自然保護
自然保護における2011年のハイライト
木を植えるのに最も良い時期・・・(中国のことわざ)
The second best time is now.
木を植えるのに最も良い時期は20年前である。
次に良いのは今である。
Chinese proverb
The Hawaiian Legacy Reforestation Initiatives
2011年「国際森林年(International Year of Forests)」は終わりに近づいてきましたが、森林を大切にする気持ちは、今後も大きく持ち続けていきたいです。
ハワイ島マウナ・ケアの北東部にある、デイビッド・デルーズとジョセフィン・デルーズが所有するクーカイアウ牧場では、ハワイアン・レガシー・ハードウッズ社により森林再生が行われています。ハワイアン・レガシー・ハードウッズ社による事業には、利益を目的とした収穫するための商業的植林と、自然保護を目的とした森林再生プログラム「The Hawaiian Legacy Reforestation Initiative」 があります。
自然保護団体であるザ・ネイチャー・コンサーヴァンシーは、自然保護を目的とした森林再生プログラム「The Hawaiian Legacy Reforestation Initiative」に参加しています。このプログラムでは1本のコアの木(Acacia koa)は60ドル。60ドルのうち、1ドルは自動的にザ・ネイチャー・コンサーヴァンシーに寄付されます。20ドルは自分が寄付したい機関を指定することができますが、特別寄付先がなければザ・ネイチャー・コンサーヴァンシーに寄付されます。残りの39ドルはハワイアン・レガシー・ハードウッズ社の自然管理費として使われます。今年から毎年ハワイアン・レガシー・ハードウッズ社は最低5万ドルをザ・ネイチャー・コンサーヴァンシーに寄付してくれるそうです。
植えられた木は、どの木にもRFID(Radio Frequency IDentification)という電波による個体識別が可能なタグ が付けられるので、寄付者の名前、植えられた年月日や場所が分かるようになっています。
自然保護を目的とした森林再生のためにコアの木が植えられているところでは、オーヒア・レフアの木や様々な下生えの植物も植えられます。
毎年ハワイ・ネイチャー・エクスプローラーズはエコツアーの収益の一部を ザ・ネイチャー・コンサーヴァンシーに寄付させていただいているのですが、今年はそれに加えて、独立10周年祝いとして10本のコアの木を寄付させていただきました。これらの寄付金は、これまでに私が案内するエコツアーに参加してくださったお客様たちと私からの自然への恩返しです。マハロ。
とうとうハワイ島にも持ち込まれてしまった・・・
インド原産のアクシスジカ(Axis axis axis)はもともとハワイ諸島にいた動物ではありません。 農業にも自然環境にも大きな影響を及ぼします。
1868年にモロカイ島に持ち込まれたのは、たったの雄3頭、雌4頭、小鹿(雄)1頭だけで、そのうち数頭はオアフ島に移されたそうです。20年後にはモロカイ島では1000頭に増えていたそうです。1900年にはモロカイ島では7000頭に増えていたそうです。
1920年には12頭がモロカイ島からラナイ島に連れていかれ、1958年には700~800頭に、1961年には1500~2000頭に増えていたそうです。
1959年にはマウイ島に5頭(雄2頭、雌3頭)放たれ、さらに1960年には4頭(雄1頭、雌3頭)放たれ、1968年には90頭弱、1995年にはハレアカラーの西に面したところだけでも500頭弱いると推測されていたそうです。
そんなアクシスジカが、とうとうハワイ島にも繁殖してしまったそうです。誰かが他の島から持ち込んだというわけですが、ハワイ島のコハラ地区、コナ地区、カウー地区ですでに群れをなしているそうです。 それでなくても農業を営むのは難しいのに、それでなくてもハワイの自然を保護するのは大変なのに・・・また問題が1つ増えてしまいました。大きな問題です。
Protect Hawaii: Don’t plant a pest.
