海洋生物
投網で捕まえた魚
2010年3月14日、投網を打って魚を捕っている様子を見学しました。ハワイでは1800年代に日本人移民者たちが投網の技術を伝えたのだと聞いたことがあります。
この写真の男性が網から出しているのはフムフム・ヌクヌク・ア・プアア(タスキモンガラ)。州魚なので逃がしてやるそうです。
1度に7~8匹捕れていたようです。上の写真の魚は確かハワイ語でネヌエって言っていたと思います。それが正しければ、スズキ目イスズミ科のイスズミ。バケツの底のほうに入っている魚は茶色っぽい魚でしたが、名前を覚えていません。
次に沢山捕れたのはマニニ。ハワイ語でマニニとはわずかな、乏しい、けちなという意味です。バケツの中の3種のうち、どれが一番美味しいと思いますかと尋ねると、マニニだという答えでした。
曇り空で、海が暗く、見えにくい状態なのに、さっと網を投げるとこんなに沢山の魚が捕れていました。波が浅瀬にくると立ち上がり透けて見えるそうで、そこいる魚がはっきりと見えるそうです。その波が浅瀬に入ってきて砕けたところに網を投げるのだそうです。
海辺で見つけた魚たち
2010年3月13日、この日の満潮は午後2時過ぎ、干潮は午後8時ごろ。山梨県立甲府南高校の生徒達と海辺に行きました。到着したのは午後5時ぐらいだったかな。 満潮時には水面下にあった岩場が、すでに潮溜まりを作っていました。
潮が引いていくのに、浅瀬の岩場に残ったまま取り残されてしまった魚を見つけました。まだ生きているようだったので、逃がしてあげることにしました。一緒にいた日本の高校生の男子のひとりがそっとつかもうとすると・・・
ピョンと跳ねて反対側を向きました。なんだか愛嬌のある顔です。「Live free!」と大きな声を掛けて逃がしてあげました。この魚はスズキ目ゴンベ科のイソゴンベという魚(Cirrhitus pinnulatus)です。11インチ(約28センチ)ぐらいまで大きくなるそうです。この日見つけたやつは7インチ(約17.5センチ)ぐらいだったと思います。英語の属名はStocky Hawkfish、ハワイ語名はPo’o・pa’a(ポオ・パア)。意味は頑固なという意味です。浅瀬の岩場などに岩場を好む魚で、よく発達した胸びれで、押し寄せる波に流されないように体を支えるそうです。この日見つけたやつは、頑固に縄張りを守ろうとしていたので、逃げそびれたのでしょうか。
同じ日、浜辺に打ち上げられていたのはフグ科モンガラカワハギ科のタスキモンガラ。英語の属名はPicasso Triggerfishi。ハワイ語名はHumuhumu・nukunuku・a・pua’a(フムフム・ヌクヌク・ア・プアア)。意味はブタのような鼻のカワハギ。ブタがブウブウ鳴くような音を出すことが名前の由来です。ウニが大好物で、ウニの棘で目が刺されないように、目の位置が随分口から離れています。10インチ(約25.5センチ)ぐらいまで成長します。ハワイ州を象徴する魚として選ばれている魚です。
ハワイの海を安全に楽しむために
HAWAII BEACH SAFETYのサイトをみると、カウアイ島、オアフ島、マウイ島、ハワイ島のライフガードがいるビーチについての説明も書いてあります。
「SOAK」のような注意事項だけでなく、とても危険な離岸流(rip current)などについても書いてあります。
If you find yourself in a rip current:
もし離岸流(rip current)に巻き込まれたら:
Conserve energy, keep calm, float, breathe, don’t panic, and wave for help.
けっして流れに逆らって岸方向に泳がない。
力を使い果たしてしまわないように、落ち着いて、流れに身を任せて体を浮かして漂い、しっかりと息をして、パニックに陥らないように、そして助けを求めて手をふること。
Swim out of the current in a direction following the shoreline. When out of the current, swim at an angle–away from the current–toward shore.
対岸流から遠ざかってから岸に向かって泳ぐ。
海岸に対して平行に(横方向)に泳いで離岸流から離れる。離岸流から遠ざかったら、岸に向かって斜めの角度で(離岸流のある方向ではないほうに)泳ぐ。
You can easily float in the current, there is no undertow.
