海洋生物
持続可能な漁法
ハワイのサンゴ礁に住む生物の約4分の1は、ハワイ固有種です。ハワイの海には、絶滅危惧種となってしまった生物もいます。たとえば、アオウミガメやハワイモンクアザラシです。ですが、島の周りの海で十分に保護されているところは、たったの1%ほどしかありません。
汚染、海岸沿いの開発、外来種の繁殖も、ハワイの海洋生物が減少している原因ですが、深海底引き網を利用した漁法(bottom trawling)や固定式刺し網を利用した漁法(lay gill net fishing)による過剰漁業・乱獲も大きな問題です。
ハワイの漁獲高は、過去100年間に75%も減少してしまったそうです。 生態系の破壊が進んでいます。
竿釣り、手釣り、投網を使った漁法や、素潜りして槍で魚を突く漁法など、持続可能な漁法で、なおかつ、必要なものを必要な分だけ捕るということを心がける必要がありますね。
このブログは、ハワイ島でエコツアーを案内するHAWAII NATURE EXPLORERSの環境保護への取り組みのひとつです。緑豊かなヒロよりアロハをこめて発信しています。
弱肉強食
2006年11月13日の朝、ハワイ島コナで、怪我をした若い(1歳)ザトウクジラが約25匹のイタチザメに襲われているところが目撃されました。午後4時ごろに死んでしまいました。
ザトウクジラは夏はアラスカで過ごし、11月になると3000マイル(4828.02キロメートル)距離を2ヶ月以内で太平洋を渡りハワイに戻ってきます。暖かいハワイの海で交尾し、出産します。4月になるとアラスカに戻って行きます。妊娠期間は11ヶ月半で、今年妊娠したザトウクジラは、来年ハワイに戻ってきたときに出産します。
ザトウクジラの全長は平均45フィート(13.71メートル)、体重は40?45トンで、雌は雄よりも大きく、生まれたばかりのザトウクジラは全長は約14フィート(4.26メートル)で、体重は約2トンです。4?6年で性的成熟を迎えます。
National Marine Sanctuaries
Honoolulu Star Bulletin
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ハワイモンクアザラシについて
ハワイモンクアザラシ(Monachus schauinslandi)のハワイ語名はイーリオ・ホロ・イ・カ・ウアウア(ʻĪlio-holo-i-ka-uaua) で、意味は荒海を走る犬(dog that runs in rough water)です。 英名Hawaiian Monk SealのMonk(モンク)とは、修道士という意味で、頭がフードをかぶった修道士に似ていることと、群れでなく単体で行動していることが多いことから、モンクアザラシという名前が付いたようです。
現在の個体数は1200以下で(今後これまでの傾向をたどれば、5年後には個体数が1000に以下になってしまうかもしれないそうです。)、その殆ど(80?90%)は北西ハワイ諸島に生息していて、南東ハワイ諸島に生息している個体数はわずかです。 約90%は出生地で一生を過ごします。
ハワイモンクアザラシは、サンゴ礁に住む魚、タコ、ロブスターなどを食べます。浅瀬の生物も食べますが、深いところに潜って大きな石をひっくり返して、その下に潜んでいるものを食べます。1600フィート(487.68メートル)の深さまで潜ることもあるようです。そこは太陽の光がまったくとどかないところですが、ところどころにある深海サンゴ礁に住む生物を食べます。そこでは大きな魚やサメとの競争がないところです。ハワイモンクアザラシは最高20分間潜っていることができます。通常の心拍数は1分間に55?120回ですが、潜っている間は1分間に4?15回になって、体内の酸素を節約します。生命維持に重要でない腕や足などの血管を収縮させて血液を流さないようにして、心臓や肺や脳などの生命維持に重要な器官に送る酸素節約反応です。
雌は5?10歳で性的成熟を向かえます。交尾は水中で行われます。2月から7月の間に出産する場合が多いようですが、4月から5月にかけてが一番多いようです。 毎年約60%の雌が、それぞれ1頭だけ生みます。育児期の母アザラシは絶食状態で過ごします。
生まれたばかりのハワイモンクアザラシの体長は30?40インチ(76?101センチ)で、体重は30?40ポンド(13.60?18.14キロ)です。短く真っ黒でふわっとした羊毛のような毛皮で覆われています。生後30?40日で離乳します。離乳するとともに黒い毛は抜け落ち、背中から横側にかけては銀色がかった灰色に、喉元、胸、腹にかけてはクリーム色になります。 成長したハワイモンクアザラシは濃い灰色か茶色っぽい色をしています。雌の体長は7?8フィート(2.13?2.43メートル)で、体重は400?600ポンド(181.44?272.16キロ)です。雄は雌よりも小さく、体長が約7フィート(2.13メートル)で、体重は300?400ポンド(136.08?181.44キロ)です。寿命は25?30年だといわれています。
