自然保護
ビオトープ
ビオトープ(Biotop)は、ドイツ語で生物群集の生息空間を示す言葉で、bio(命、生物)+topos(場所)である。英語ではバイオトープ(biotope)と引用されています。
ハワイでは聞かない言葉ですが、私は今回、東京世田谷区の北沢川緑道を歩き、初めてビオトープという言葉を知りました。
この緑道は、計画の段階から住民の要望をとり入れ、日常の清掃作業も住民団体が積極的に行っているそうす。昔、川が流れていたところに、下水処理場で処理した再生水をさらに浄化施設で浄化した水を送水して、せらぎを復活させています。
人口的ではあるけれども、都会の中に可能な限り自然に近い水と緑と空間を作り、より自然に近い生物環境と生態系を修復という、素晴らしい都市計画です。
世田谷区では、他にも沢山の緑道が造成されているそうです。
クリスマス・バード・カウント 2007
12月15日: 今年もまたクリスマス・バード・カウントに参加しました。去年一緒だった人も何名かいましたし、今年は地元の学校の先生も何人かいました。今月ボランティア活動をしたときに会った人にも再会することができました。
雨の中でのバード・カウントでしたが、参加者全員が、そこにいるだけで幸せだねという気持ちでした。
ここはフェンスで囲んで、ブタが来ないようにして森を守っているところです。また、牧場として利用されていた場所では、森林再生の努力をしているところです。自然界では絶滅してしまっているかもしれないミントや、野生の個体が後2?3しかないかもしれないというようロベリアも植えています。ちょうどロベリアは花を咲かせていました。
バード・カウントを終えた後、皆でポットラック・ランチ(持ち寄りのランチ)をしました。持ち合わせ私たちは三女のバレーボール・クラブが資金集め活動として作ったカルア・ピッグを持っていきました。
ランチの後、ケアウホウ・バード・コンサベーション・センターに行きました。そこは、カウアイ島のプアイオヒ、マウイ島のマウイ・パロットビル、ハワイ島のパリラやアララを絶滅から守るために努力しているセンターです。
朝4時半に起きて、家を5時半に出発して、雨の中での行動でしたが、とても充実した1日でした。
このブログは、ハワイ島でエコツアーを案内するHAWAII NATURE EXPLORERSの環境保護への取り組みのひとつです。緑豊かなヒロよりアロハをこめて発信しています。
ハワイのコウモリ「オーペアペア」
私は夕暮れ時に田舎道をドライブしているときや、夕暮れ時に家の近所を散歩しているときに、楽しみにしていることがあります。それはコウモリです。
今年の夏、現在オーペアペアの実態を調査しているUSGS Pacific Island EcosystemsのResearch BiologistであるDr. Frank J. Bonaccorsoのレクチャーを受けました。
ハワイに生息するコウモリはハワイ語でオーペアペア( ʻŌpeʻapeʻa )と呼びます。オーペアペアはヒナコウモリ科(Vespertilionidae)ヒナコウモリ亜科(Vespertilionidae)のシモフリアカコウモリ属のコウモリ(Lasiurus cinereus, hoary bat)の亜種です。 英語ではHawaiian hoary bat(直訳すれば、ハワイアンシモフリアカコウモリとなるかな)、学名はLasiurus cinereus semotusです。
オーペアペアが、いつごろハワイ諸島に渡ってきたのかは不明だそうですが、ポリネシア人の渡来よりも前に、北アメリカ大陸から渡ってきたようです。 貿易風と共に飛んでくる場合には2日半ぐらいかかるそうです。
シモフリアカコウモリには3種の亜種が存在するそうで、オーペアペアは亜種のレベルでハワイ固有種であり、絶滅危惧種です。他の2種は北アメリカ、中央アメリカ、南アメリカに渡る広範囲に生息しています。オーペアペアは他の2種よりも小さな種で、体重は14~18グラム(0.49~0.63オンス)、腕を広げると10.5~13.5インチ(26.6~34.3センチ)で、メスのほうがオスよりも大きいです。メスの毛は赤みを帯びた色かこげ茶で、オスは灰色や白っぽい色をしているそうです。入念に毛づくろいをして毛を清潔に保つそうです。
オーペアペアは群を作らず、昼間は単独で森の中の気に入った樹木にぶら下がって寝ています。日が沈むと食べ物を求めて単独で行動し始めます。不規則で、ふらふらとした感じで、ジグザグに、または円を描くように飛ぶので、ぱっと見てオーペアペアだと判ります。
オーペアペアは自分の縄張りの領域で、飛んでいる夜行性の虫(主に大き目の蛾や甲虫ですが、蚊やシロアリ)を超音波で探します。一晩のうちに、自分の体重の計40%に比重するだけの獲物を食べることもあり、獲物を求めて一晩のうちに、12マイルも離れたところまで飛んでいくこともあるそうです。夕暮れ時や、月夜や、夜明けごろに、森の外れや、池の上や、ビーチなどで観かけることが多いです。
原生の森にも、外来種の植物が多い場所にも生息していて、餌場は山側から海側にかけて広範囲です。一晩のうちに、電波のトランスミッターを利用して調べてみたところ、標高102~3280フィートまで移動した固体も記録されています。
哺乳類の小動物なので温度変化に敏感で、急な斜面を持つ渓谷のように(たとえばハワイ島のワイピオ渓谷)高いところに、または低いところに移動して温度調節ができるところを好むそうです。
5~9月が交尾の季節で、妊娠期間は約80日。1~2匹の子供を生み、約6週間母乳で育てます。子供は生後4週間ぐらいは自分で飛べませんから、お母さんは子供を宿り木にとまらせておいて、餌を探しに行きます。もし、その宿り木が安全な場所でなくなると、お母さんは子供を別の木に移動させようとして失敗してしまうことがあるので危険です。子供を自分の体にとまらせて飛ぶというのは難しいからです。