ハワイの自然にとって有害な植物は植えないようにしましょうというビデオです。
私が今年引っ越した家にも、色んな園芸植物が植えてありますが、ハワイの自然にとって有害でない園芸植物はとりあえず残して、有害な帰化植物となっているものは少しずつ処分して、ハワイの在来植物を増やしています。
あってほしくないもの・・・たとえば、オーストラリア原産の木性シダ(Sphaeropteris cooperi、Cyathea cooperi)です。
茎が木化した幹の頂点にある成長点から束生した葉は、ハワイ原産のシダ(ハープウ)よりもオーストラリア原産のシダのほうが地面に平行してフラットな感じのロゼット状です。オーストラリア原産の木性シダの幹には、くっきりと楕円形をした模様がついています。(葉が落ちた跡です。)
ハワイ原産のシダ(ハープウ)の毛は、柔らかくふわっとした茶色い綿毛や、紫がかった、または赤黒いさらっとした毛であるのに対し、オーストラリア原産のシダは、薄い紙を裂いたような、かさかさと乾燥した白っぽい鱗片がついています。
以下の写真は、幹の切り口です。
ハワイの自然にとってよくないオーストラリア原産の木性シダの写真
ハワイ固有の木性シダ(ハープウ)の写真
野鳥観察や野鳥撮影のエチケット
バードウォッチングや野鳥撮影をするとき、自然に対する心配り・心遣いが大切です。自然の中へ深く入ることにより、悪い影響を与えることがないように注意したいです。
日本野鳥の会が提唱する「や・さ・し・い・き・も・ち」の7文字から始まる基本的なルール「フィールドマナー」は、とても参考になります。
「や」: 野外活動、無理なく楽しく
自然は、人のためだけにあるのではありません。思わぬ危険が潜んでいるかもしれないのです。知識とゆとりを持って、安全に行動するようにしましょう。
「さ」: 採集は控えて、自然はそのままに
自然は野鳥のすみかであり、多くの生物は彼らの食べ物でもあります。あるがままを見ることで、いままで気づかなかった世界が広がります。むやみに捕ることは慎みましょう(みんなで楽しむ探鳥会では、採集禁止が普通)。
「し」: 静かに、そーっと
野鳥など野生動物は人を恐れるものが多く、大きな音や動作を警戒します。静かにしていれば彼らを脅かさずにすみますし、小さな鳴き声や羽音など自然の音を楽しむこともできます。
「い」: 一本道、道からはずれないで
危険を避けるため、自然を傷つけないため、田畑の所有者などそこにくらす人に迷惑をかけないためにも道をはずれないようにしましょう。
「き」: 気をつけよう、写真、給餌、人への迷惑
撮影が、野生生物や周囲の自然に悪影響を及ぼす場合もあるので、対象の生物や周囲の環境をよく理解した上で影響がないようつとめましょう。餌を与える行為も、カラスやハトのように人の生活と軋轢が生じている生物、生態系に影響を与えている移入種、水質悪化が指摘されている場所などでは控える必要があります。また、写真撮影や給餌、観察が地元の人や周囲の人に誤解やストレスを与える場合もあるので、十分な配慮をしましょう。
「も」: 持って帰ろう、思い出とゴミ
ゴミは家まで持ち帰って処理しましょう。ビニールやプラスチックが鳥たちを死にいたらしめることがあります。またお弁当の食べ残し等が雑食性の生物を増やすことで、自然のバランスに悪影響を与えます。責任を持ってゴミを始末することは、誰でもできる自然保護活動です。
「ち」: 近づかないで、野鳥の巣
子育ての季節、親鳥は特に神経質になるものが多く、危険を感じたり、巣のまわりの様子が変化すると、巣を捨ててしまうことがあります。特に、巣の近くでの撮影はヒナを死にいたらしめることもあるので、野鳥の習性を熟知していない場合は避けましょう。また、巣立ったばかりのヒナは迷子のように見えますが、親鳥が潜んでいることが多いので、間違えて拾ってこないようにしましょう。
◆ その他のマナー
渡来の少ない珍しい種は、主な生息地や渡りのルートから外れて飛来した場合が多く、鳥が弱ってしまっているケースもあります。その鳥が十分に休んで採食もできるように、接近し過ぎや、飛ばせてしまうような撮影は避けましょう。また渡来の少ない珍しい種の観察情報をネットに発信したりマスコミなどへ提供したりする場合は、その場所へ観察する人が大勢集まりトラブルになることもあるので、細心の注意を払うとともに、地域での事前の相談も行うようにしましょう。