1800年代には、ハワイモンクアザラシは肉や皮や脂肪を採るために商業捕獲されていました。砂浜に横になって休む習性があるので、捕獲しやすかったため乱獲され、あっという間に固体数が減ってしまいました。わずか数年間での出来事です。個体数が少なくなり、商業的な利益が得られなくなったため、ハワイモンクアザラシ猟は行われなくなりました。
1900年代初期にハワイモンクアザラシの個体数が増え始めましたが、第二次世界大戦中には、アメリカ軍による海軍基地が建設されるなど軍事活動により、ハワイモンクアザラシの繁殖場所が大きな影響を受け、再び個体数が減少してしまいました。
人間が近くにくるようになると、これまで繁殖場所であったところをで繁殖しなくなったり、子アザラシが完全に離乳していないのに、母アザラシがいなくなってしまうということも起きるようです。
近代に入ってからは、北西ハワイ諸島での漁業が盛んになり、ハワイモンクアザラシ魚網や釣り糸に絡まってしまったり、漁業によりハワイモンクアザラシの食べ物が減少しています。
人間による妨害や生息地の破壊に大きな影響を受けるだけでなく、サメに食べられたり、シガテラ(熱帯の海洋に生息する微生物中に存在する毒素シガトキシンに汚染された海洋生物を摂取することにより発生する食中毒)による死亡例もあります。また、発情期は雄が攻撃的になり、性的成熟を向えていない雌を傷つけてしまうこともあります。複数の攻撃的な雄に襲われて雌が死んでしまうこともあります。このような行為は、特に雄と雌の総個体数の比率が3対1という地域で問題になっています。
モンクアザラシの仲間は、ハワイモンクアザラシ、チチュウカイモンクアザラシ、カリブモンクアザラシの3種が知られていますが、カリブモンクアザラシは1952年以来目撃例がなく、絶滅したものとされています。
ハワイモンクアザラシは、1976年に絶滅危機種として指定され、現在では米国海洋哺乳動物保護法(US Marine Mammal Protection Act)の「枯渇種」に、米国絶滅危機種保護法(US Endangered Species Act)の「絶滅危惧種」に、国際自然保護連合(International Union for Conservation of Nature and Natural Resources略してIUCN)のレッドリストでは「絶滅危惧種種」に指定されています。ワシントン条約・絶滅の恐れのある野生動植物の国際取り引きに関する条約(Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora 略してCITES)の付属書IIで、ハワイモンクアザラシの無秩序な捕獲や乱獲、国際的な取引が規制されています。
ハワイモンクアザラシを観察する時のマナー:
人間が近づくと、驚いたり、ストレスを感じたりします。最低150フィート(45.72メートル)離れたところから、育児期の場合はもっと離れたところから観察します。大きな声を出すとアザラシを驚かしてしまいまいますから、静かに観察します。アザラシに気付かれたようで、こちらをじっと見つめているようであれば、アザラシに危険を感じさせないようにします。犬を近づけないこと。犬が噛むとアザラシが病気になる場合があります。アザラシのほうから近づいてくることもありますが、離れていってください。餌は与えないでください。
アザラシを見かけたら、(808)220-7802 または、24時間フリーダイアルの 1-888-256-9840(The National Marine Fisheries Service)に連絡してください。メールアドレスは PIFSC.monksealsighting@noaa.gov です。
サメの襲撃を避けるための安全対策
海で泳いだり、潜ったり、サーフィングする時には常に2人以上で、グループ、集団の中にいる。ライフガードがいるところが良い。
怪我や傷があったり、生理中だと、海に入らない。たとえ少量の血であっても、サメは何キロ離れていても嗅ぎつけることができます。
明け方、夕暮れ、夜間は海に入らない。このような時間帯に海岸近くに獲物を求めてくるサメがいます。
魚やカメやイルカたちの異常な行動を見たら要注意。サメの気配を感じての反応かもしれません。
過度に水面でパシャパシャするのは避ける。サメはそのような動きに敏感なようです。
どんなサメでも挑発しない。小さなサメでもです。
