蝶など
Wolf Spider
溶岩台地に住むコモリグモ科のクモ
英語ではwolf spider
ハワイ島キーラウエア火山で見つけた蜘蛛
2009年8月23日の夕暮れ時に、スーパー・サイエンス・ハイスクール埼玉県立川越高等学校のハワイ実習の生徒さんが見つけてくれた蜘蛛です。場所はキーラウエア火山の西側に面した標高915mぐらいの乾燥低木帯。 この枯れ枝は直径3?4センチぐらいだったと思います。
いったいこの蜘蛛は何というクモなのか知りたくて調べてみました。網や巣などは見ていなかったし、この写真では目の様子なども分からないのですが、足の様子や腹部の模様などを手がかりに調べてみました。
コガネグモ科(Araneidae)のタカネオニグモ属(Aculepeira)の仲間ではないかなと思うのですが、どうでしょうか。昆虫学者にも写真を送って尋ねましたが、その人も分からず、何人かの人に聞いてみるとのことでしたが、まだ回答が届いていません。
この種について何かご存知のかたは、ぜひご連絡ください。
ハワイのイトトンボ
古生代後半の石炭紀末期(約2億9000万年前)には、原始的なトンボがいたそうです。翅を広げた長さが約70cmのMeganeura monyiというヨーロッパで発見されたものや、翅を広げた長さが約75cmのMeganeuropsis americaraというアメリカ合衆国で発見されたものです。現在知られている限りではMeganeuropsis americaraが史上最大の昆虫だそうです。
現在アメリカ合衆国で一番大きいトンボは、ハワイ固有のトンボAnax strenuusです。ギンヤンマの仲間です。ハワイ語ではピナオといいます。
トンボやイトトンボの仲間全体を称してOdonata(トンボ目) 、この名は、よく発達した強い顎を意味しています。ハエや蝶や蛾や他のトンボなどを空中で捕食します。毛がたくさん生えた6本の脚を籠のようにして獲物を捕まえます。
トンボのことを英語ではdragonfly、イトトンボのことをdamselflyと呼びます。ハエのことをflyと呼びますが、飛ぶ昆虫のこともflyといいます。トンボはドラゴン(dragon) 、イトトンボは高い身分の乙女(damsel)と表現されています。
ハワイには、ハワイ固有のものだけではなく、外来のものもいます。下の写真のイトトンボ(Megalagrion calliphya)は、ハワイ島とマウイ島とラーナイ島とモロカイ島の標高が高めのところに住んでいる固有種です。体長は40-47mmで、翅を広げると47-50mm(ハワイ島に住んでいる固体は小さめのものが多く、体長は33-36mm、開翅長40-44mm) です。
トンボやイトトンボの幼虫はヤゴと呼ばれ、成虫とは外見や生態が全く異なっています。ヤゴは水中に生息します。鰓があります。セミのように羽化して成虫になります。
ハワイ固有のイトトンボは、ヤゴが川などの水中や、川の辺の苔の中に生息する種もいますが、川などがない環境には、ヤゴが植物の葉と葉の間に溜まった雨水の中に生息する種や、森の中の雨水を沢山含んだ枯葉や苔の中に生息する種もいます。
下の写真は、上の写真のイトトンボのヤゴです。
このイトトンボのヤゴは、川などの水中に生息しますが、キーラウエア火山の雨林など、川がないような環境に住んでいるものは、森の中の、雨水が溜まったところなどに生息します。
Honolulu Advertizer.comの記事(02/07/05) "Experts strive to save native aquatic insects"
Damselflies are a Part of the Hawaiian Streamscape
第4回ハワイ島昆虫調査
2008年9月20日に、ハワイ火山国立公園で、ハワイ昆虫学会(Hawaiian Entomological Society)による、第4回ハワイ島昆虫調査(4th Big Island Insect Count)が行われました。
とてもよい天気で、昆虫採集日和でした。子供連れの参加者が沢山いました。私も次女と三女と、三女の友達を連れて行ってきました。
いろんな虫を採集することができました。残念ながら、採集した虫たちについて学ぶ時間は少なかったですが、どのような虫が森に住んでいるのかが分かったので、とても嬉しかったです。
上の写真は、その日に撮ったものです。何というクモか知りたかったので、後日、その日のリーダーであった昆虫学者に聞いてみました。彼自身もはっきりわからないとのことで、他の昆虫学者に聞いてくれました。
