火山
火山の女神ペレの住処: ハレマウマウ火口
キーラウエア火山ハレマウマウ火口内の噴気孔からでる噴煙は、数日間の火山灰が少なくなっていて、ペレの毛(Pele’s Hair)やペレの涙(Pele’s Tears)など火山ガラスが多く出てきています。
ハワイ火山観測所の観測データをもとにした推測では、この噴気孔の中、浅めのところに溶岩があって、火道を上昇してきているかもしれないそうです。振動も徐々に大きくなっているそうです。
ハレマウマウ火口展望台の駐車場に積もったペレの毛(Pele’s Hair)や、ハレマウマウ火口内の噴気孔の2008年4月4日の様子と、赤外線での画像をご覧下さい。
キーラウエア火山の噴煙
この写真は2008年3月28日の12時ごろに撮った写真です。ぼやけた薄茶の噴煙がもくもくと上昇していました。でも、この日の午後3時ごろから、また白い噴煙に変わったそうです。それ以来、白い噴煙が続いています。このリンクをクリックすると、ハレマウマウ火口展望台の駐車場のあたりから展望台の辺りの様子が分かります。
ハワイの冬季には南からの風(コナ・ウインド)が吹くことがよくあります。このハレマウマウ火口の噴火が始まってからは、幸いそのような風が吹いていないので、この写真を写した場所やビジターセンターやボルケーノハウスがある辺りも二酸化硫黄(亜硫酸ガスともいう)や灰が飛んできていません。国立公園のすぐ外にある住宅地も大丈夫です。これからの季節は貿易風(北東からの風)がほぼ一定に吹く季節なので、引き続き大丈夫でしょうか。そう願います。
プウオーオーの近くから流出し海へと達した溶岩は、3箇所に流れ込んでいます。
もくもく上昇するハレマウマウ火口の噴気
2008年3月10日から12日の間に出来たハワイ島キーラウエア火山ハレマウマウ(Halema’uma’u)火口の噴気孔からモクモクと出だした噴気は、初めは水蒸気とガスを多く含む白い噴気でした。
しかし約2週間後(3月23日の夜の活動があってから)火山灰が混じった灰色がかった茶色の噴煙に変わり、3月27日の午前8時ごろから一時的に白い噴気と変わりました。この噴気孔から噴気が出てくる音は、カルデラの北西側の縁にあるハワイ火山観測所(ジャガー・ミュージアムに隣接した建物)でも聞こえたそうです。 午後にライブカメラの映像を見てみると、また灰色がかった茶色の噴煙に戻っていました。午後4時半ごろに戻ったそうです。この白い噴気には灰よりも火山ガラスが多く含まれていたそうです。
右上のと右の写真は今年のものです。
右下の写真は1973年(このブログ記事を書く35年前)のハレマウマウ火口で、火口縁と火口壁から噴気が沢山でている様子が分かります。火口の手前に見えている建物はハワイ火山観測所です。
1969年から1974年にかけては、東リフトゾーン(East Rift Zone)のマウナ・ウル(Mauna Ulu)が噴火していました。山頂部では、その間、ただ蒸気を出していたときもありますが、以下のような噴火が起こりました。
1971年:ハレマウマウ火口の東の縁、ハレマウマウ火口にある南西側のカルデラの縁で南西リフトゾーン(Southwest Rift Zone)に沿って、そしてカルデラの南側の縁での亀裂噴火
1974年:ハレマウマウ火口の南西の縁やカルデラの南側の縁とその南東部での亀裂噴火
1975年:ハレマウマウ火口の東側の縁での裂け目
その後、数年間は山頂部での噴火はありませんでしたが、1982年4月30日にハレマウマウ火口の東側の縁で短期間の裂け目噴火があり、同年9月25日にハレマウマウ火口より南東部側のカルデラ南側の壁の近くで裂け目噴火が起きました。
その翌年1983年の1月3日に東リフトゾーン(East Rift Zone)のプウ・オーオー(Pu’u O’o)の噴火が始まり、プウ・オーオーとその近くの噴気孔はそれ以来ほぼ継続的に噴火しています。1984年にはマウナ・ロア山も同時に噴火しました。
プウ・オーオーの近くから流出した溶岩は2008年3月5日に再び(約9ヶ月ぶりに)カラパナ(Kalapana)方面の海に流れ込み始めました。
益々活発になるハレマウマウ火口の噴火
キーラウエア火山ハレマウマウ火口の噴気孔から灰が放出されていて、これまで白かった噴煙が今は灰色がかった茶色になっています。噴煙は風に吹かれて南西に傾き8?1.6キロ(0.5?1マイル)伸びています。
2008年3月23日(日曜日)の夜には、ハレマウマウ火口展望台の下側にあるこの噴気孔から光を放つ小さな物質が放出されているのが観察されました。勢いをもって飛び出してハレマウマウ火口の縁に落ちたものもあるそうです。
