツリーが広範囲に繁殖しています。ファイヤツリーが林を形成してしまったところで伐採してみたところ、伐採後に芽生えてきたのは、外来種のブラック・ベリーなどだそうです。最近では、そのような場所では、ファイヤツリーに傷を入れて弱らせ、徐々に枯らすようにしているそうです。そうすると、本来生えているべき在来種の植物が徐々に戻ってくる確立が高くなるそうです。
オーヒアの木の枝にとまった鳥が糞を落とし、そこに芽生えて大きくなりだ始めたばかりのファイヤツリーは手で抜き、抜けないぐらい根を張ってしまったものは、根元から切って除草剤を切り口に吹きかけて枯らします。
ファイアツリーは国際自然保護連合(IUCN)の「世界の外来侵入種ワースト100」のひとつに指定されています。


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2006-12-02 | Posted in 植物No Comments » 

 

ハワイ固有のアジサイ、カナヴァオについて

Kanawao

ハワイ固有のアジサイ(Broussaisia arguta)は、ハワイ語でカナヴァオといいます。プーアハヌイ、アキアハラ、ピオヒア、クプヴァオなどとも呼びます。
主に標高400mから1400mの雨林に生息する低木ですが、地域によっては300mから400m、また1400mから2050mでも見かけます。
雌雄異株(しゆういしゅ)であるようです。散房状の円錐花序は長さが5?7cm、幅が8?12cmです。花びらは5枚。
雄花の花びらは、緑系の青、ピンク系の白、緑系の白、黄色、クリーム色などで3.5?8mmの卵形。雄蕊(ゆうずいと読む、一般的には「おしべ」)は10本、花粉を入れる袋状の葯(やく)は紫や茶色で、葯を支える花糸(かし)は不均等で1?11mm。2?5mmの雌蕊(しずいと読む、一般的には「めしべ」)がありますが、機能しません。
雌花の花びらは、緑系の青やピンクで、小さな(0.5?3mm)三角形です。雌蕊(しずいと読む、一般的には「めしべ」)の子房(しぼう)と呼ばれる下部にある膨れた部分は5.5?6mmで、花柱(かちゅう)と呼ばれる細長い部分は0.5?3mmです。雄蕊(ゆうずいと読む、一般的には「おしべ」)はありません。
実は赤やエンジ色で、中は白です。楕円形または球形に近い形で8?12mmです。
花の蜜や実は森の鳥たちに好まれます。昔のハワイの人たちは、子供を身ごもるために(特に酋長となる子供)、実4つと鶏卵2つを煮たものを食べたそうです。流産したことのある女性は、乾燥させた実を妊娠中に食べたそうです。王家では、カナヴァオの実は子宝に恵まれることにつながるので、たくさん実をつけると、よろこびました。
ノブタやノヤギの食害にあって減少しています。

2006-11-22 | Posted in 植物6 Comments »