植物

フアヘキリ(ナウパカ・カハカイ)

Scaevola sericea

クサトベラ科のナウパカ・カハカイ(Scaevola sericea)は種が海流に乗ってハワイ諸島に渡ってきました。ハワイだけでなく太平洋やインド洋の熱帯や亜熱帯に広く分布しています。
ナウパカ・カハカイとは海辺のナウパカといういう意味です。フアヘキリとも呼びます。フアヘキリは直訳すると雷(ヘキリ)の実(フア)です。ナウパカ・カハカイの白い実はまるで雹のようだからでしょうか。

ナウパカ・クアヒヴィを見る

キーラウエア固有のナウパカ・クアヒヴィ(フアヘキリ・ウカ)を見る

2009-06-26 | Posted in 植物2 Comments » 

 

フアヘキリ・ウカ(ナウパカ・クアヒヴィ)

Scaevola kilaueae

ハワイ島キラーウエアやマウナ・ロアの古い溶岩やオーヒアが生えている乾燥林など特定のところだけにあるクサトベラ科のナウパカ・クアヒヴィ(Naupaka Kuahiwi)です。ハワイ島の固有種です。(Scaevola kilaueae)
このナウパカ・クアヒヴィのことをフアヘキリ・ウカ(Huahekili Uka)とも呼びます。高地のフアヘキリという意味です。
フアヘキリは海辺に生えるナウパカ・カハカイ(Naupaka Kahakai)の別名です。フアヘキリ・ウカの葉は海辺のフアヘキリほどではありませんが肉厚です。
追記: 他の種でもナウパカ・クアヒヴィと同じ名前で呼ばれるものがあります。キーラウエアには上記のハワイ島固有種(Scaevola kilaueae) 以外にも、ハワイ島だけでなくマウイ島、ラーナイ島、モロカイ島にもある固有種(Scaevola chamissoniana)があります。

2009-06-24 | Posted in 植物No Comments » 

 

ハワイアン・ラズベリー「アーカラ」

Hawaiian Rasberry

ハワイ固有のラズベリー「アーカラ」。Rubus hawaiensis  標高660?3070メートルの雨林や亜高地森林などにあります。実の大きさは2.5?5センチです。完熟した実は、ほんのりと苦味がありますが、甘みもあって美味しいです。花はピンク色です。

2009-06-22 | Posted in 植物2 Comments » 

 

森の世代交代

Forest in Hawaii

ここは何千年または何万年も前に火山活動があったところ。そのときの噴出した溶岩の上にパイオニア植物が芽生えて、そこが立派な森になるまで、何百年かかったのでしょうか。そしてこの森の植物たちは、今日に至るまで何代にわたって世代交代を繰り返してきたのでしょうか。この古い森は1935年に流れてきた溶岩に360度囲まれています。溶岩台地の中にあるオアシスです。

2009-05-27 | Posted in 植物No Comments » 

 

ウルへについて

Uluhe

ウラジロ科コシダ(Dicranopteris linearis)は、アフリカ、アジア、オーストラリア、ニュージーランド、ポリネシア、インドネシアに広く分布しているシダです。日本では本州、福島・新潟以西から四国、九州に分布しているそうです。
ハワイではウルヘ(Ulehe)と呼びます。日当たりのよいところに生えて群生します。葉は二岐を繰り返します。日が当たりにくいと、オーヒア・レフアの木などにつたって上へ上へと成長していきます。
ウルヘは旺盛に繁茂するので、地崩れが起きたり、木が倒れたところに生えてくれると、外来植物の浸入を防いでくれるだけでなく、表土が流されにくくなるので、とてもありがたい植物です。
ハワイには葉の裏面に茶色い毛が生えたウルヘがあります。これはハワイ固有のものです。(Dicranopteris linearis f. emarginata)

Uluhe fiddlehead 

1990年代に、東南アジア原産のクロスジホソサジヨコバイ(two-spotted leafhopper, Sophonia rufofascia / Sophonia orientalis)の繁殖により、ハワイ島以外の島々では、ウルヘが減少したそうです。