モリで魚を捕らえている人がいるような場所は避ける。水中に死んだ動物がいるところも避けます。
港の入り口、河口、水が濁ったところ、水深が急激に深くなっているところはサメが多いので避ける。
サメが出るといわれているところには入らない。サメがいたら、速やかに静かに海から出る。
キラキラしたものを身に着けて海に入らない。対照的な色合いのある水着などは避ける。
ウィリウィリ(ハワイ固有種のデイゴ)の花が咲いている時期は、サメが噛むという言い伝えがあるので、その時期は注意したほうが良い。
マノー(サメ)について
サメは人を噛む凶暴で危険な生き物としてだけではなく、かつてのハワイ人にとっては重要な存在でした。ハワイ語ではサメのことをマノーと呼びます。食用でもありましたし、皮や歯は道具や武器などにも用いられました。
食用としては、特にヒラシュモクザメ(ハンマーヘッド)やネムリブカ(ホワイト・リーフ・シャーク)で、細く切った肉を塩漬けして乾燥させておき、保存食として食べたそうです。
特にイタチザメ(タイガーシャーク)やホホジロザメ(グレート・ホワイト・シャーク)の歯は道具や武器に用いられました。
薄い皮は伝統的な楽器であるパフ(ドラム)の表皮として、ザラザラとした皮は鑢として用いられました。
小型のサメは網を使って捕まえたそうです。大型のサメは、骨で作った鋭い先端部を取り付けた木製の大きな釣り針(大きいものでは30cm)を使って釣ったそうです。
人を噛むことがあるイタチザメ(タイガー・シャーク)やホホジロザメ(グレート・ホワイト・シャーク)は、ハワイ語でニウヒと呼ばれ、昔は王様や酋長たちが、ある種のスポーツとしてニウヒを捕まえていたそうです。平民はニウヒを釣ることは許されていませんでしたし、女性がニウヒの肉を食べることも許されていなかったそうです。 ニウヒの目を食べると、これから起ころうとしている何かの予告や予感が得れると信じていたそうです。カメハメハの実母は、生まれてくる我が子の優秀な支配者としての力と勇敢さを強化するために、妊娠中にイタチザメの目を食べたいと言ったそうです。
また、先祖の魂が宿るアウマクア(守護神)として崇拝されていました。現在でもそう信じている人がいます。そう信じている人たちは、サメを傷つけたり殺したり食べたりしません。先祖の生まれ変わりであるサメを大事にいたわり、そしてその家族はサメに守られているそうです。
追記:
ハワイには40種ほどのサメがいるそうですが、岸に近い海で見かけるものは、
l?l?kea (whitecap reef shark)
man? kihikihi (scalloped hammerhead shark)
man? p??ele (blacktip reef shark)
niuhi (tiger shark)
イタチザメ(タイガーシャーク)について
イタチザメ(Galeocerdo cuvier)は全長3?6mのメジロザメ科のサメで、あらゆる温帯と熱帯の海に生息しています。魚、カニ、貝、カメ、イルカ、アザラシ、海鳥など、何にでも襲いかかって捕食するという雑食性です。歯は曲がったハート型で、ギザギザがあり、これで亀の甲羅でも噛み砕くことができます。上下24本づつ生えています。海水浴客やサーファーが襲われることもあるので、一般的には危険なサメだと言われています。(実際には、サメに襲われる確立はとても低いです。)
波打ち際から開けた海まで、そして海面付近や海面から340mぐらいの深さまで生息しています。昼間は深い海岸沿いにいますが、夜は海岸近くに現れます。夜は特に活動的のようです。繁殖期以外は大抵一匹で行動します。平均時速3.85キロぐらいでゆっくりと泳いでいますが、獲物を襲う時は、瞬間(数秒)ですが、いきなり速くなります。
サメは交尾をして体内受精します。イタチザメは、妊娠期間が9?12ヶ月で、卵を体内で孵化させて生み出します。1回に50?70センチの幼魚を10?80匹(平均41匹)も生みます。生息地によって幼魚のサイズが異なるようですが、ハワイでは80?90センチだそうです。
背中は濃い灰色で、下は白っぽい色です。若い頃は銀白色の背中に黒い縞模様があり、トラの模様に似ていることから英名ではタイガーシャークと呼ばれています。水中に入ってくる太陽の光線のカモフラージュになるこの模様は成長すると共に消えていきます。
ハワイ語では人食いザメのことをニウヒと呼びます。イタチザメとホホジロザメは、どちらもニウヒと呼びます。
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サメに関するハワイの諺
ハワイ文化におけるサメ
サメについて詳しく書かれたサイト「サメの海」
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