2008年3月24日(月曜日)の朝、前夜の噴火により飛び出したペレの毛(Pele’s hair: 液体の溶岩が空中で伸びて髪の毛のように細くなって固まったもの)やペレの涙(Pele’s tears: 液体の溶岩のしずくが空中で固まって落下したもの)やスパター(spatter: 液体の溶岩のしずくが空中で固まらないまま落下したもの)がハレマウマウ火口展望台の辺りで確認されました。火口の縁に落ちていたものの中で一番大きかったものは10センチ(4インチ)だったそうです。 現在この噴気孔の直径は30?35メートル(100フィーと)です。
放出された溶岩は少量でしたが、 ハレマウマウ火口で溶岩が見られたのは1982年以来初めてのことです。その時はハレマウマウ火口の東側で裂け目噴火が起きて溶岩が火口内に注ぎ込みました。その前は1974年と1971年にハレマウマウ火口の西側で裂け目噴火起きて溶岩が火口内に注ぎ込みました。その前は1967?1968年にまたがり8ヶ月続いたハレマウマウ火口内での噴火です。その時は火口底部が完全に溶岩で覆われて溶岩湖ができていました。
USGS HVO News Release March 24, 2008 “Halema`uma`u gas plume becomes ash-laden”
2008年3月18日に設置されたハレマウマウ火口のライブカメラ
現在の二酸化硫黄(亜硫酸ガス)情況
キーラウエア火山・ハレマウマウ火口の爆発(2008年3月19日午前2時58分)
2008年3月19日水曜日、午前2時58分にキーラウエア山頂部のカルデラ内にあるハレマウマウ火口が爆発しました。カルデラ内での噴火としては、1982年以来初めての噴火で、カルデラ内での爆発的な噴火としては1924年以来初めての爆発でした。
1924年の水蒸気爆発に比べると小規模でしたが、30ヘクタール(75エーカー)に渡り、岩片が飛び散りました。クレーター・リム・ロードの一部や、ハレマウマウ火口近くの駐車場や、そこからハレマウマウ火口の展望台へのトレイルが岩片で覆われ、展望台の木製フェンスも一部壊れてしまいました。爆発後5時間経った時点では、熱すぎて触ることができない岩片もあったそうです。溶岩の流出はありませんでしたので、熱水かガスによる爆発でした。
クレーター・リム・ロードを覆った岩片は直径2センチぐらいの大きさで、展望台に近づくほど大きな岩片だそうです。最大のものは1メートル近くの大きさ、平均90センチ(2.6フィーと)だそうです。2,000キログラム(2.7トン)ぐらいの重さがあるのではないかと推測されています。クレーターの縁より70メートル(230フィート)以上下にある噴気孔から吹っ飛んできたものです。展望台の近くに落ちている30センチ(1フィート)ぐらいの岩片の周りには衝撃クレーターが見られます。ハレマウマウ火口底部の噴気孔に近い方の半分ぐらいにも岩片が散らばっています。これらはハレマウマウ火口の東側の火口壁の古い溶岩の破片です。
この爆発によって、ハレマウマウ火口の東側火口壁に直径20ー30メートル(65?100フィート)の火口状のくぼみができました。まだ大量に二酸化硫黄(SO2、亜硫酸ガス)が出ていて、頻繁に岩が欠ける音が聞こえるそうです。
USGS HVO News Release March 19, 2008 “Explosive eruption in Halema`uma`u Crater, Kilauea Volcano, is first since 1924”
Volcano Watch March 20, 2008 “Something had to change after 25 years”
山頂部では、二酸化硫黄の量が多いため、2月20日からクレータ・リム・ロードの西半分が閉鎖されています。現在の二酸化硫黄情況
2008年3月18日に設置されたハレマウマウ火口のライブカメラ
活動が更に活発になったキーラウエア火山
2008年3月15日(土曜日)の午後2時過ぎに、カラパナから少し西側の海に流れ込む溶岩を見に行きました。大量の蒸気が立ち上がり、何箇所かに赤い溶岩が注ぎ込んで入る様子が見えました。
プウ・オーオーの近くから流出してきた溶岩が海に流れ込んでいるところは、1987~1989年にプウ・オーオーの少し東側にあるクパイアナハから流れてきた溶岩によって覆われてしまったカパアフという村があったあたりの近くです。その近くには、プナルウ、別名クィーンズ・バスという海水と淡水が混ざった池もあり、そこは絶好の大自然のスイミング・プールでしたが、それも1987年に溶岩で覆われてしまいました。約20年経った後、その辺りに再び溶岩が流れてきたのです。
海に流れ込む溶岩を見学した後、再び車に乗り130号線をドライブし、”Star of the Sea”カトリック教会の前を通ると、ちょうど結婚式を挙げているところが見えました。そこは溶岩が海に流れ込んでいるところから約6キロのところです。この教会の建物はもともとカラパナの中心部にあったものですが、1990年に溶岩が接近してきた時に移動させたものです。もともとこの教会があったところや、カラパナのすぐ隣のカイムーにあった有名な黒砂海岸カイムー・ビーチも溶岩で覆われてしまっていて、昔の姿は全く残っていません。