アシナガグモ科(Tetragnathidae)アシナガグモ属(Tetragnatha) に属するクモだそうです。確実にとは言えないけれども、Tetragnatha quasimodoの亜成体かもしれないそうです。 quasimodo(カジモド)という名前を聞いて、ちょっと気になったので調べてみました。なぜならカジモドとは、ビクトルユーゴの小説ノートルダム・ド・パリ(Notre-Dame de Paris)に登場する、背が曲がった醜い教会の鐘つき男の名前だからです。ディズニーのアニメとなった作品はノートルダムの鐘(The Hunchback of Notre Dame)です。胴体の上に大きな盛り上がりができることからカジモドという名前が付いているそうです。
ハワイ固有のアシナガグモの多くは、円形の巣を張らないそうです。この写真のクモは、小枝や葉の縁で、獲物が近くに来るのを待つそうです。雨林でよく見かける種で、夜行性だそうです。
世界一大きな夜蛾 The Black Witch (Ascalapha odorata)
The Black Witch (Ascalapha odorata)という名のヤガ科(Noctuidae)の蛾は、世界一大きな夜蛾(noctuid moths)だといわれています。南米・中米原産の蛾ですが、ハワイには1928年以前に持ち込まれたそうです。
成虫は開張114~152mmで、ハワイでは一番大きな蛾であり、蝶の仲間でも、この蛾より大きいものはいません。
雄と雌の色は異なりますが、どちらも翅の上部のところに9またはコンマのような模様があります。
夜行性ですが、明るいうちから飛び立つのでコウモリと思われることもあります。家屋の外壁や軒の下などに止まっていることがあります。成虫はバナナなど熟れすぎた果物を食べます。
幼虫は76mmぐらいの大きさになることもあり、日中モンキーポッド(アメリカネム)やシャワーの木などのマメ科の植物の木の皮の中に隠れていて、夜になると出てきて葉を食べるそうです。
この写真は我が家の軒下に止まっているThe Black Witchです。
マルバシャリンバイの蜜を吸うヒョウモンドクチョウ
我が家の庭に咲くバラ科のマルバシャリンバイ(Rhaphiolepis umbellata var. integerrima, Yeddo Hawthorn)にとまっていた、ヒョウモンドクチョウ(Agraulis vanillae, The Passion Vine Butterfly, Gulf Fritillary)。
ヒョウモンドクチョウは、アメリカ合衆国南部から南米アルゼンチンまで広く生息する蝶で、ハワイには1977ごろに(おそらくカリフォルニアから)持ち込まれたそうです。メキシコ湾(Gulf of Mexico)を渡るところからGulf Fritillaryという名前がついています。
翅の開張は6~9.5センチで、表翅は鮮やかなオレンジ色で黒い斑点があり、裏翅は黄褐色で大き目の銀色の豹紋があります。
幼虫はオレンジ色で背中と横に黒い筋があり、やわらかい刺があります。4センチぐらいの長さです。トケイソウ(Passiflora)を食べます。 幼虫は毒をもっているので、鳥などに狙われることがないようです。この毒は食草であるトケイソウからのもので、成虫になっても鳥などが嫌う味の成分を体内に備えているそうです。蛹は約3センチで枯葉に似ています。
メスはトケイソウの葉の裏に卵をひとつずつ産みつけます。既に卵がある葉には産卵をしないので、トケイソウの中には葉や葉柄に卵のような黄色い突起を作って産卵を防御する種もあるそうです。
成虫の寿命は長い場合で6ヶ月だそうです。
このブログは、ハワイ島でエコツアーを案内するHAWAII NATURE EXPLORERSの環境保護への取り組みのひとつです。緑豊かなヒロよりアロハをこめて発信しています。
ハワイ固有の蝶 Blackburn’s Blue (Udara blackburni)
ハワイ固有の蝶は2種しかいませんが、その1種はシジミチョウ科(Lycaenidae)のBlackburn’s Blue(Udara blackburni) です。
成虫は22?29mmで、翅の表側は、オスの場合、前翅の内側の部分は紫色をおびた青で、後翅も少しそのような色です。メスは全体的に濃い灰色をおびた茶色です。裏側は、オスもメスも光沢のある緑で、メスのほうが明るい色をしています。
幼虫は、黄緑色からオレンジ色をおびた茶色で、背中に濃い色をした縞が一本あります。コア(Acacia koa)の花を好んで食べますが、アアリイ(Dodonaea viscosa、和名:ハウチワノキ)や他のハワイ固有植物も食べるそうです。
カホオラヴェ島以外の島に住んでいます。
*この写真は工藤利幸さんに撮っていただきました。