2009-04-29 | Posted in 植物No Comments » 

 

チャールズ・ダーウィンの言葉

以下は、進化論を提唱したイギリスの博物学者、チャールズ・ダーウィン(Charles Darwin 1809-1882)が、1859年に、彼の友人であった イギリスの植物学者、ジョーセフ・ダルトン・フッカー(Joseph Dalton Hooker 1817-1911) に送った手紙の一部です。
"How I wish you would work out the Pacific floras…but of all places in the world I should like to see a good flora of the Sandwich Islands. I would subscribe 50 pounds to any collector to go there and work at these islands…I think it is the most isolated group in world, and the islands themselves well isolated from each other. " 「太平洋の植物相について解き明かしてくれればいいなと切に思う。・・・世界中に色んなところがあるが、サンドイッチ諸島(ハワイ諸島)の植物相をみたい。そこへ行って植物採集をしてくれる人がいたら50ポンドの援助をするんだが。・・・そこは世界で一番孤立した島々の集まりで、しかも、そこにある島々は、島と島との間が十分に離れていると思う。」
ダーウィンはハワイ諸島には来ませんでしたが、ハワイの自然の驚くほどの多様性に目を向けていたようです。
Darwin Correspondence Project

 

2009-04-27 | Posted in 植物No Comments » 

 

立派に育ちますように・・・

Planting Niu

2009年4月10日、お客様たちと一緒に植えたココヤシ、立派に育ちますように。
この日、木から落としたばかりのココヤシのジュースを飲みました。とても美味しかったです。この木も、大きく育って、たくさん実をつけますように。

 

2009-04-17 | Posted in 植物4 Comments » 

 

Botanical Marvels

Clermontia pyrularia

 
マウナ・ケアの東側に分布するキキョウ科(Campanulaceae)ミゾカクシ亜科(Lobelioideae)クレルモンティア属(Clermontia)の花です。Clermontia Lindseyanaはマウイ島とハワイ島の標高1220?1825mに生える固有種です。木は2.5?6mの高さまで成長します。葉の長さは13?24cmで、花被は55?65mm。
キキョウ科ミゾカクシ亜科のハワイ固有植物は110種あり、これらは特殊な進化をしたハワイ固有植物の代表的な一例です。花の形と、これらの花の蜜を吸う鳥達のくちばしが共進化した素晴らしい例です。1800年代の植物学者たちは、これらの植物のことを”peculiar pride of our flora”だと表現しました。ハワイの植物相の独特な自慢の種です。
人間が持ち込んだ草食動物による食害などにより、このような特殊な花を咲かせる植物が減少してしまったため、現在のイイヴィ(このブログのバナーの赤い鳥)のくちばしは、100年ほど前の個体のくちばしよりも短くなっているそうです。

2009-03-13 | Posted in 植物No Comments » 

 

アーカラ色・・・ハワイ島の高地の森は春

ハワイには四季はなく二季しかないと言うけれど・・・ハワイ島の高地の森では、今、春の気配を感じます。
ピンク色の花が咲いています。
これはシソ科(Lamiaceae) のハワイ固有植物です。 Stenogyne calaminthoides ミントの仲間ですが、ハーブ特有の香りがありません。 害虫や有害な菌から身を守るための精油(エッセンシャルオイル)を失ってしまった植物です。このハワイアン・ミントの長く曲がった花筒は、鳥のくちばしと共進化したものです。

Hawaiian Mint

これはバラ科(Rosaceae)キイチゴ属の「アーカラ (‘Akala)」の花。Rubus hawaiensis ハワイ固有のラズベリーです。このハワイアン・ラズベリーには、鋭い刺はありません。もともと草木を食べる哺乳動物がいなかったハワイですから、刺を失ってしまいました。葉っぱを全部落として枯れ木のような姿をした落葉期が終わり、森に春が来たので、元気よく芽吹いてきました。そして花も咲き始めました。ピンク色のピンクというのは、ナデシコの花のことです。英語ではナデシコ色、日本語では桃色・・・ハワイ語ではアーカラ色。