離岸流から逃れられないようであれば、体を浮かせた状態で流れに沿って漂うか歩くよう動く。
下層流(undertow)はないので離岸流では体を浮かせて身を任せやすい。
If there is large surf or shoreline hazards, wave your hands for help and wait for assistance.
助けが必要であれば、"Help"(助けて)と大きな声を出すか手を振る。
大きな波がきて危険だったり危険な海岸線ならば、助けを求めて手を振って、助けがくるのを待つ。
ブダイと白砂
ハワイの白砂は真っ白ではなくクリーム色をしています。サンゴが波の浸食で砕けたものも中にはあるでしょうが、多くはブダイという魚が作ったものです。
ブダイはベラの近縁種で、80種類ほどいるそうです。同じ種でも色や模様が成体か幼体によって異なったりするので、分類しにくいそうです。雄は緑や青で色鮮やかですが、雌は赤茶色っぽい色や灰色です。種によってはハーレムを作るものもいて、雄が死んでしまうと、雌が3週間ほどかけて性転換し雄になります。夜になると粘液を分泌して透明な膜で体を覆い、敵から身を守って寝るものもいます。
ブダイはオウムのくちばしのような硬い歯を持っていて、岩礁に生えている藻やサンゴのポリプを食べます。ガリガリという大きな音を立ててかじりつきます。サンゴの石灰質のところまでかじって、喉のあたりにある咽頭歯というものですりつぶすそうです。消化できない砕けたサンゴが糞とともに排出されます。それがハワイの白砂です。大きなブダイだと1年に1トンもの砂を作るそうです。
ブダイの歯はオウム(パロット)のくちばしのようなので、ブダイのことを英語ではパロット・フィッシュ(parrot fish)と呼びます。ハワイ語ではウフ(uhu)、これは白い砂を多く含んだ糞がサラサラと出てくるので、お腹が緩んだという意味です。
ブダイは結構美味しいです。
ホヌについて
南東ハワイ諸島を餌場として住んでいるアオウミガメたちは、ほとんどが北西ハワイ諸島のイースター島を含むフレンチ・フリゲート諸島で交尾(海で)産卵(砂浜で)します。約25年で性的成熟を迎えます。 産卵期は通常5月から8月で、雌は2?3年置きに、雄は1?2年置きに、生まれ故郷にもどり交尾・産卵します。
1800年代には、フレンチ・フリゲート諸島の島々では、足の踏みどころがないぐらい沢山のアオウミガメが砂浜に上がってきていたそうですが、アオウミガメの肉を食用するために1959年ごろまで乱獲が続いたそうです。1960年代にフレンチ・フリゲート諸島でのパトロールが始まり、繁殖場所での捕獲にストップがかかりました。
しかし、南東ハワイ諸島での乱獲は続きました。ハワイ語でアオウミガメのことをホヌと呼びます。西洋人たちがハワイ諸島に来るようになるまでは、王家の人たちや酋長たちがホヌを食べていたようです。ホヌをアウマクア(守護神・先祖の生まれ変わり)として崇めていた家族もあります。(現在でもです。)そのような人たちはホヌを食べませんでした。新しくハワイに移住してきた人たちや、訪問者たちは、そのような風習には無関心でした。ハワイの観光業が盛んになると、ホヌの肉の需要が急激に増えるようになり乱獲が続きました。
個体数の減少がひどくなり、継続すると絶滅に繋がることが明確と判断され、1974年に商業的なホヌの捕獲は禁止されました。1978年には、ハワイのアオウミガメ、ホヌはUnited States Endangered Species Actの絶滅危惧種threatened)と指定されました。
ホヌは繁殖期以外は南東ハワイ諸島で過ごしますが、1980年中ごろまでは、ホヌが好きな海草は浅瀬にあるのにもかかわらず、日中海岸近くで海藻を食べているホヌ見かけることはまれで(日中でも人気の少ないところは例外)、人気の少ない夜に浅瀬にきていたそうです。しかし、現在は若いホヌたちが昼も夜も関係なく海岸近くの浅瀬で海藻を食べています。以前は砂浜で甲羅干しをするのはフレンチ・フリゲート諸島だけだったそうなのですが、現在は人がよく来るような場所でも甲羅干しをするようになっています。