撮影や観察を目的とした餌付け、音声による誘引(縄張りを持つ鳥であると、自分の縄張りに入ってこようとしている鳥が侵入して来たと勘違いして、餌とりや求愛や巣作りなどのために費やすべき時間とエネルギーを無駄に使ってしまうという可能性があります。特に絶滅危惧種の場合は、鳥の鳴き声を録音した音声を流したり、鳥の声を真似たりして誘引するのは避けたいです。)、ストロボなどの人工照明の使用は避けましょう。
公園やいろいろな人が利用する公共の場所などでは、撮影のために植物の移植や剪定、土砂や岩石の移動といった環境の改変は控えましょう。
通行の邪魔にならないよう撮影してください。特に道で集団になっていたり、三脚を並べていたりすると、通行の迷惑です。また、駐車は通行や近隣の迷惑にならないよう十分に配慮しましょう。
近隣の方々の生活や仕事を覗くような形にならないよう、レンズの向け方、または双眼鏡や望遠鏡の向け方にも注意しましょう。
印刷物やネットなどに写真を掲載する場合は、以上のことに留意して撮影されたものを使用するようにしましょう。
Nowhere Else on Earth: Indigenous Plants of Hawaii
約1万種あるハワイの在来種である植物のうち、約90%はハワイにしかないという固有種です。開発により、外来動植物の侵入により、減少してしまたったハワイの自然環境ですが、残ったものを保護管理し、森林再生をする努力が必要です。このビデオではオアフ島のコオラウ・マウンテンに残されたハワイの植物たちが紹介されています。
ハワイ火山国立公園
国際連合教育科学文化機関、ユネスコ(UNESCO)の「人間と生物圏計画」(The Man and the Biosphere (MAB) Programme)は、自然科学、社会科学、経済、教育を交えて、人間と環境の関係を改善するために研究することを目的に1971年に開始された計画です。1980年よりハワイ諸島では、1980年よりマウイ島のハレアカラー国立公園と、ハワイ島のハワイ火山国立公園が、このMAB企画に基づいて設けられた生物圏保護区(Biosphere Reserve)に指定されています。 ハワイ火山国立公園には、雨林地帯から乾燥潅木地帯、海岸地帯から高山地帯まで多様な生態系があり、種の進化とその多様性を研究するためにも貴重な場所で、多様なハワイ固有種の保護と管理、自然史の教育に重点を置いています。持続可能な観光業のためにも長期にわたる自然保護が重要です。太平洋の中心に位置しているハワイは、東と西をつなぐ国際的な商業の中心としての役割を果たしてきましたが、そのために外来種の進入が大変深刻な問題です。
なお、ハワイ火山国立公園は、火山活動により島々が形成される過程を見ることができるすばらしい例であり、1987年よりユネスコの世界自然遺産に登録されています。
Dirt! The Movie
土は生きています。
土は私たちを養ってくれます。
土は水を浄化してくれます。
土は森林を育み気候を調節してくれます。
2011: International Year of Forests
国際連合(United Nation)は、2011年を国際森林年(International Year of Forests)と制定しています。このビデオは写真家ヤン・アルテュベルトラン(Yann Arthus-Bertrand)が国連により任命を受けて制作したものです。(彼は”HOME“というビデオの監督でもあります。) ナレーターは国連親善大使として任命されたアメリカ俳優のエドワード・ノートン(Edward Norton)です。
We and the forests are one.
We have always needed them;
and today, they need us.
森林をよく見てください。
私達と森林はひとつです。
私達は今までずっと森林を必要としてきました。
そして現在、森林が私達を必要としています。
持続可能な森林管理と、持続可能な開発が必要です。
ハワイも例外ではありません。
放牧やプランテーションにより原生林が伐採されてなくなってしまった状態です。
以下はエドワード・ノートンからのメッセージです。