この後キーラウエア火山の山頂付近へと向かう途中、黙々とガスを噴出しているプウ・オーオー火口を見ました。1983年の1月3日から25年もほぼ継続的に活動してます。
山頂部のカルデラ内のハレマウマウ火口の東側の火口壁からは、二酸化硫黄(亜硫酸ガス)を多く含む蒸気がもくもくと出ていました。3月10日から12日の間に出来たばかりの噴気孔です。14日の夜から少し赤くなっています。暗くなるとぼんやり赤く見えます。この新しい噴気孔は、ハレマウマウ火口の縁にある展望台の真下ぐらいにあたるところです。
キーラウエア火山は活発に活動しています。
USGS HVO News Release March 14, 2008 “New gas vent in Halema’uma’u crater doubles sulfur dioxide emission rates”
豆知識: 熱い表面からでる光は、ぼんやりとした赤で摂氏430度以上(華氏806度)です。明るいオレンジ色やオレンジ色がかった黄色の溶岩の表面温度は摂氏900度(華氏1,650度)を超えています。
海に流れ込むキーラウエア火山の溶岩
3月5日水曜日の夜に、キーラウエア火山プウオーオー火口の近くからの溶岩が再び海に流れ込み始めました。
海に溶岩が流れ込むのは2007年6月以来のことなので、7日金曜日に海辺から蒸気が出ているところを見たときにはとても感動しました。
日が沈み暗くなると、蒸気が溶岩に照らしつけられ赤くなって、オレンジ色の溶岩が滝のように流れ落ちる様子がはっきりと見え、まるで下を向けた5本の指のようでした。山側では赤熱の溶岩で木々が燃やされているところや溶岩トンネルから溶岩が流出しているところが赤く見え、その明かりがその上にある雲に反射していました。
新月で暗い夜でしたから、溶岩の光がより鮮明で素晴らしかったです。ハワイ火山国立公園南端で、広い海を渡ってくる風を浴び、波の音を聞きながら望みました。
真っ黒な溶岩台地、虹、赤熱の溶岩
あけましておめでとうございます!
私は、仕事柄、週末や祝日や夜にもツアーで出かけていることが多いので、このホリデー・シーズンはクリスマスからお正月にかけての休暇を2週間取り、家族と充実した時を過ごしました。家族全員で自然に接することもできました。
クリスマスの盛大なシチメンチョウのディナーから始まり、イミロア・アストロノミー・センターのクリスマスの特別なショーやハワイ文化のプレゼンテーション、海辺でのキャンプ、友人達との集い、大晦日の花火、ハワイ固有の鳥たちの泣き声が聞こえる森の中での滞在などなど・・・
そして締めくくりに、赤い溶岩を見に行ってきました。往復6時間歩きましたが、歩いただけの価値がありました。真っ黒な溶岩で覆われた大地を歩いている途中、雨がさーっと降ってくると共に、大きな2重の虹が見えました。雨にも降られ、汗だくになって歩きましたが、まだ誰も足を踏み入れていない、固まったばっかりの溶岩の上に立つことができました。表面は固まっているけれど、その下はまだ赤熱で、表面はピキピキと音を出していて、その上を歩くと、足が燃えてしまうのではないかと思うような熱が伝わってきました。いたるところにある裂け目の中は赤く、表面が固まった溶岩の合間から真っ赤な溶岩がじわーっと出てくるところも、あちこちに見ることができました。
娘たちのおしゃべりや歌声を聴きながら、懐中電灯を手に、月明かりの溶岩大地を歩いて車に戻りました。最後に、波の音と風の音しか聞こえない場所で、360度に広がる空を見上げ、新鮮な空気を胸いっぱいに吸って、新しい一年へのお祈りをしました。
今年もまたがんばります。
このブログは、ハワイ島でエコツアーを案内するHAWAII NATURE EXPLORERSの環境保護への取り組みのひとつです。緑豊かなヒロよりアロハをこめて発信しています。
二重虹、海に流れ込む溶岩、満月、月虹・・・
キーラウエア火山を案内する時、
いつも何か違った感動があるのですが、
今日は一際感動が大きかったです。
午前中には雨上がりの静かな原生林に輝く緑と、
そこに咲く真っ赤な花の蜜を求めて飛び交う真っ赤な鳥たち、
昼間には深く巨大なカルデラ内に柔らかな虹が架かり、
夕方には果てしなく続く真っ黒な溶岩大地の上に、
くっきりと鮮やかな大輪の二重虹(ダブルレインボウ)の橋がかかり、
暗くなってからはオレンジ色に輝く溶岩が海に流れ込む様子が、
何箇所にも何箇所にも鮮明に見え、
しばらくすると黄金色をした大きな満月が水平線上の雲から顔を出し、
海面は月の光でキラキラと輝き、
帰り道では夜空に大輪の白と淡い色をした月虹(ムーンボウ)が見え、
そのやさしい光が私達を包み込んでくれました。
繊細な自然の彩りと輝きに次から次へと魅せられた一日でした。