オーペアペアの鳴き声のピッチを25-40 KHZから1-2 KHZに落とす(同時に波長が長めになる)と、こんな声に聞こえます。 (カウアイ島のDavid Kuhnのレコーディングです。SoundsHawaiiのウェブページ)
オーペアペアの写真(Honolulu Zoo)
2012年6月14日追記:またDr. Frank J. Bonaccorsoの話を聞いてきました。オーペアペアにとっての問題は、森林の伐採、火事、外来種の生き物の増加(スズメバチやコキコヤスガエルなど)、有刺鉄線の柵などです。また風力タービンが弱い風が吹いているときに回っていると、その周りの空気圧が変わって、その近くにきたオーペアペアの肺が爆発してしまうそうです。
Hawaii Natural History Association
ハワイ火山国立公園(Hawaii Volcanoes National Park)のビジターセンター(Visitor Center)とジャガー博物館(Thomas A. Jaggar Museum)にあるブックストアは、Hawaii Natural History Associationという非営利団体(nonprofit organization)が運営しています。
国立公園のインタープリテーションや、教育的・科学的・歴史的な目的を持った活動をサポートするための、国会により認められた非利団体です。
国立公園内にあるブックストアやオンライン・ブックストアからの利益は、国立公園のインタープリテーション・プログラム、研究・調査プログラム、博物館で行われるアクティビティー、ビジターに無料で配られるパンフレット、文化的なデモンストレーションなどのために使われます。
ブックストアの運営だけでなく、本を出版したり、ビデオ・DVDやポスターなども製作する事業も行っています。
Hawaii Natural History Associationがサポートしている国立公園
ハワイ火山国立公園
(Hawaii Volcanoes National Park)
ハレアカラー国立公園
(Haleakala National Park )
カロコ・ホノコハウ国立歴史公園
(Kaloko-Honokohau National Historical Park)
プウホヌア・オ・ホーナウナウ国立歴史公園
(Puuhonua o Honaunau National Historical Park)
プウコホラー・ヘイアウ国立歴史遺産
(Puukohola Heiau National Historic Site)
アメリカン・サモア国立公園
(National Park of American Samoa)
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ハワイで死んだ鳥を見かけたら・・・
ハワイには鳥インフルエンザ(bird flu, avian influenza)や西ナイルウィルス(West Nile Virus)は、まだ浸入していません。 ですが、浸入してくる可能性はあります。
鳥の死骸を見つけたら、211(フリーダイアル)に電話をするか、http://www.gotdeadbird.org/report.htmlに必要な情報を記入して報告し、検査のために死骸を回収しもらいます。死骸は腐敗していないものに限ります。また車に轢かれてしまったような死骸は検査の対象になりません。
すぐに回収してもらえない場合は、死骸を冷蔵するか冷凍しておきます。死骸は素手で触らないように、手袋を使うか、ビニール袋に手を入れて死骸をつかんで、袋を裏返しにします。袋に入れたものを、さらに別の袋に入れます。死骸を扱った後は、手をよく洗う必要があります。How to Pick Up a Dead Bird
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ハワイへの持ち込みが禁止されている動物
ハワイ州農務省(Department of Agriculture)が定めている、ハワイへの持ち込みが禁止されている動物のリストには、以下の動物が含まれています。
ワニ、アゴヒゲトカゲ、蜂、ヒヨドリ、ヤシガニ、デンキナマズ、フェレット(イタチ)、スナネズミ、ヤモリ、ハムスター、ヤドカリ、陸貝、ミノカサゴ、ヒインコ、オキナインコ、ピラニア、ヘビ、カミツキガメ、オオハシなど
このような動物を飼っているのが見つかると、また輸送しているのが見つかったりすると、ペナルティーとして、最高20万ドルの罰金が科せられ、最高3年間投獄され、その動物の捕獲や処分にかかる費用などが払わされます。
でも、大赦プログラム(Amnesty Program)というものがあり、違法行為が見つかり取り調べが始まってしまうようになるまでに、自ら違法動物を地元の動物福祉協会(humane society)や動物園、またはハワイ州農務省の植物検疫事務所(Plant Quarantine Office)に連れて行くと、ペナルティーが科せられることなく赦免されます。
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夜の地球
この画像をクリックして見ると、世界中の都市の明かりが一目でわかります。
これは、アメリカの軍事気象衛星プログラム(DMSP: Defense Meteorological Satellite Program)により作成された人工衛星画像です。
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光害を最小限に保つための対策