Hawaiian Rasberry

どちらの花も、イイヴィ(ブログのヘッダーの赤い鳥)が蜜を吸います。今、森の中には、イイヴィの幼鳥が沢山います。 
余談:ナデシコ属(Dianthus)の植物の花は、花びらの縁がギザギザと切れ込みが入っているものが多いです。英語でギザギザに切ることをpinkといいます。手芸で使うpinking shears(ピンキングはさみ)は、布をpinkするためのはさみです。

2009-03-06 | Posted in 植物2 Comments » 

 

レフア・マモ

Lehua Mamo

溶岩台地に芽生えたオーヒア・レフア(Ohia-lehua)。この木は芽生えてからまだ10?15年。オーヒア・レフアの花は赤いもの、朱色のもの、黄色いもの、その中間色もあります。黄色い花はレフア・マモ(Lehua Mamo)と呼びます。場所によっては、レフア・マモが比較的多いところもあります。
Mamoレフア・マモのマモというのは鳥の名前です。絶滅してしまった鳥です。ハワイ島固有のマモ、ハワイ・マモHawai’i Mamo(Drepanis pacifica)は、蜜が好きな鳥でした。特に花筒がカーブして長いロベリアの花の蜜が好きだったそうです。 森の枝や葉が形成する最上部の層(キャノピー)に住む鳥だったそうですが、ロベリアの仲間たちは下層植生なので、オーヒア・レフアの木の上部から、下のほうに生えているロベリアの花の蜜を求めて下りてきていたのでしょうか。湿潤な森が手付かずの状態であったころには、地面に生えているものだけでなく、木に着生したロベリアも沢山あったのでしょう。
ハワイ・マモの体長は23センチで、光沢のある黒と黄色の鳥でしたが、腰から上尾筒にかけてと下尾筒の黄色い羽は装飾に用いられました。その美しい羽のために、多くのハワイ・マモが捕らえられました。羽をむしり取られてから食べられてしまったものもいるかもしれません。羽をむしり取られてから放たれたものもいるでしょうが、かなり弱ってしまったのではないでしょうか。カメハメハ1世のケープ(マント)は何十万羽のマモの羽で装飾されたものです。
ハワイ・マモはヒロにもいたそうです。ヒロでは1898年に観察されたのが最後、ヒロの山側のカウマナでは1899年が最後だそうです。マモを絶滅に追いやった大きな原因は、蚊が媒介する鳥の病気や環境破壊だと言われています。
私は、綺麗なレフア・マモを咲かせるオーヒアの木が、力強く溶岩台地に生えている様子や、古い森で巨大に成長している様子を見るたびに、かつてハワイ島に住んでいたマモの姿を思い浮かべます。
ハワイ・マモの鳴き声は長く、もの悲しげな、口笛を吹くようなさえずり(long plaintive whistle)と図鑑には書いてありますが、いったいどのような響きの鳴き声だったのでしょうか。この鳥の鳴き声の真似ができる人もいたのでしょうが、それも今では過去のことになってしまっています。
もの悲しげな鳴き声・・・ただ単にそういう鳴き声だったのでしょうが、でも急激に変わっていく環境を感じ取り、だんだん仲間達がいなくなっていくことに気づき、本当に悲しかったから、なおさら悲しげな鳴き声だったのではないかと私は考えてしまいます。なぜなら、イイヴィ(このブログのヘッダーの赤い鳥)が沢山住んでいるハワイ島の保護された森だと、イイヴィたちの鳴き声はとても元気一杯で、とても幸せそうに聞こえるのに、個体数が少なくなってしまったカウアイ島の森では、あまり鳴き声は聞こえないし、聞こえたとしても声が弱く、悲しそうに聞こえるからです。

2009-02-04 | Posted in 植物7 Comments »