現在ホヌにとってよくないのは、フィブロパピロマ(fibropapilloma)という病気です。目の周りや、首、ひれ、口、内臓などに腫瘍ができ、目が見えなくなったり、食べることができなくなったり、泳げなくなったりして、死んでしまいます。性的成熟に達するまでに死んでしまう場合もあります。ハワイだけでなく、世界中の海でアオウミガメたちが減少しています。公害が原因のようです。
National Wildlife, June-July, 1999 "The Return of KAUILA"
Take a Bite out of Fish Feeding
餌付けをすると、サンゴ礁の生態系のバランスが崩れてしまいます。海草を食べるタイプの魚が餌付けされると、海草が増え過ぎてサンゴの成長を妨げてしまいます。連鎖的にバランスが崩れて生きます。
市販されている餌や、特にパンくずなどを食べてお腹が一杯になった魚たちは、お腹は一杯になっても健康を維持するために必要な栄養素を十分に得ることができません。
餌付けによって、魚が人の手や腕を噛んでしまい、怪我をさせてしまうとうこともあります。魚を攻撃的にしてしまうこともあります。
サンゴ礁を守るためにも、持続可能な観光とライフスタイルのためにも、魚の餌付けは避けましょう。
ハワイのサンゴ礁からのメッセージ
ハワイのサンゴ礁でのエチケット
日本語で聞いてみる
ホヌ(アオウミガメ)
水中での視力は抜群で、色を識別することもできるそうです。でも、水から出ているときは近眼だそうです。
耳は頭の中にあって、水中では低音波の音が聞こえるそうです。音は頭だけでなく、甲羅や背骨を伝っても耳に届くので、ビーチに上がってきているときは、地面のバイブレーションを感じ取ることができるそうです。
仲良くお昼寝
今月出会った海亀君たちを紹介します。
さっきまで、浅い海の岩場に生えている海草をもくもくと食べていたのに、私たちが他の亀やウニなどを見ている間に、いつの間にか動かなくなってしまった小さな海亀。背中は水面に出た状態で、頭は水の中。お腹が一杯になって、食べている最中に眠ってしまった幼児のようでした。
そこへ、その亀よりも、少し大きいう一匹が、さーっと近づいてきて、小さいほうの亀の真後ろにピタッと引っ付いてきました。
どうやら、一緒にお昼寝をしたかったようです。
後からやってきた亀は、ちょうどいい寝心地のポジションになるまで、頭を小さいほうの亀の背中に乗せたり、下げたり、乗せたり、下げたり・・・それでも、小さいほうの亀は、動きもせずに寝ていましたが、しばらくすると、ちょこっと目を覚まして「なんだよ、なんだよ、気持ちよく寝ていたのに、目が覚めちゃったじゃないか・・・」というような感じで、頭を上げました。
実際は、水の中に頭を入れたまま寝ていたので、息継ぎのために頭を上げたのかもしれません。 一瞬だけ顔を水面に上げましたが、その後は、また寝入ってしまいました。
温かい日差しの下で、とても気持ちよさそうにお昼ねしていました。
ハワイモンクアザラシ、ハワイアン・スピナー・ドルフィン、アオウミガメ
2006年最後の日の午後、ハワイ島ヒロの海辺でハワイモンクアザラシを見ることができました。12月22日の午後に、ヒロの海辺に来ていた個体と同じものかもしれません。12月22日に来ていた個体は、体重300ポンド(136キロ)ぐらいのものだったと新聞に書いてありましたが、私が12月31日に見た個体の体重もそのぐらいだと思います。全長2メートルぐらいでした。
同じ場所から沖合を見ると、ハワイアン・スピナー・ドルフィン(ハシナガイルカ亜種)が海面上にジャンプしてスピンしている姿を見ることもできましたし、いつものように、すぐ側でアオウミガメも見ることもできました。
すばらしい一年の締めくくりでした。
このブログは、ハワイ島でエコツアーを案内するHAWAII NATURE EXPLORERSの環境保護への取り組みのひとつです。緑豊かなヒロよりアロハをこめて発信しています。