ハワイ島の街灯は、光害を少なくするために、低圧ナトリウムランプ(Low-pressure Sodium Lamp)を使用していますが、partially shieldedのものです。
夜空をなるべく暗くするためには、街灯の光が空を直接照らしつけないように上部の笠の形状が工夫されたものを使用します。partially shieldedの街灯はunshieldedの街灯よりは良いのですが、partially shieldedのものだと、光が斜め上に漏れてしまうので、水平より下だけを照らすfully shieldedのものを使用することが理想的です。
現在、ハワイ島で使用されている低圧ナトリウムランプは、光が斜め上に漏れてしまっているという問題以外に、肉眼にとっての眩しさの問題もあります。この眩しさのことをグレア(glare)とも呼びます。
Illuminating Engineering Society of North America (IESNA)による、グレアを少なくするために工夫された街灯の基準では、full cutoff, cutoff、semicutoff、noncutoffというタイプに分類されます。full cutoffの街灯はfully shieldedの街灯のように水平より下だけを照らすだけでなく、グレアが80度から90度の角度以下にカットされています。 夜空を極力暗く保つためにも、ドライバーにとっても、full cutoffのものが理想的ですし、節電にも大いに貢献できます。
ヒロやワイメアの街には、full cut-offの街灯が設置されているところがあります。暗くなってから街灯がともると、partially shieldedのものとfull cutoffのものとの差がはっきりと分かります。
マウイ島では、2007年1月に街灯の基準法が定められて、fully shieldedの街灯が使用されることになりました。10年内にほとんどの街灯が取り替えられるそうです。
Lighting Research Centerによるfull cutoffとfully shieldedの違いについての説明
“Full Cutoff Lighting: The Benifits” by Douglass Paulin
追記(2011年): 低圧ナトリウム灯よりも、長寿命であり、電力の消費が少ないLEDライトが最適だとされました。黄色いLEDライトは、低圧ナトリウム灯に比べて、周りの物の色が本来の色に近い色に見えるということも利点のひとつです。低圧ナトリウム灯のオレンジ色は、信号の黄色とそっくりで紛らわしいのですが、黄色いLEDライトの色は明らかに信号の色と異なります。ドライバーにとっても眩しくありません。 ヒロのスイサンの近くの交差点に設置されています。
ハワイ島の夜空
ハワイ島マウナ・ケア山頂は、天文観測に最適な場所のひとつとして有名です。
光害が少なく、高層ビルがないので、プラネタリュームのように夜空を見渡すことができるハワイ島に20年近く住んでいて、私にとってそれが当たり前のようになってしまいがちです。でも、我が家の庭で、空高く天の川が大きく南の空から北の空に続いているのを眺めると、その有難みを感じます。
私はヒロ市内に住んでいます。昔住んでいたハワイ火山国立公園の近くの田舎に比べると光害が多いですが、それでも天の川がはっきりと見えます。 大きな産業もなく経済的には豊かな島ではないけれども、お金では買えないQuality of Lifeが保たれているんだなって思います。 すばる望遠鏡などマウナ・ケア山頂の天文観測所のために、島全体をなるべく暗く保っているからです。天文学のお蔭でハワイ島は大いに恩恵を受けています。暗い夜空だけでなく、これまでになかった多種多様の職種も増えました。
ハワイ島の街灯は、ほとんどのものが低圧ナトリウムランプ(Low-pressure Sodium Lamp)です。光の色は、オレンジがかった黄色です。低圧ナトリウムランプの利点は、霧の中でも視認性が高く、暗黒の差と、物の凹凸がはっきりと見えるということだそうです。寿命が長く、発光効率(Luminous efficacy)が高いので経済的だそうです。
低圧ナトリウムランプを使用して島をなるべく暗く保つことによって、美しい星空が見れるだけでなく、節電もできるし、ウミガメや鳥たちにとっても良い環境を保つことができます。
ハワイ島の人口は増えていっています。それとともに光害も増えています。街灯の光が下側だけに向くようにするなど、光害を最小限に保つための対策を強化して、今後も出来る限り暗い夜空が保たれますように。 またハワイの他の島々でも光害が少なくなるように努力されますように。マウイ島では2007年1月に街灯の基準法が定められました。
ハワイ大学のDr. Richard WainscoatによるHawaii’s magnificent night skies: Protecting a precious resouce
Saving the starry night skies of Maui
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Fair Catch Campaign
過去100年間でハワイの食用の魚の個体数が75%も減少してしまったそうです。(1949年からのデータ)
Take what you need, not what you can. 獲れるだけ獲るのではなく、必要なだけ獲る。これはフェア・キャッチというキャンペーンのスローガンです。
ハワイでは、固定式刺し網を利用した漁法(lay gill net fishing)の規定が厳しくなり、また場所によっては禁止されました。これはフェア・キャッチ・キャンペーンのステップのひとつです。
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